彼の猫

バブみ道日丿宮組

お題:彼が愛したふわふわ 制限時間:15分

「お、お邪魔します」

 彼の部屋に入ると、もふもふがこんにちわしてきた。

「なにこれ?」

「猫だよ」

「え、えぇ……!?」

 猫にしては毛が長すぎる気が。毛づくろいというか、カットしてあげないものなのだろうか。

「ほら」

 彼は猫らしき物体を持ち上げて、こちらによこしてくる。

「う、うん」

 落とさないように受け取ると、やはりもふもふだった。あまり重くない。

 知らない相手だというのに、猫は暴れたりしなかった。

 靴を履いたまま部屋に入ることはできないので、一旦下ろして靴を脱ぐ。

 そして再度かついで、彼の後についてく。

 リビングにたどり着くと、そこはもふもふパラダイスだった。

「た、たくさんいるね?」

 えっと……猫が五、六匹いるのだろうか?

 もふもふなので一匹なのか、二匹なのか判断がつかない。

「寝室にもまだいるよ」

 いったい何匹飼ってるのだろうか。もとい今日ここに泊まって、私は大丈夫なのだろうか。

「こいつが一番小さいこ」

 寝室に入って彼が戻ってくると、手のひら二個分くらいの大きさしかない子猫を連れてきた。

「最近引き取ったんだよね」

「へ、へぇ……」

 眠いのか子猫は手足をぶらぶらとしてた。

「今君が抱いてるこがこの家のボスなんだ」

「そうなの?」

 猫に話しかけてみる。にゃーとは返ってきたが内容はわからなかった。

「適当に座ってて、コーヒー入れるよ」

 子猫を下ろすと、彼はリビングから出ていった。

「う、うん、ありがとう?」

 ソファーに向かい腰掛ける。すると、猫たちが近づいてきた。

 ボス猫を膝の上に置いてるからだろうか。警戒心があまりないようにみえる。

 とりあえず、近寄ってきた猫たちの頭を撫でてご機嫌とり。

 彼との性行為の間にやってこないかちょっと心配。せっかくの二人だけの時間なのだ。甘えるだけ甘えたいと思う。猫は猫で確かに癒やされるけれど、数の限界あるよね?

「びっくりした?」

 マグカップを二つもってきた彼がソファーの隣に腰掛ける。猫は理解してるのか、スペースを開けてくれてた。

「気づいたら、増えてたんだよね」

 増え過ぎじゃないだろうか。

「大変じゃない? こんなにいると……」

 私は自分だけでも大変なのに、彼はたくさんの猫たちの面倒を見てる。

「慣れかな。君みたいに可愛い声を聞かせてくれるからね」

「そっか」

 そうなのか?

「大丈夫。時間と場所はきちんと猫も理解してるからさ」

 それはそれでなんていうか、気まずい感じがする。

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彼の猫 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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