生首の俺が長髪ロングヘア美少女と学園に行くことになったことについての備忘録
オレは生首だ。文字通りの生きている首。姿形も首だけの存在。
何の因果かその状態でも生きている。ただ、座敷牢に閉じ込められているという結果付きだが。
座敷牢は意外と快適だった。一昔前ならまだしも今だと、声だけでなんでも操作できる。オレを見張ってるであろう守衛の人とテレビを見たりなどして暇になることはほぼ無い。
その日もなんにも変わらない一日なる予定、だった。眼を覚ますとやけに静かだった。いつもアニメ談義をする守衛もおらずバタバタと走る音と悲鳴だけが聞こえてくる。動くこともままならないオレはその音を聞くしか出来なかったのだが、雷鳴にも似た轟音が響く。
座敷牢の向こう側に女が降り立った。
セーラー服で、腰まである長い黒髪、顔は猿のお面で見えない。スタイルは良さそうに見える。
手には散弾銃らしきもの。
女がゴニョゴニョと口を動かす。すると、オレの意識が唐突に途絶えた。
※※※※※※※※
眼を覚ますとオレは鳥籠らしきものの中にいた。外は布のようなものが掛けられて何も見えない。訳が分からなかった。もう訳が分からなくなって、そういえば思考を外に放り投げていると外から声が聞こえてきた。
「起きてるかい?」
女の声だ。やや若いか……?
途端布が取られ、光が突き刺さる。
徐々に視線が戻るとそこには満開の桜と学校らしき建物が見える。
オレが入った鳥籠らしきものが大きく揺れた。グイッとその声の主の近くまで持ち上げる。
「キミのことなんて呼べばいいんだい?」
女だった。とにかく綺麗としか言えない。テレビの中のモデルや芸能人のようだった。長そうな黒髪が大きく揺れる。言葉を失うとはまさにこれだ。
「お? 私の美貌にやられたか?」
ぐふふ、と女は笑う。そんなわけねぇ、と必死に抵抗するものの女は笑みを絶やさない。
「つーか、なんでオレはここにいるんだよ」
「私が連れ出したんだ。野望のために、ね」
「野望?」
「そう。でもヒミツだよ。秘密が多ければ女は輝くんだからね」
ウィンクしながら女はそう言った。言葉の末尾にハートマークが透けてみえる。
「とりあえずキミの、その死なない能力を万全に使ってくれたまえ」
その笑みとは裏腹に言葉に重さが乗っていた気がした。
オレがこれからのどうなるのか今はまだ分からない。ただ、嫌な予感だけが残っていた。
END……?
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