第4話
何時もの学校。
給食の時間、みんなで食べている。
欠席者が居る時は、その人の分が
争奪戦になる。
みんな成長期だから沢山、食べる。
特に男子は。
[今日、欠席者が居たのでパンと
牛乳が、有ります。要る人?]
と給食当番が言うと直ぐに加賀が
[ハイ!]
と手を上げた。
その早さに、みんなは驚いて、声が
出なかった。
[加賀君、スリムなのに食べるんだね?]
[食べて、あの体型、羨ましい。]
と、みんな色々、言ってるが紗綾は
見てしまった。
加賀は、そのパンと牛乳には手を
付けずに、カバンに入れるのを。
(どうしてだろう?)
紗綾は普通に疑問に思った。
(加賀誠、加賀誠、何処かで聞いた
様な……思い出せない。)
2人は幼稚園の時に1か月だけだが
同じクラスだったのだ。
加賀は両親の離婚で母に連れられて
引っ越しを、する事になった。
でも、その1か月、加賀は何時も
紗綾と遊んでいた。
しっかり者の紗綾は何時も加賀を
助けて、給食の時も、おやつの時も
足らないと必ず分けてくれた。
幼稚園と、まだ幼いが紗綾の事だけは
覚えている加賀だった。
(北村紗綾ちゃん、本当に変わって
無いね、)
と思っている加賀だが、そんな事を
紗綾に何も打ち明けずに話を
しようとも、しなかった。
家に帰った紗綾。
[お母さん、今日、買い物は?]
[今日は忘れずに、ちゃんと買って
来ましたよ!]
[えーっ!]
[どうしたの?]
[買い物に行きたかった!]
[何時は嫌がるのに変わった子
だね?変な事を言わないでよ!
紗綾が自分から買い物行くなんて
雨が降るから!]
[失礼な!]
そう、紗綾は買い物に行くと加賀に
会えると思っていたからだ。
[お母さん、ちょっと出て来る!]
[何処に行くの?もう直ぐご飯
だよ!]
[うん、直ぐ帰って来るから!]
紗綾は加賀に会いに、スーパーに
走る。
(居るかな?)
店の中を見回す紗綾。
奥に入って行く。
(あっ!居た、やっぱり毎日、自分で
買い物をしてるんだ。)
手に取るのは、お惣菜の様な物が
多いが量が少なかった。
(何人で食べるんだろう?)
紗綾は余計な、おせっかい、心配を
していた。
そして、レジを済ませて加賀が出て
行くので気になって付いて行った。
着いた所は小さな、アパートだった。
ドアを開けて、その中に加賀は
入って行った。
(ここが家なんだ。)
家に帰ると、お母さんが怒っていた。
[紗綾、ちょっとって言って、一体
どれだけ出るのよ!せっかくのご飯
冷めちゃったよ!]
[いいよ、食べるから。]
と食べる紗綾。
部屋に戻ると受験勉強をしなくちゃ
いけないのに加賀の事が頭を過って
集中出来ない。
眠りが浅く、うとうとしていたから
朝寝坊をした。
[紗綾ー早くしないと!]
[はーい、分かってる、あー時間が
行ってきます!]
[ご飯は?]
[無理ー!]
学校に、何とか間に合った紗綾。
[紗綾、おはよう、珍しいねー
寝坊?]
と満里奈、ゆりな、純香達が来る。
[うん、昨日、寝れなくて!]
[どうしたの?悩み事?]
[うーんがちょっと!]
[最近、紗綾ちょっとが多いね?
怪しいな?]
[怪しくないよ!]
私達が騒いでると必ず、やちゅー達が
やって来る。
[お前達は朝も昼も、うるさいなー
なんで、そんなに毎日、騒がしい
んだよ!]
と、やちゅーに言われる。
[やちゅー聞いて、最近、紗綾が
ちょっとが多くて怪しいのよ!]
と純香が言う。
[おい、さーや何を隠してるんだ?
白状せい!]
[何も隠してないよ!]
[お前なー人の時は聞きまくるのに
自分の事は、だんまりか?]
と竜に突っ込まれる。
[だから本当に何も無いの!]
[こいつ、簡単には口を割らないぞ!]
と男子達。
[ちょっと、みんな私を何だと
思ってんのよ!さっきから聞いて
たら!]
[おっ!出たな、逆ギレ女!]
と又やちゅーが変な事を言う。
[そうだ、これから、さーやの事を
逆ギレ女って呼ぼうぜ!]
と男子達。
[どうぞ!何とでもお呼びなさい
そんな事に屈する私じゃなくてよ
オホホホ。]
[おい、逆ギレ女、ちゃんと寝ろよ
来てるぞ、だいぶ頭に!]
[やちゅー、けーん、竜、愛甲
成敗してやるー!]
と男子を追いかける紗綾。
満里奈、ゆりな、純香は、おかしくて
笑わずには居られない。
そこに担任の森本先生が入って来る。
[又、お前達か!野口、北村お前達
2人は学級委員なんだぞ!しっかり
しろ!]
[はーい。]
へこむ2人。
クラス全員が笑ってる。
紗綾は加賀を見た。
(やっぱり笑わない。)
でも加賀は心の中で
(北村紗綾ちゃん今日も元気だね?)
そう、思っていた。
紗綾は給食の時間加賀に自分のパンと
牛乳を持って行った。
[今ダイエット中なの!助けて!]
[ありがとう。]
まさかの、お礼の言葉にビックリ
する紗綾、でも嬉しかった。
明日から満里奈、ゆりな、純香にも
お願いしようと思った。
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