第21話 幼女の目覚め

 2階から声が聞こえて、あの幼女が目覚めたのだと察した。


 家の中で騒がれては、外のゴロツキ共に家の存在が知られるかもしれない。白蓮は慌てて幼女を寝かせた2階の部屋に慌てて向かった。


「起きた?」


 部屋に入るやいなや、努めて落ち着いた声音を意識して幼女に声を掛ける。彼女にして見れば、誘拐されたように感じても不思議ではないのだ。


「貴方は?」


 警戒した様子を隠そうともせず、こちらを訝しみながら彼女は疑問を投げかけた。


「俺は白蓮ビャクレン…そしてここは城塞都市のスラムで、俺のセーフハウス。これは君の持ち物かな?」


 そう言って彼女と一緒に見つけた道具を取り出す。


「…」


 彼女が無言のまま手に取ったのは、紫色のカードケースだった。

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