第16話 装備と覚醒

16話 装備と覚醒


装備を整えるためまずは魔道具屋に向かう。


(マホの杖からだな~。新魔法♪新魔法♪新魔法ったら新魔法♪)



ドラゴンの眼球とシャマから貰った世界樹で杖を作る。


「この素材で杖を作ってちょうだい!」


マホが魔道具屋の、いかにも魔女なお婆さんに杖を注文する。


「ヒッヒッヒッヒッ。こりゃとんでもない素材じゃな。今日中は無理じゃ、明日きとくれ。加工費は金貨50枚かかるがいいかの?」


(ご、ご、500万円!!)


「あわわわ…」


「もちろんいいわよ!」


(即決だ!)


聖一があわあわしているのを横目にマホが即決した。


(いや、お金ならある。これで良い。ビッグバンベヒーモスに勝たなきゃ意味がないんだ。)


魔道具屋に杖を依頼をして、店を後にする。


次に防具屋に向かう。


ジャンボミドリガメの甲羅とドラゴンの鱗を使って防具を作ってもらう。


直接戦いには参加しない後方支援組の分も作ってもらいたいので、ジャイやムスメにも来てもらっている。


「防具を作ってくれるなんてありがとうなんだから!」


「ありがとうですじゃ。」



防具屋のカウンターには筋骨隆々でガスマスクみたいなのを被った男が立っている。


「この素材で防具を頼みたい。」


「コーホー……任せろ。」


「9人分頼む。」


「コーホー…今いる9人か?」


「そうだ。俺が身軽で丈夫な仕上がり、この魔法使いの子は丈夫で魔法の通りがいいように……」


「大丈夫。全員どんなものが適正かわかっている。俺には防具適正鑑定のスキルがある。」


「すごいな!じゃあそれで頼むよ!!」


「加工費は9人分で450枚だ。」


(よ、よ、4500万~!!)


「ガクガクブルブル……」


「もちろんいいわよ!!」


(また即決だ!マホさんマジかっけー。)


ガクブルの聖一を横目に即決するマホ。


「思ってたより安くすんだのじゃ。」


「そうね!」


ジャイとマホの会話を聞いてさらに驚く聖一。


(そうなの?!!思ってたより安いの?!!まあ、あと金貨1万9500枚あるから余裕なんだけどさ。杖と防具あわせて日本円で5000万円と考えるとやっぱりビビるよね。)


「すまんが3日後に来てくれ。」


注文が終わったので防具屋を後にする。


(ダッシュバイソンの時に稼いだ金貨が100枚くらい残ってたから合わせると1万9600枚近くある。まあ、余裕か。)





「次は聖一さんの武器とシャマ殿の武器じゃ。

ドラゴンの爪と世界樹でドラゴンククリナイフ。

そして世界樹とドラゴンの眼球をミスリルダガーに加工してパワーアップ。

シャマ殿の精霊弓にドラゴンの眼球と近接戦闘用にドラゴンの牙を加工してパワーアップじゃ。」


(さすが大商人ジャイ様!素材の使い道がわかるから助かるよ。あ、あとピッケルと投擲用の杭とロープも強いのが欲しいな。)


「ジャイありがとう!なんだかワクワクするな。あとピッケルと杭とロープもさらに強い素材で作りたいな~。」


「であればピッケルはドラゴンの牙、杭は爪、ロープはドラゴンの髭を使いましょう!」


「ありがとう!ではそうしよう!!」


一行は武器屋に向かう。


「この素材で武器を作りたいんだけど~。」


白ひげを蓄えたドワーフのおじさんが店にいる。


「おう。え!いやいや!すまん!ワシには無理だのぅ!!」


「え?そうなの?!」


「ワシは普通のドワーフ族だからのぅ。上位素材の加工は特殊なスキルを持っているか、もしくはスミスドワーフ族だけだのぅ。しかも30年以上武器加工に心血を注いだ熟練のスミスドワーフ族だけだのぅ。」


「そ、そうなのか。」


「加工できる職人が王都に行かなきゃいないのぅ。すまんのぅ。」


「お、王都か…。」


(王都片道馬車でも3日はかかるらしいからな~。行って加工してもらって帰ってきたら10日近くかかるな。)


「しかも私たちが卸した素材で向こうも手一杯だから加工もすごく日にちかかるわよ。」


(むぅ~。どうしよう。)


王都の職人もギルドからの依頼で手一杯、色々戦う準備もしたいのに行って作ってもらって帰ってきたらもうすぐ戦うことになるだろう、と聖一は考える。


(スミフが熟練ならお願いできるんだけどな。)


熟練のスミスドワーフはドラゴン素材も錬成できる。


でも熟練の腕を身につけるには30年はかかる。


一同が悩んでいると、スミスドワーフ族のスミフが口を開く。


「実は言い伝えがあってね。ある条件を満たすと僕は覚醒できるはずなんだ。」


「そ、そうなのか?!!!いったいどんな条件なんだ?!!」


「伝承はこうだよ。……ジャンボミドリガメの睾丸とドラゴンの肉を乾燥させて粉末にしたものをダッシュバイソンの生き血に混ぜて飲む。そうたしか……名前はスーパー・エナジー・バキバキ・ドリンク」


(精力増強剤みたいなレシピだな。)


「するとね、覚醒してあらゆる素材を錬成出来るようになると一族の言い伝えで聞いたことがあるんだよ。」


スーパー・エナジー・バキバキ・ドリンクを飲むと覚醒するというスミフ。


「覚醒すれば僕が加工できるよ!!」


(スーパー・エナジー・バキバキ・ドリンクおそるべし。ダッシュバイソンの生き血もまだブラックホールに残ってるはずだ。)


「そうか。それはありがたいな。素材は全部あるぞ。」


(全ての素材貰っといて良かった。普通ならジャンボミドリガメの睾丸なんて捨ててるもんな。)


早速スーパー・エナジー・バキバキ・ドリンクを作ることになり、ジャイの知り合いの薬師を訪ねる。


「ジャイの知り合いに薬師の人がいて良かったよ。」


1時間ほどで出来上がり、スーパー・エナジー・バキバキ・ドリンクを受けとる。


「ありがとうございます。」


試験管に入ったその液体は、赤紫のおどろおどろしい色をしている。


「これだよ!一族の伝承にあるスーパー・エナジー・バキバキ・ドリンクだよ!」


(こ、こんな禍々しい液体が…。)


早速、家に帰ってきて飲むことにする。


「グビグビ!!ぷはー!お、お、美味しいよ!」


「良い飲みっぷりね!」


スミフは一気に飲み干す。それに対して何故かマホがテンションをあげる。


(スミフ!躊躇無くいった!すごい!そして美味しいんだ?)


「どうだ?なにか変化は…?」


「特になにもないかな。」


「うーん、そうか。まあ今日はもう休むか。」


……その夜、案の定襲われる聖一。


聖一が寝ている部屋の扉の前に黒い人影がある。


扉の鍵をキーピックのようなものでゴソゴソやっている。するとカチッと音がした。


ガチャリと扉が開く。


「え!誰?!」


扉の音で起きる聖一。


「せ…い…い…ちぃ…はぁはぁ。」


ネグリジェ姿で目がバキバキのスミフが立っている。


「た、た、助けてー!ギャー!」


タックルを受けてそのまま気絶する聖一。


朝起きるとスミフが腰にしがみついている。


(え?え?ふ、服は着てるから大丈夫か。)


「あ!おはよう!」


「お、おはよう!」


朝焼けに照らされてネグリジェのスミフが輝いている。


(あれ?)


「スミフ、背が10㎝くらいのびてないか?」


「え?ほんと!??言い伝え通りだ!!あの薬を飲んだあと意中の男性にしがみついて一緒に寝ると背が10㎝伸びるらしいんだよ!」


「そ、そうなのか。」



「背が10㎝伸びてるってことは、どうやら覚醒できたみたいだ!!」



スミフは無事覚醒できたようだ。

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