パーフェクト デスティニー プラン
なぜ人は争うのか?
答えは『不安』だからだ。
では、なぜ人は不安になるのか?
『先が見えない』からだ。
自分にどんな才能があるのか?
どんな職業が適しているのか?
誰と結婚するのか? 結婚できるのか?
老後の資金は足りるのか?
分からないから、人は必要以上に獲得しようとする。そのためなら他者を蹴落としもする。
その究極が戦争だ。
不安が人を殺すのだ。
ならば、遺伝子操作によって、生まれる前の段階で人生を運命付けてしまえば良い。
最適な職業、最適な役割、最適な配偶者。
そして、安らかな最期。
不安なき世界を作ることで争いの芽を摘む。
それがデスティニープランである。
しかし、このプランには欠陥がある。
選択の自由がないことだ。
最適だから楽しいとは限らない。
安心だから幸せとは限らない。
そうした人間の感情を無視した、
いわゆる『効率厨』の世界である。
デスティニープランに反対する者は、
それを『死の世界』と言った。
間違った表現ではないが、それだけで人類を滅亡させたというのは無理があるな。
なぜなら、不安がなくなっても『不満』が残るからだ。
不満もまた争いの種になる。
だから不満を失くす。
不満を失くすためには、すべての人間から感情を奪うしかない。
そうすれば、ただただ自分の役割を果たすだけの人形になる。
もう人間じゃない。
すべての不安と不満が消えた時、人類は滅びる。
これがパーフェクトデスティニープランである。
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