ゲーム8:うぃずらぶクッキング選手権②
誰が早織を自分のものに出来るか競うグループ
参加者 健吾・勝太・弘人・いおりん♪・かず
伊織『みんなー』
伊織『起きて起きて―』
伊織『確かに、日曜日の六時半だから寝てるかもしれないけどー』
伊織『くそ、みんな寝てやがる』
伊織『一週間何にもしてなかったからって』
伊織『取り合えず、場所とルールを最初に伝えとくわ。起きた人から見て』
伊織『まず、場所はうちね。うん、これはOKね』
伊織『で、まず料理のテーマだけど、これは分かるね? うぃずらぶよ』
伊織『そう、早織に愛を伝えて、なおかつ喜んでもらえる、美味しい料理』
伊織『で、うちのキッチンはやっぱり広くないから』
伊織『順番にやってもらうわけよ』
伊織『その順番ってのは、くじ引きで決めるわけ』
伊織『あ、そうそう。食材は事前に買ってきて。料理も自由に考えてきてよし』
伊織『言っとくけど、なんか特別な調理器具がいる料理は無しね。いくら伊織様うちのキッチンそんな特別な調理器具無いから。ありきたりな普通のやつで作れるやつね。オッケー?』
伊織『あ、それとあんまり時間がかかるのはやめてよ? 一日熟成とかそんなん無しだから』
伊織『で、審査員はたぶん、あの、あれ、前家庭教師対決とかで色々協力してもらった人たち。オッケーね』
伊織『あ、みんな早く起きろヨー!』
勝太『起きました』
勝太『分かりました』
健吾『了解』
弘人『はい』
かず『わっかりましたーっ♪』
弘人『これて、いつからですか? 今日?』
伊織『あ、そうそう。遅いっつのー』
伊織『今七時半でしょ? だから、そうだなー。昼時がいいから、十一時にうちに集合で。その時はちょうど、誰もいないのよ。親はなんかデート行くらしいし、早織はアウトレット行くとかそんなんだったかな?』
伊織『じゃ、そういうことで。他質問は無し?』
健吾『ございません』
伊織『りょーかいっ。じゃ、十一時を楽しみに待ってるわ。あ、十一時を一秒でも過ぎたらその時は自動的に順番一番最後が決まるからね』
伊織『以上! じゃ、各自料理を考えるように』
勝太『あ、あと一個だけ』
勝太『料理はそういう、なんかレシピサイトとかそんなの見てもいいんですか?』
健吾『たしカニ』
伊織『んー。難しいなー』
伊織『……まあ、それは良しとするわ』
健吾『ありがたき幸せ!』
うーんうーん……。
なかなか難しい、料理ってもんは。
勝太は必死に考えている。
「ちょうどこの前に遊園地に行ったときは何を食べたっけ?」
いくら考えても、あの時は沈黙のコーヒーカップしか出てこないのが現状だ。
「……はー」
考えてみる。何か、愛を伝えられる良い料理はないものか。
「……あ」
ふと頭の中で光ったのはオムライスだった。小さい時に、母が大きなオムライスに『しょうちゃんたんじょうびおめでとう』とケチャップで書いてくれたのが印象に残っている。
あれを『さおりちゃんあいしてます』とか、『ぼくとつきあってください!』とかそんなのにすれば……?
それ以外に何かあるだろうか。
「……なんも浮かばねぇわ」
「なるほど……」
弘人はひたすらググっていた。
「男らしい料理……チャーハンか……」
料理は苦手だ。何をしていいのかさっぱり分からない。特に、包丁を使うのが難しいのだ。僕が不器用なだけなのかどうかは良く分からないが。
「うーん、オムライス、シチュー……オムライスとか、なんかケチャップで書いたりしてたなぁ……」
と、ふと見つけた。
「魚……」
『魚をさばけたら、彼女が驚いて好感度アップです!』と料理系サイトには書かれている。
「なるほど……でもなぁ、捌けんしなぁ……」
結局、弘人は一番簡単そうで、なおかつ自分が好きな牛丼を作ることを決めた。
「って、買い物ってどうするんだよぉ……ったく……」
チリンチリン♪
一樹は自転車をのんびりと漕ぐ。
――さすがは伊織先輩♪ 愛してるぅ。
もう駐車場が見えてきた。この田舎と都会を半分ずつ掛け合わせたような街の田舎の部分。その田んぼにポツンと建っているのがこのスーパー、『フレッシュフレッシュ』だ。僕が料理を作るときにはよく行く場所である。
「さて、今日の料理は……早織キュンと、食べてくれる小鳥ちゃんのハートをさらにググっと僕に引き寄せる、サーモンのムニエルでーす、と」
自転車を降りて、早速店内に入っていく。
「あ!」
と、見つけたのは健吾だった。
「あいつも来てるし……」
よくよく考えるともっと来ている可能性もあるわけだ。ここは、材料なんかを見られないように慎重に行かねば。
「……あれ、一樹じゃねぇの?」
――バレたか、畜生。
「や、やあ健吾君。君も来てたのか」
「あぁ、ちょっとまあな、作ろうと思ってさ」
「なるほどねぇ。何作るの?」
「ちゃーは、あ、いや、何でもねぇ」
「チャーハンねぇ。なるほどなるほどぉ。へぇーチャーハンか。まあ、そんなもんだよねぇ。初心者はそれぐらいがピッタリだもんねぇ。ネッチョネチョのチャーハンにならないように、せーぜー頑張って」
健吾がたちまち顔を真っ赤に染めて、喉から反論を絞り出した。
「……あ、んだよ、おい、チャーハン舐めんなよ。そういうお前は何するんだ、おい。そんなイキってる暇があるんだったらよほど愛を伝える旨い料理、作れんだろうなぁ?」
「んーもちろーん。そりゃそ。ま、せーぜー頑張ってねぇ」
――チャーハンねぇ。他の人もみんな料理初心者って言ってたしねぇ。さすがは伊織先輩、こんなの勝ち確。あーつまんない。もっとハイレベルな戦いが出来たらいいのになぁー。
と、もう時間が十時となっていた。
「……あ、ヤバい。急がないと」
慌てて一樹は鮮魚コーナーへと急いだ。
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