一幕一章「魔法幼女と魔獣」
異世界
吐き出されるように転移したのは青々とした芝の生える草原だった。
ホワイトラットはまぶしさに少し目を細めながら周囲の様子をうかがう。
ノーマンの姿はなくなっていて、代わりに真っ黒のリボンが落ちていた。
「無事、同じ世界に戻ってこれたようだ。」
「!?リボンがしゃべった?」
「先ほど死にかけていた男がいただろ?私は元その男だ。ノーマン・ラットだ。」
「リボンになったの?変なの。私、ホワイトラット。」
「おお!運命を感じるな。ミス・ホワイト。」
「…ここはどこなの?」
ザザア、と心地よい風がリボンとホワイトの髪を揺らした。
森、川、町と思わしき壁、農地、大きな空。
地雷原や壊れた戦車の見えないその風景はホワイトの目には異質に見えた。
「ここは…ふむ、よくわからないが、まあ安全だろう。もっともそこまで強くない魔獣は出るだろうがね。」
「魔獣?」
「む、そうだな、お嬢さん、君の目の前には真っ黒できれいなリボンがあるぞ?どうだ、つけたくはないかな?」
「…つける。」
両手でリボンを持ったホワイトはつける金具も何もないリボンをどうしようかと少し考え、胸元にあててみる。
すると、シュルシュルとリボンからリボンが伸び、首を一回りして固定された。
「苦しくないかな?」
「…うん。」
「では、《感覚投影》」
所有者であるホワイトの魔力を借り、ノーマン=リボンがこの世界の常識を映しだす。
「ちょっとしたお勉強の時間だ。」
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