グッド・ジョブ媚薬 5部 ドライアイスプロジェクト

渡夢太郎

第1話 アメリカ軍基地

2日後、亮とマギーはワシントンDCから

100kmあまり離れたニュージャージー州

フォートベルヴォアールアメリカ陸軍基地の

病室で目を覚ました。

「お目覚めですか?ミスターダン」

メガネをかけた白衣の男が亮の顔を覗き込んだ。


「はい、彼女・・・マギーは?」

「一命を取り留めて隣の病室で寝ている、

後2分遅かったら死んでいたそうだ」

「そうですか、ありがとうございます」

「頭と背中にひどい打撲を受けていたから、

爆発した時の破片が何か当ったんだろう

 それと脇腹に銃創(銃で撃たれた傷痕)もあった」


「そうですか・・・」

亮は爆発した時の記憶を呼び起こすと

マギーは沈んでいく船から

亮の手引いて脱出し爆発の後亮とマギーが

激しい渦に巻き込まれたことを思い出した。


「そうか、マギー」

亮は一刻も早くマギーに会いたかった。

「ところであなたの体調はどうですか?」

「大丈夫です」

「もし良かったらお偉いさんが

聞きたい事があるそうだ」


「分かりました」

亮は聴取を受ける事にした。


~~~~~

二日前

「亮が救出されたわ」

小妹の所に美咲から連絡があった。

「それで今どこにいるの?」

「それがアメリカ軍に救出されたので身柄確保された」

「ええっ、そんな・・・」

小妹は美咲の手配していた警察に

四人の身柄を港で引き渡し

銀座の事務所に向った。


1時間後事務所に集まったみんなに

ロビンは説明をした。

「ロビンどうしてアメリカ軍に連絡をしたの?」

小妹が怒ったように聞いた。

「それは、一刻を争う時だったから

出来るだけ多くの救助が欲しかった」


小妹はロビンにそう言われると何もいえなかった。

「でも、無事でよかったわ」

一恵は亮があまり泳げない事を知っていたので

無事であることが何よりも嬉しかった。


~~~~~~

爆発があってから数時間後、

世間は何事も無かったように

いつもの朝を迎えた。

ただ、Kマリーナから一艘の船が無くなっていた

事実が

あっただけだった。


7時に六本木の高層マンション28階の

部屋のチャイムが鳴った。

「清水さん、清水さん」

ベッドから出た清水大作は寝ぼけた声で

インターホンに答えた。

「はい、誰?」


「警察です」

「なんでしょうか?」

「ちょっと伺いたいことが事がありまして

ドアを開けていただけますか?」

会社の経営者として拒否も出来ず28階の

から逃げ出すわけにもいかない

清水は玄関を開けた。


「警察庁の樫村です」

樫村は捜索差押許可状を清水に見せた。

「今から家の中のを捜査して容疑に関わる

物を差し押さえをいたします」

樫村は十人の部下を部屋の中に入れた。


「すみません、何の容疑ですか?」

清水が樫村に聞いた。

「あなたの所有のボートが誘拐の道具として使われました」

「待ってください、今から弁護士に連絡をします」


「はい、弁護士に連絡をしてもけっこうですが

捜査後にお願いします」

樫村が冷たく言うと清水が舌を

鳴らしてスマフォを手に取った。


「外部への連絡も困ります」

樫村は清水の電話を取り上げた。

「キャー」

寝室から女性の声が聞こえた。


その声に反応した樫村は

「その女性に服を着せて待って

もらっていなさい、電話は禁止!」

樫村は部下の女性捜査官指示をした。


しばらくすると樫村の部下がやってきて

耳元で囁くと樫村はきつい目で清水に聞いた。

「清水さん、クローゼットの中にある

金庫を開けていただけますか?」

「は、はい」


清水はクローゼットの奥にあった高さ1mほどの大きさの

金庫を開けると帳簿、DVD、契約書、現金が入っていた。

捜査員は契約書の中にマーメードⅢ号の

売買契約書、領収書を発見した。


「係長、船の書類を発見しました」

樫村がそれを受け取り確認すると

「あっ、清水さん本棚の裏にある金庫もです」

樫村がそう言うと清水の顔色が変わった。

「はあ、でもそっちの方はダイヤルの

番号を忘れてしまって」


「本当ですか、もしそうなら鍵師を

呼ばなくてはいけません。

そうなると時間がかかって

 彼女にも迷惑がかかりますし、

会社にも連絡が取れませんよ」

「わ、分かりました」


清水がしぶしぶ金庫を開けると

袋いっぱいのオレンジとピンクの

錠剤が入っていた。

「MDMAか?」

樫村が聞いて清水が無言でいると

「誰か検査キット持ってきてくれ」

樫村が言った。


~~~~~

朝の事務所には和美と一恵と玲奈と麻実がテーブルを囲んでいた

「和美さんロビンは朝一番の飛行機でワシントンに向いました」

一恵が和美に報告をした。

「ワシントン?」

「亮は昨日の内にニュージャージー州

フォートベルヴォアールアメリカ陸軍基地の

情報保安司令部に運ばれたそうです」


「えっ、何の為に?」

玲奈が不思議になって一恵に聞いた。

「アメリカ軍の秘密兵器EMP爆弾を亮が見たからよ」

「そんな事って」

麻実が呆然としていると


「ロビンは亮を解放するために文明は香港に向ったわ、

 亮の解放の為に」

一恵が答えた。


「日本の政府は動いてくれないのかしら」

「もちろん動いているわ、秀樹

社長が政治家を使ってやっているわ

 でも、外務省を使っていては

時間がかかりそうだけど」

和美は麻実の質問に答えた。

「そう言えば、雪さんは?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る