第11話 ジャンボミドリガメ①
11話
4人を連れてワガマチに帰る。
とにかく昨日の夜は暖かいお風呂に入ってもらって、暖かいご飯を食べてもらって寝てもらった。
暖かいシチューを飲むと安心したのか皆どっと泣き出してしまった。そのあとはすぐに寝てしまった。
ソファーとベッドで皆に寝てもらい、聖一は床で寝る。
すぐ寝てしまったので身の上話はほとんど聞いていない状態だった。
歩きながら、聖一は皆に話を聞く。
「みんなの名前を聞いてもいいかな?」
「はい。あたいはアントと申す者。聖一の旦那!本当にありがとよ!」
肩までの金色の髪で、身長2m以上はある。
スレンダーなのにナイスバディなジャイアントヒューマン族のアントさん。
なんでも大きい体を生かして建築の仕事をしていて、廃墟の解体の仕事をしているところを誘拐されたそうだ。
「私は、ハイエルと申します。聖一様!このご恩一生をかけて返させてくださいませ。」
長い銀色の髪をした、身長180cmくらいで肌の色が白くファンタジーな美しさを持つハイエルフ族のハイエルさん。
なんでも身長180cm以上のエルフがハイエルフというらしい。
ハイエルフは森を守る種族だが木の伐採をして間引きをするのも仕事のひとつ。伐採の仕事中に襲われたそうだ。
「あたしはハネビだよーん。聖一~!よろしくなんだよーん!」
ショートカットでもみ上げだけ胸の辺りまで伸びた、銅のような赤茶色の髪をした、身長160cmくらいで健康的なかわいらしい羽人族のハネビさん。
背中には透明で虹色に輝く羽がある。翔ぶことは出来ないが、高いジャンプ力と滑空能力で郵便の仕事をしていた。配達中に襲われたらしい。
「僕はスミフ。ありがとう。聖一。よろしく。」
おかっぱでお坊っちゃまのような真っ白の髪をした、身長140cm以下で幼児体型をした少年にも見える美しい少女のスミスドワーフ族のスミフ。
種族柄、金属の加工、鋳造、採掘が得意で、採掘をしている時に襲われたらしい。
(改めてここは異世界。平和ではないことを思い知らされる。責任を持って街へ送り届けよう。)
半日ほど歩いたところで見晴らしの良い丘の上に行く。
「よし!ここで休憩しよう!!」
(こんな見晴らしの良いところでBBQは気持ちいいだろうなー。
何故か理由はわかんないけどドラゴン肉は旨いけど危険な気がするからダッシュバイソンの肉でBBQだ!!)
ブラックホールから地面に直接すでに焼けている炭を置く。周りをレンガで囲い金網をその上に置いてダッシュバイソンの肉を焼いていく。
(な、なんて最高の匂いなんだ。よ、ヨダレが…。)
「焼けたぞー。」
聖一が皆に肉を焼いて配る。
マホが頬張る
「お!美味しいわね!」
シャマが噛みちぎる
「お!美味しいでありますです!」
「旨いじゃないかこれ!」
「美味しゅうございます。」
「旨いんだよーん!」
「僕こんなのはじめて食べる。」
助けた4人も半泣きになりながら美味しい美味しいと食べている。
(美女に囲まれてこの絶景で旨い肉を食べる。はーこの2度目の生に感謝だ。心も若返ったおかげか本当にこの冒険へのワクワクが、止まらない。俺の中にいる子供にも感謝だな。)
とヨダレと肉汁でジュルジュルをハムハムしながら感慨にふけている聖一。
すると…。
ゴゴゴゴと地面が揺れ出す。
「うわ!」
「え!」
「キャー!!」
丘だと思っていたものが動き出した。
「え?なんだ動き出した!!!」
「なんなのよこれ!!」
「なんでありますですか?!!」
聖一が全貌に気付く。
「か、か、かめー?!!!」
「聖一!ここは丘の上でもなんでもなくて亀の甲羅の上よ!!」
皆が丘の上だと思っていた場所はなんと巨大な亀の甲羅の上だったようだ。
「聖一!!こいつはジャンボミドリガメ!!!城級のさらに上の丘級よ!!!」
「皆ここを下れ!!」
力場で滑り台の形を作りその先にまた滑り台の形を形成して何個も繋ぎ合わせる。
丘の上から地上までの滑り台をつくる。
ジャンボミドリガメはまるで背中が熱そうに背中を震わせ始めた。
どうやらBBQの炭が煩わしいらしい。
「皆急げ!!」
滑り台から皆を滑らせる!
「私で最後ね!フィジカル!タフネス!スピード!よいしょっ!」
「ありがとう!」
甲羅の上から力場の滑り台でマホが滑る。
(よし全員避難したな。)
「背中の上でBBQをしたことは謝る。だが…討伐させてもらう!」
甲羅の上から勢いよく掛けおりていく。1度も減速せずにスピードをガンガンあげて加速してダッシュしていく。
勢いそのまま跳躍してブラックホールからピッケルを取り出して脳天に突き刺す。
「おんどうりゃーー!!」
(まだまだ!)
何度もピッケルを脳天に突き刺す。
刺す度に血しぶきをあげる。
(このまま倒せるか!?)
嫌になったのかジャンボミドリガメはしっぽを強張らせる。
(まずい!)
甲羅の上から降りた皆に尻尾を振ろうとするジャンボミドリガメ。
「力場!」
ブンと空気が揺れる音を出しながら水平に尻尾を振るって女性陣を攻撃しようとするが聖一が作った盾のような力場で防がれる。
(良かった。間に合った。)
今度はクルっと一回転して反対に尻尾を振るうジャンボミドリガメ。
聖一が乗っている頭もブンと震えるので、突き刺したピッケルをしっかり握り踏ん張る。
(振り落とされてたまるかぁ!皆も守らなきゃ。)
「ぐ、力場!」
間一髪で聖一は盾の形をした力場を作り、皆を守る。
4人を守りながら戦う聖一。
(こいつ意外に頭が良い。)
聖一は守りながらの戦いで思わぬ苦戦をする。
するとシャマが横に回り込んで精霊弓を放つ!
「えい!」
スルリと眼球に矢はのびていく。
「ギャウウ!!!」
「シャマ!ナイス!!」
眼球からは血が吹き出ている。
(シャマのおかげで隙ができた!!チャンス!)
グググと体に力が入るジャンボミドリガメ。
(ん、なんだ?)
「ギュエイ!」
シュコン!と音を立てて頭、両手両足、尻尾を殻にしまう。
「あぶね!」
閉じ籠る勢いで放り出されるも空中で力場を出して着地する。
(くっそー。)
一気に攻勢に出ようする聖一。
しかし、危険を察知したのか殻にとじこもるジャンボミドリガメ。
「殻に閉じ籠っちゃったなー。」
とりあえずミスリルダガーを突き立ててみるが、カン!とカン高い音がする。
(かったいなー!ドラゴンの鱗みたいに繋ぎめも無いしな。)
「どうしよ。ほっとく?」
訳のわからないことを言う聖一。
「だめよ!」
「だめなのでありますです!」
(でもどうしたらいいんだろう。これ詰んでない?)
殻に閉じ籠り絶対的な防御力を誇るジャンボミドリガメに立ち尽くす聖一であった。
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