EpizodeEX.5 アフター・ストーリー③

 その後、誘拐犯達には厳正な処罰が下される事になった。

 どうやら女性を奴隷にして儲けようと企んでいた様だ。

 絶対それだけではない、必ず裏がある筈だとリームは思っていたが、証拠がないので独自に調べようと考えた。

 リームとサベーラは門限を破ったカドで翌日怒られてしまった。サベーラが危うく奴隷にされかけた事は、事態が大ごとになる事を危惧したリームが黙っておく事にした。その為周囲には門限を破って遊びに出かけていたと認識され、ある意味「高嶺の花」と思われていたサベーラがクラスに馴染めるいい機会になったのだった。

「でも、納得がいかないなあ」

 そう言ったのはこの件では完全に蚊帳の外だったノアだった。

「納得いかないって何がだよ」

 リームはお昼のカレーをパクつきながら聞いた。

「だってサベーラさんはともかく、あなたがあの時、門限破ったのがただの夜遊びっだったなんて考えられないもん」

 ノアはかなり勘が鋭い。果たしてどうやってごまかそうか。リームはそう考えていると、

「ああ、その話か」

 話に入ってきたのはサベーラだった。彼女は一緒に食べていいかと確認を取り、了承を得たのでリームの隣の席に座った。

「あの時はな、私は危うく奴隷にされる所だったんだ」

 それを聞いたノアは、思わず椅子から転げ落ちた。

「え!? ちょっと待って、え!? じゃああの話って繋がってたの!?」

「ま、まあな……。王女が誘拐されかけたなんて由々しき事態だから、騒ぎを大きくせずに収めようとしたんだ。だからこの話は他言無用で頼む」

 ノアは首をぶんぶん縦に振って了承した。

「ところでサベーラ」

 リームはスマージフォンを取り出しつつ言った。

「?」

「メールアドレスの交換しようぜ」

 それを聞いてサベーラは危うく椅子から転げ落ちそうになったが何とか耐えた。

「ダメだ」

「何でさ」

「私は今でもキミの事が好きだ。あの日まで友達から始めてみようとも考えた。でもダメだ。私はキミを傷つけた。だから私にはその資格はない」

「なーに言ってんだ」

 リームは笑いながら言った。

「友達になるのに資格なんかいらないだろ。そもそも誰に言われるでもなく、自然となっているものだ。友達っていうのは。おれとノアだって交換してんだから、交換しない理由なんてないだろ」

 リームはサベーラのスマージフフォンを取り、勝手に交換してしまった。

「あっ!」

「あれが許されるんなら、これぐらいの無理やりなら許されるだろ」

 ほらよとリームはサベーラにスマージフォンを返した。

 サベーラは最初戸惑った様な表情をしていたが、次第にそれを受け入れたのか、笑顔で自分のスマージフォンを握りしめた。

 その様子をリームとノアはこれまた笑顔で見ていたのであった。




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