第10話 盗賊のアジト

第10話


シャマについていくと言い出す聖一。


「ちょ、ちょっとなにいってんのよ!え?え?……まじ?」


取り乱すマホ


「でもやることが残ってる。だからすまないシャマ」


「え?やること?で、ありますですか?」


「そうだ。ビッグバンベヒーモスを倒してからだ!!」


里には行く。ただしそれはビッグバンベヒーモスを倒してからだと言う聖一。


「す、すごいでありますです!あの、ビッグバンベヒーモスを倒すでありますですか?つまり、世界を救う英雄ということでありますですね!!!!


聖一さん、決めました!私もついていくでありますです!」


それじゃあ一緒に行くというシャマ。


「え?危険だぞ。」

「え?危険よ。」


命がけの旅だと諭す二人


「恋はデンジャー!愛はレンジャー!世界を救って旦那連れ帰って、私は誰よりも幸せにナルンジャー!!!!!!で、ありますです!」


(え、最後不純~。)


「でも本当に大丈夫か?戦えるのか?」


「聖一はバカみたいな身体能力でピョンピョン跳び跳ねて空中に足場を出して戦うし、私はそれをサポート出来るわ。シャマあなた足手まといになるかもしれないわよ……。」


「大丈夫であります!!私は精霊の力を弓に溜め込んで矢を放つことができます!」


「シャマ!あなた精霊弓が使えるのね!聖一!これは百人力よ!」


「そうなのか?!」


「正直、長旅で疲れていなければあんな奴らどうってことは無かったんです。そう。弓さえあれば!」


盗賊相手に遅れを取ったが、疲弊していなくて、さらに弓さえあれば役に立てるというシャマ。


「長旅で疲れ、魔物を倒しながら歩いていた所を盗賊に見つかったんです。最初は応戦してボコボコにしてやってたんです。…でも私の弓に向こうの投げナイフが当たって、それで落としてしまって……」


シャマの弓は盗賊に追われて、応戦しているとき、弓に投げナイフがあたり落としてしまったようだ。


「とにかく見せるであります!私のお供が持っていた弓も世界樹で作られた最高のものです!」


盗賊に殺された仲間が持っていた弓を持つシャマ。精霊弓の力を見せてもらう為、外に出る。


「いきます。」


矢の無い弓の弦を引くシャマ。


エネルギーが収束して矢の形になる


「おお!」


「すごいわ!」


「あの、岩を見ててくださいでありますです!!」


エネルギーで、できた矢を放つシャマ。


シュウン!!と音を立てて進んでいき、岩盤にしっかり矢が突き刺さる。


2、3秒して矢は霧散する。


「色々できるでありますです!」


パワーを調整出来るようで、威力にエネルギーを振らずに距離と正確さにパワーを降ればホーミングのようになるようだ。


すごく便利だ。


何故盗賊に負けたのか不思議に思ったが、執拗に追われ続けて疲弊したところだったらしい。と聞いたことを思いだしさらに腹が立つ聖一。


(あ、ちょっと待ってキレそう。ちょっとこの世界の盗賊許せないな。他人の人生を踏みにじって良いわけがない。)


「多分さっきの盗賊は別動隊でありますです。指示を受けている様子がありました。本体はきっともう少し山の方にいると思いますです。きっと捕まってしまった人もいるです。」


盗賊の本体がきっとあって奴隷のように捕まってしまった人たちがいるかもと聞く。


「ではワガマチに帰る前にぶっ潰そう。」


「そうね。ほんと許せないわ!」


「そ、それは血が滾るでありますです!です!です!」



次の日の朝、ワガマチに帰る前に探索魔法をかけながら盗賊の本体を探す。


2時間くらい探したところで反応がある



岩肌に洞窟の穴があり、入口のところに見張りが二人。


「見つけた。」

「静かにしなさいよ。」

「こ、興奮するでありますです。」


見張りをシャマの弓で二人倒して洞窟に潜入する。


洞窟の中は通路から繋がって、5部屋あるようだ。


通路には松明が等間隔で壁に掛けられている。


1部屋思いきって開けてみるとそこには鎖に繋がれた女性が5人。


4人は比較的連れてこられて日が浅いのか、服は多少汚れているが顔や体は乱暴された様子は無い。


しかし、繋がれた1人は死亡している。


「くっ。」


「お金にならない人族の女性ね。」


「乱暴された上に殺されたようでありますです。」


どうやら4人の女性は人間以外の種族で、売れば高値で取引できるから手を出されなかったようだ。


しかし、お金にならない人族の若い女性は盗賊の男達に慰みにされた上に殺されたようである。


「許さん。」


聖一の腹の底から響き渡るような声が出る。


「ひ!」


聖一の声を聞いて怯える4人の女性。


「安心してくれ。必ずだ。必ず助ける!!!」


部屋を出た聖一は呟く。


「1部屋1部屋、潰していく…。」


通路には人がいないようだ。


次の部屋へ行き扉を開けると、部屋は広くて20人くらい盗賊がいる。


部屋には3つほどテーブルがある。


壁の松明と、天井に吊るされたランプのおかけで周りは見渡せるが明るい訳ではない。


「ライトニング!」


そこへ容赦なくマホの光魔法ライトニングが杖から閃光を放ち、盗賊たちの視界を奪う。


「シャマ、援護を頼む。」


走り出す聖一。



走りジャンプして勢いが増した所に、テーブルに手をつく。両足をくぐらせて遠心力をつける。


パルクールでいうコングヴォルトという技である。


その勢いのまま盗賊を蹴り飛ばす。ショットガンを喰らったように吹き飛ぶ。


(すんごい威力。コングヴォルトドロップキックとでも名付けようかなー。)


考え事をしながら側宙をして、ミスリルダガーで次の盗賊の首を飛ばす。着地と同時にしゃがみこんでまた次の盗賊の足を切りつける。バランスを崩した盗賊の頭に膝げりをかます。


「すご、あっという間に3人倒した……。私も負けてられないのでありますです!えい!」


シャマが放った矢が盗賊に命中する。


あっという間に20人を倒して、次の部屋へ。同じように部屋を1つずつ潰していく。



4つすべての部屋の盗賊を全員残らず倒す。


そして4人の女性を外に出して、亡くなってしまった1人の女性を埋葬する。


「一度、皆この小屋へ。」


ブラックホールから小屋を出して、お風呂に入ってもらい、暖かいご飯をたべてもらう。


泣きながらご飯を食べる4人の女性。


そして次の日の朝。


「ワガマチに帰ろう。」


「ええ」


「はいです。」


「さあ、皆も。」


4人は聖一に返事をする。


「「「「はい。」」」」


ワガマチへ向けて歩きだす一行であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る