第4話 伝説のアンデッド

小説4話




ダッシュバイソンのパワーが聖一に流れ込んでくるのがわかる。




ブラックホールにダッシュバイソンの亡骸をしまい一旦町に帰る事にした。


まだ時間は昼くらいだったが


「1回帰るぅー!!服とか顔だけじゃなく、大量に飲んだからお腹ん中も血だらけなのよぉー!オエー!」


とマホが泣き叫んだからである。





まもなく街だといったところで門の辺りが騒がしい。



「皆こっちこい!!」

「神官はいるか!」

「聖水を持ってこーい!!」

「大量にだ!!」

「血だらけの魔法使い!ブラッドマジシャンだ!」

「新しいアンデッドモンスターだ!」


門兵はマホを新手のアンデッドかと思って応援を呼び、兵隊20人に囲まれた。


そしてバケツに入れた聖水を一気にマホにかける。近くにいる聖一も聖水まみれだ。



聖水で血が落ちて顔が出る。


「あれ、マホだ。」

「ほんとだマホだ。」

「マホちゃん」

「マホチャン」


「あんたらいい加減にしなさい!!フィジカル、スピード、タフネス!うぉー!!!」


キレたマホが自分に補助魔法をかけている。


吹き飛ばされる門兵20人であった。




マホをなんとか落ち着かせ、冒険者ギルドに入っていく。






周りの冒険者がひそひそ話をする。

「なんでビショビショなんだ?」

「髪の毛に血がこびりついてないか?」


気にせず受付に行くマホと、ついていく聖一。


「素材の買取りを頼むわ。」


「えぇーー!身体中ビシャビシャですぅぅー!髪の毛に血みたいのがこびりついてグロテスクですぅぅー!!」



受付の言葉にキレてぶん殴る寸前で、聖一に羽交締めにされるマホ


「よせ!マホ!」


「はぁ…はぁ…。ごめんなさい、挑発されてるかと思って取り乱したわ。…素材の買取りをお願い。」


気を取り直したマホが受付嬢に素材の買取りをお願いする。


「買取りですねぇ。ではここに出してくださいですぅ。」


「え、ここ?大丈夫かしら?」


「結構あるけど良いのか?」


心配する聖一とマホに軽く言う受付嬢


「どうぞどうぞですぅ」


「じゃ、遠慮なく。」


ブラックホール空間からダッシュバイソンのお尻がヌゥーンと飛び出し受付のテーブルをミシミシと圧迫する。


「ストップストップですぅぅーー!!!!!」


「はーい。」

(もう!だから言ったのに。)


焦って止める受付嬢に呆れる聖一



「まあ、これは受付の子に同情するわ。ブラックホールが非常識過ぎるのよ。」


「裏のスペースにお願いしますですぅー!!」


ギルドの裏にある、学校のグラウンドくらいの大きさの訓練スペース兼作業場にブラックホールからダッシュバイソンを出す。


「この大きさを解体せずそのまま持ってくるなんてイカれてますぅぅ!」


「え!そうなのっ?!そ、それは申し訳ない。」


「普通は荷車とか荷馬車とか荷物持ちの人を雇うのよ。…何度も言うけど、ブラックホールがいかにイカれてるかってことよ。」


引きぎみの受付嬢をフォローするマホ



「申し訳ないついでに、解体お願いできるかな?」


「解体っ?!て、て、手数料さえもらえればやりますですぅぅ!」


泣きながら了承する受付嬢に、申し訳なさそうにお願いする聖一。


「お、お願いします。」


「はいですぅぅぅ。」


受付嬢に驚かれつつも冒険者ギルドにダッシュバイソンの素材を解体してもらう。


3時間ほど経って、解体が終わった。


「終わったですぅー。」


「バイソンの角を10㎏と、あと眼球を30cm×30cmと、太ももの筋肉の筋を2㎏と、サーロインと肩ロースの辺り合わせて10㎏を引き取りで、あとは売却でお願いできるかな?」


「はいですぅ。ってことは、はい!金貨500枚ですぅぅ!」


かなりの大金を得た。


(すげー。金貨500枚って、金貨一枚10万円くらいっぽいから~、これ日本円に直すと都内で一般的な家を買えるくらいかな。多分。)




ギルドでの二人の評価も上がったようだ。


「ということで聖一さんとマホさんは豪邸殺しですぅぅー!凄いですぅぅ!!」



事前にマホから聞いてた通り、角と、眼球と、筋肉の筋と、美味しそうな部位は引き取った。


なんでもダッシュバイソンの角はかなり頑丈で軽くて武器の素材にぴったりだし、眼球は魔法の通りが良くなる最高の触媒らしいし、

おまけに筋肉の筋はなめして良い防具になるようだ。



ギルドを出て鍛冶屋へ向かう。


「この素材で、こんな感じのやつを作ってもらえるかな?」



鍛冶屋でダッシュバイソンの角を素材に武器を作ってもらった。


聖一の新しい武器はピッケルという雪山登山などで使われる片手つるはしだ。


(ダッシュバイソンの角でできたピッケルなら土や岩も貫くはず!!雪山ではなくても登頂していけるだろう。ムフフフ。)


そして同じ素材で杭もつくってもらった。


ロープを通せるように穴が空いているので、投擲して岩や魔物等に引っかけてロープを別の場所に渡すことも出来る。


これで聖一の準備は万端だ。




次は、魔法屋に行きダッシュバイソンの眼球を触媒にロッドを作ってもらう。


「私もパワーアップしたし、


魔素の通りが良いロッドがあれば新しい魔法も使えるわよ!」


新しいロッドを手に入れ新しい魔法を使えると言うマホにワクワクが止まらない聖一。


(え?新魔法??どんなんだろー!!わくわく。)



次に、防具屋へ行き、ダッシュバイソンの太ももの筋肉の筋をなめして防具も作ってもらう。


(軽くて頑丈な素材ばかりのダッシュバイソンは優秀だな。)



そして、ジャイには、大きな風呂がついた人が寝れるロッジのような小屋を売ってもらう。



「そんなの買わなくてもうちにずっと住んでくださいですじゃ!」


と、ジャイが喋る横目に小屋ごとブラックホールに入れた。



ジャイの娘のムスメにビーフシチューを作ってもらい寸胴ごとブラックホールにいれた。


ブラックホールの中は完全に時間が止まっているので熱々のまま食べれるのだ。


「あ、そうだ。焚き火って意外と火起こしめんどくさいんだよな。既に燃えてる炭をたくさん持ってこー。」


灼熱の炭をブラックホールに入れていく。

(えへへ、金網も買ったしー、化物牛のサーロインと肩ロースはまだ8キロくらいあるしー。すぐ焼き肉が出来るなー。あ、ビールもワインも樽で買ってこー。ふふふ)


「聖一?遊びじゃないのよ?」


マホに釘を刺される聖一であった。




それから何日か休んで、気力体力は充分だ。



(二、三日休んだし。準備も整えた。よし出発だ。)



休んで少し怠けた体に、聖一は覚悟の活をいれる。


(優しい声に救われた命。この世界の災厄払うため、力をつけてビッグバンベヒーモスを倒すために、俺は進む!!)



「よし行こうか!」


「ええ、行くわよ!!」

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