東京

孫上

第1話

人生何年振りの東京だっただろうか。右も左も分からない。まさにこの言葉は私のこの5日間を表すのに最適な言葉ではなかろうか。

1日目。スーツケースを準備するのは長期休暇になると恒例行事となる行いだが、今宵は行き先が違うらしい。そう、東京だ。東京だと!私の心中にいるもう一人の私が雄叫びをあげ興奮し、もう1人は不安と焦燥感に満ちている。

松山空港に行く道中だけなのに緊張した。慣れないことは人の挙動にずれを生じ、決して健やかな者ではない。松山空港に到着した私に待ち構えるその一の関門、搭乗という行為。生まれてこの方飛行機には人生で2回しか乗ったことなく、片や家族旅行、片や修学旅行と今まで自力で飛行機というものに乗ったことない。言わば、フリーパスの搭乗券しか利用していなかった。そんな私が今日、飛行機に搭乗。結論、意外とできるもんやな。人は新しいことをする時、心の鼓動は早まり、判断力を鈍らせ、そしてすかすらしい。私はどうかって?最後は私特有の言動かもしれないが。

だが、ここで改めて学んだ。学ぶ機会を自分で作らないことには学習できないということを。環境が近寄ってこないのではなく、飛び込みたい環境に近寄っていくことが大切だと感じた今日この頃。

飛行機に乗って離陸後の率直な感想は「こりゃ死ねるなー」。他の人はどう思うのだろう。ジェットコースターに似た浮遊感に対する興奮か、飛行している事実がこれから起こる未来へ繋がる期待を膨らませるのか、はたまた無心でこの時を謳歌、恐怖を抱いているのか。

飛行中の窓からは小さく形取る淡路島含め関西地方、ちっぽけに見えた富士山、波のスピードが相対的に遅くなることでジオラマ的なミニチュア感、そして思ったより千葉は畑が多いということを知れた。

そんなこともあり、羽田空港第1ターミナルに到着。空港に着いた瞬間、私の心と東京の空は輝いていた。いい天気だ。これから起こる5日間が良いものだと暗示してくれているに違いない。

羽田空港につき、東急本線急行へと乗車し、品川へ。

ほぉ〜ここが品川か。わたしはどこかで「上を向いたら田舎もんがバレる」と言った地方民あるあるを間に受け、意図的に上を見なかった。

港南町。そこはオフィス街とカラオケのような商業施設、洒落た小学校など普段松山では見ない建造物が立ち並び、上には首都高まで走っている。ただ、東京旅を通じでひとこと言えるのが「足がいてー」。港南町を探索した後は隣にある天王洲に行った。天王洲は芸能人御用達なのか?そう思わされるくらい洗礼されたオフィス、スタジオ?、カフェなどが立ち並んでいた。ふぅ〜、意外とすげーじゃねーか東京。私は心の声に嘘つき、いかにも慣れてますよっという行動で街中を颯爽といや、片足引き摺りたいという気持ちで歩く。スーツケースと共に。

さぁ、上野に行こう。1日目の宿泊先台東区上野下谷に位置するサウナセンター。カプセルホテルだ。品川から鶯谷まで山手線で移動。なぜかわからんが、すんなり乗れた。いささか東京は迷路ときくが、私には手がある。そして到着。鶯谷は素晴らしい!!!坂の上に位置するナイス立地、降りるとそこまで都会ではない街並み、チェックインを済ませ、いざ外へ。上野公園へと向かい、スタバでチャイティーラテを購入。そう、俺は今台東区民。サコッシュだけを見に纏い、いつものルーティンと言わんばかりの立ち振る舞いで公園内を探索。ここで一つ。カップル多くね?みんなイチャイチャしてるし、1人で歩いているの俺含め僅か数人だし、東京って個人行動が多いイメージだけどちゃうの?そんな邪推を沸き目に、晩御飯をサーチ。ふむ、テレビで紹介された中華へ行くとしよう。僕は台東区民。でも道わからず、駅員にこの先有料と止められ、行った先に道路はないが、スタバのゴミを捨てる名目で道を間違え、台東区民としての行動を怠らなかった。

中華に到着。

山椒が辛い。私の好きな中華は王将だ。日本人に優しい王将だ。山椒なんてもんは松山にはなか。マジでうまいのか分からない曖昧なラインを攻めてくる。汗が滴り落ちるテーブルと常連と思われるサラリーマンを脇見に、ご飯を頬張る。そんなこんなで飯も食い、サウナも入り、前日徹夜もあり、くたくた。よーし明日から頑張るぞ。そんな意欲的な少年は22時前に寝床の魔境へと落ちていく。

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東京 孫上 @ajr20220107

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