第3話 普遍的召喚、集まる強者達
壁に備えられた燭台に灯る蝋燭の火の数々だけが照らす薄暗い大広間。
その中央に敷かれた魔法陣を描いた絨毯の上に、統一された黒の外套でその身を隠した10人の男女が口々に呪文を唱えつつ円陣を組むように立っている。
彼らは魔術師であり、魔法陣を囲っているのは大規模な魔法を現在進行形で使用しているからだった。
それを、遠目から若き男が一人眺めている。
ワインのように綺麗な赤を基調とした衣服の質や装飾の数々からして、護衛を伴うべき立場だろうが、今はその者達が居ない。絨毯の上に陣取る魔術師達への信頼の表れと言うべきか。
彼の名はパレーズと言い、最上の位から三番目に位置する侯爵位を授かるこの青年は、今回の召喚、並びに現在行っている召喚対象の調査の監督役を務めていた。
「今回も成功のようですな」
濃い灰色の外套に姿を覆い隠した老齢の魔術師が何かに気づいた様子でそう呟く。
「当然の結果だ。失敗などあっては困るからな」
さも当たり前かのようにパレーズは淡々と返答する。
魔術師が使用している魔法は古来より伝わる召喚魔法。
それも、パレーズや魔術師達の居る世界、それとは別の世界に働きかける魔法であった。
その魔法の行使に用いる魔力を、召喚魔法を使った時点より顔ぶれの変わらないこの場に居る十人のみで賄えるかと言うと、不可能である。
では何故成功したのか――その理由は彼らの属する国とは別の国々にあった。
今回もまた、召喚魔法の使用はその魔法を知る全ての国が合同して行っていた。
今日のようにパレーズが立ったまま、魔法の行使を眺めている間に、他の国々もまた同じ召喚魔法を同時に使用したのだ。細かな様式、形式は違うだろうが。
しかも、今回も伝承の日と同じ月が太陽を覆う日食の日に行われた。
別世界への働きかけはこのような日が都合が良いのだと代々言い伝えられていた。
その為、この国――エルタ帝国にも事前通達などが行われ、参加する事になった。
「もう暫しお待ちくだされ。今回の結果が出ます」
「ああ、分かる範囲だけで良い」
…なったのだが、パレーズ、というよりエルタ帝国そのものが別世界への召喚魔法の行使自体に乗り気では無かった。
何でも、この召喚に積極的に参加する国は召喚対象に対し有利に立ち回れるだけの技術や魔法の類を備えており、必要あらば対象の排除や隷属化も可能とするそうだが、この国からすれば伝聞や噂話の域を出ず、眉唾物でしか無い。
それが次の召喚対象に対し通用する根拠も乏しく、「こんな事を繰り返せばいつかは罰が当たるだろう」という見解がこの帝国においては大半を占めていた。
しかし、それを大っぴらにすれば外交問題に繋がる恐れがある。
仮にもそのような技術や魔法を備える国を相手に、戦えるだけの武力も持っていないエルタ帝国は、本音を隠し渋々ながらも召喚魔法に参加する事になった。
嘆かわしい事態に晒されていると理解しつつも何も出来ない、してやれない自分をパレーズは内心呪っていた。
願わくば、此度の召喚対象が上手く引っ掻き回してくれないものか、とも思いつつ。
「パレーズ様、どうやら今回の召喚対象は…『呪われた島』に流れ着いたようです」
結果の報告により、それまで黙っていた他の魔術師が、口々に驚きや嘆きを顕にする。
『呪われた島』とは、この世界の北端に位置する大きな島である。
統治してはならないという条約も無く、規模だけなら何処かの国が領土にしていてもおかしくは無いのだが、そうはなっていない。
それは『呪われた島』と呼ばれる所以にある。
遥か昔に『第二次聖戦』と呼ばれる大戦がその島を舞台に行われた。
魔王デュロンバルダ率いる魔族の軍勢と、『剣と杖の戦神』ハヴァル率いる人間軍の激突。
5年に渡る闘いの末、魔族を退け人間軍が勝利を納めた。
しかし、その直後に問題が発覚した。魔力と魔力の激突が日夜問わず続き、魔力の根源となる魔族や人の血が島のあちこちに流れた事により、魔力の性質の一つである『生物への毒』で汚染され、島そのものが生物の住めない環境になってしまったのである。島全土はおろか200m以内の周辺海域すらも。
その状態を放置する訳にもいかず、環境を復活させる為、試行錯誤が行われたものの、未だ緑の戻らない島の様子が結果を物語っていた。
各国から名乗りを上げた腕に自信のある魔術師達が、完璧に近い理論を構築した学者達が、意気揚々と島に向かった。
その数日後、あるいは数週間後に自分達の実力が通じない絶望を味わい帰ってきたという話は後を絶たない。
また、島から帰ってきていない者も居るという話も。
自信が打ち砕かれ、無力さから来る自責の末に、衝動的に略奪や窃盗を繰り返すようになった者、酒に溺れ飲んだくれになる者や、幻覚や幻聴に苦しみ自ら命を絶った者さえ中には居る。
当初は明るく送り出していた、島の最寄りの港町の住民すらも何の成果も得られずに年月が経つに連れ、島に復興目的で向かおうとする外者を迫害したり追い返そうとしたりと諦めを隠さなくなってきていた。
『呪われた島』とはそれらによる諦観と畏怖から名付けられている。
しかし、召喚対象がそんな島に流れ着いたという事実にパレーズは然程興味を持たなかった。
今はそれ以外の情報を探る事も重要である、という理由もあるが。
「場所以外は分かったか? 規模は? 様子はどうなっている?」
「それが、外部からの阻害を受けているようでして、大まかな位置以外は確認が出来ませぬ」
「何だと?」
召喚対象をこちらの世界へ引き込むのに成功したが、それ以外が確認出来ない。
前例の無い事態らしく、外套を纏っていても魔術師達が狼狽えている様子が分かる。
乗り気では無かったのが災いしたか。パレーズは魔術師から目を逸らして不機嫌を露わにする。
(どう皇帝陛下に申し上げれば良いものか。暫くは国家全体で確証の無い追求から逃れる日々になりそうだ)
「…面倒事にならなければ良いが」
パレーズの呟きを嘲笑うように、事態は水面下で悪化していた。
◇◆◇
『パンベナット・スレーヴの復旧作業、避難民受け入れの為の海上、天空居住地及びプラントの建設作業、周辺海域の哨戒活動、全て滞りなく進んでいます』
使用電力を最小限に抑えた、薄暗い大広間の中で今日もジェネルは玉座に座ったまま作業していた。
ジェネレイザの電力は全てシアペルが賄っているので節約する必要は無いのだが、敵の存在が不透明である今は用心するのに越した事はない。
名も知らぬ島の上に首都と首都に隣接する施設の数々のみが移されて早三日。
発生した問題の数々は順調に解決へと進み、少しながら島の外に目を向けられるようになった。
周辺の海は魔力による土壌汚染の弊害を受けており、海すらも生物が住めなくなっていたが、その影響が軽くなったことで海洋生物がこの近海に戻りつつある。
砂浜付近やパンベナット・スレーヴ周辺に羽休めに来た海鳥の存在が観測され、それが元になって判明した貴重な情報だ。
そのようになった直接の要因である、許容限界値の約五倍と大きく上回っていた魔力の排除はどのように行われたのか。
それは三機神の一角たるシアペルが有するスキルの一つが答えである。
《エリア・チェンジャー》という名称を持つそのスキルは、彼女の佇む首都カルヴァルズ・フルドのメインタワーより半径100km、ゲームで換算するとマップを問わず正方形状の50マス以内で且つ5×5の範囲内の空間を彼女の思うままに変化させるという効果を持つ。
《マギア:メタリズム》本編においては、ジェネレイザ近郊、並びに首都カルヴァルズ・フルドでの決戦が舞台となる、彼女がボス級のメカとして出てくるストーリー終盤のマップに於いて猛威を奮ったスキルであり、三機神それぞれが持つ初見殺しの一つとして多くのユーザーに知られていた。
《マギア:メタリズム》ではマップを構成するマスの一つ一つに地形効果という概念が用意されている。
攻撃を行うユニットと攻撃の対象となるユニットの居るマス、もしくはユニットの高度の差、地形の種類やマップの天候がその効果を構成し、そこにユニットのグレードとサイズの差や使用するスキルや武装の種類が組み合わさることで最終的な命中率と受ける、与えるダメージの数値を算出する。
これを熟知しているか否かが数多のマップにて勝敗を分ける鍵となる為、ストーリー終盤に於いてもNPC最強の軍団を倒す突破口になるだろうと予想し挑むプレイヤーも少なからず居た。
これのせいで泣きを見るとは露知らず。
《エリア・チェンジャー》は地形はそのままで各種補正効果のみを変更したり、マップ上に異空間を生成し、その空間に巻き込まれたプレイヤーのメカは数ターン行動不能になったり、既に行動を終えたジェネレイザのメカの居るマスに回復効果を付与したりなどとマップ上にもたらす効果ならば何でもありの能力だった為、このスキルが齎すジェネレイザの反撃を受けて逆転負けになるパターンはプレイヤーの一種の通過儀礼になる程だった。
彼女が出てくるマップに挑む頃には地形効果を無視する武器や異空間の影響を軽減もしくは無効化する装備が解禁されており、マップに於いても彼女のHPを最大値の75%以下にするか、使用制限である5回目を迎えてから一切使ってこなくなる、と一応の救済措置や仕様は用意されていたのだが、事前情報も無しに挑んだプレイヤー達は阿鼻叫喚に包まれた。何度も敗北してやっとそれらの存在に気付く程に。
そんな多くのプレイヤーにトラウマを刻み込んだスキルが今、ジェネレイザを襲う危機の排除に役立っている。
《エリア・チェンジャー》は地形を変更せずに効果のみを変える事も可能である為、その効果に組み込まれていた魔力による汚染のみを取り除き、転移前の肥沃な状態に戻したのだ。
スキルの使用制限はこの島に流れ着いてからも機能しており、三日間で使えた十五回の《エリア・チェンジャー》は島の土地の6割から、土壌に悪さをする溢れかえった魔力を消し去るに至った。
パンベナット・スレーヴとその周辺地域を中心に使用した為、細かな箇所は残っているがそれは追々処理する予定だ。
「ならば良し。『スペード・ネイビー』には哨戒活動を最優先にしろと伝えてくれ。敵対勢力が海上もしくは海中に出没するようなら撃退して構わん。可能なら生け捕りにして、情報源としてハーミット・クリフの研究者達に引き渡すよう、ともな。『クローバー・エアフォース』には何時でも出撃出来るように準備をしろと伝えてくれ」
『承知しました』
今より三日前、ユニリィとメルケカルプより興味深い情報が齎された。
ユニリィからは救助活動中に彼女の部下が発見、観測した遠海にて生息する海洋生物の資料が、メルケカルプからは島の周域について得られた情報が送られてきた。
それを精査し、ユニリィのデータからは見たことも無い種類ばかりの海洋生物の存在が、メルケカルプのデータからはこの島の特徴が分かった。
観測された海洋生物の数々は元の世界では存在していない。この島は汚染が発生するよりも前に、孤立している。
それにより確信が得られた。この世界は、我々の知らない別世界なのだと。
ジェネレイザには元々世界地図があるのだが、それをアーカイブの一つとしてメモリーに保存しているジェネルは直ぐ様現在地がその世界地図に無い場所だと突き止めた。
そもそも、ジェネルを含むジェネレイザの面々は、此処に来るまでこんなになるまで放置された魔力漬けの島を見たことが無かった。
それだけでも疑う余地はあったのだが、もう少し情報が欲しいと考えた結果、此処が元の世界とは別世界であると証明して終わった。
すると、新たな問題が浮上してくる。この世界はどのような場所なのか、と。
まず、こちらの世界に引きずり込まれた理由が分からないし、この世界の生態系すら、近場の海の状況が分かっただけでこの世界の全てとは程遠い。
敵対勢力とは言ったが、その意思があるかどうかで判別しているだけで素性は分かっていない有様だ。
こんな不足だらけの情報量ではどうぞ攻め込んで来て下さいと言っているようなもの。故に今は身を隠してこっそりと海軍を動かし外の状況を把握するので精一杯だった。
「防諜フィールド、認識阻害システム、
『はい。動作チェック、ワクチンプログラムも異常なく、今も稼働しています。侵入者も居ません』
「良し。知らん内に敵に入られるのは御免
実を言うと、転移事件初日から《マギア:メタリズム》に居た頃からの習慣で発動させていた各種隠蔽プログラム。それらが正常であるのか、また検知された存在が居ないかを改めて問うた。
侵入された痕跡も無く、正常に機能し続けている。これにジェネルは深く安堵した。
直後、来客を示すブザーが鳴り響く。先に聞いたアラームよりかは耳触りの良い音を合図にジェネルはコンソールを開き、「マップ」画面に切り替えて、青い点が示す反応の数とそれらが何者であるのかを把握した。
『陛下、この部屋に案内させますか?』
「ああ、連れて来てくれ」
直接出向くのも悪くないが、今回は敢えて、座して待ち構えて見ることにした。
首都カルヴァルズ・フルドの中心であるメインタワー。その塔を中心に床の模様が波紋状に広がっており、更にその上には太く長い塔を取り囲うように四方八方へ黒い犬歯に似た隆起が建ち並んでいる。
メインタワーの補助機構にあたるそれらは、カルヴァルズ・フルドの地が異界の地になろうと塔とその地下深くに鎮座する主を支えている。
その天高く聳える塔を目印に、待機する紫色の人型が一つ。
奥へ細く尖った紫色の頭部と顔面に顔のパーツでなくアルファベットのWに配置を寄せた5つの黄色い点を表示する黒い液晶を持つ彼は、メインタワーの外装甲を背に付け、丸く黒い関節を挟んで左右に細く手前と奥に平べったい装甲の両腕を組んでいる。
彼の持つ細長い黒の指はまるでその一本一本が小さな蛇のよう。
彼の異質さはそれだけでなく、胴体も、腰も、足も黒紫色の何もかもが異常なまでに細かった。
メカしか居ないこの国ですら異形と認識される亜人形メカ。
《ダークスチール:サーバント》と呼ばれる種類の彼の名はマディスと言う。
そして、彼は様子から分かる通りただただ待っていた。
「おお、待たせたかの?」
彼にとって慣れ親しんだ、口調と声質とがちぐはぐな少女の声が聞こえてきた。
メインタワーから背を離した彼の目の前には、奇怪な集団が立ち並んでいた。
待っていたマディスも含め平均サイズM、平均グレードA+と、ジェネレイザの中でも強者ばかりが集められた集団。
その先頭に立つ、控えめの二対のサイドテールに金色を基調としたのボディを持つ、見た目の愛らしい幼児体型のガイノイド。
彼女の大きな翡翠の目が彼の姿を捉えた事で手を振ったので、彼もまた小さく手を振り返す。
種類を《ライトスチール:ソーサレス》、名をエルドネーラ・フォンテスという名の彼女はマディスの数少ない友人だった。
「問題ない。予定より少し早い到着だ。予定を過ぎなきゃ何分でもオレは待つさ」
「いや、これから会う御方を待たせるわけにはいかへんけどな…」
エルドネーラの右に居る、杖を突く、ガスマスクより白い気体を噴き出す山岳帽の大柄の男が会話に混ざる。
体が異常なまでに曲がっており、グレーのスーツの上に羽織った白いコートの背中が真正面からでも見え、その見た目が風船のようにすら思えてくる。
「なんでこう、マディスはんはマイペースなんや。もう少し連帯感ちゅうもんを持たなアカンで?」
《フロストスモーカー》と呼ばれる種類のジャモラクという名のその亜人形メカは、マディスに大げさな身振り手振りで注意する。だが、この場に居る殆どのメカからは同意を得られなかった。
中にはジャモラクに軽蔑の視線を向ける者まで居る始末。
「お前にだけは言われたくなかろう。ハーミット・クリフの連中の好き勝手を許すお前には」
灰色の重装甲にその身を包んだ、鎧武者に近しい姿をした亜人形メカも割り込み、その理由を説明する。
《ブレードマスター》のイッテツという名を持つその男は、目以外の顔のパーツが無く、視線と篭もり気味の声で感情を表現する。
その発言に彼の近くに居た、イッテツの姿とは対照的に、漆黒の禍々しいフルプレートを纏う大男も便乗する。
「イッテツに同じだ。あいつらは何というか、やり口も目つきも恐ろしい」
「なーっ、失礼な!研究熱心と言うんや彼らのギラギラした行動力は!」
《ダークスチール:クラッシャー》にしてパンドレネクと言うその亜人形メカにジャモラクは抗議する。
ガスマスクと雄々しい角を生やす黒兜がいがみ合う。そこへ無機質な足音を微かに鳴らし、割り込む少女が一人。
プラチナブロンドとは正しくその髪を指すのだろう。
一歩進むごとに広がるほろ甘い香りと共に上品な艶のロングストレートを風に靡かせ、レオタードに似た、布地が豊かな肉付きのボディラインを強調する薄鎧と、前髪の上に付く四本角のアンテナを模した髪飾りに、それから広がるシルクのベール、裾が金属製であるロンググローブ、ニーソックスに金属製の靴と純白を基調とした装いが、迷いなくジャモラクへと向き直った。
真顔のまま、その目だけが彼を冷たく睨んでいる。
「我が妹達からも貴様の部下の異常性について苦情が出ている。二度は言わん改善しろ」
「そりゃあんさんとこの娘らが怖がりなだけや!」
すると、少女の様子が一変した。
真顔を保ったままだが、その蒼い瞳は激しい怒りに揺れている。
乱暴に伸ばした腕の先には境界が波打つ異空間より引っ張り出された純白の槍が握られており、その穂先がガスマスクに向けられるのは時間の問題であった。
「妹達を愚弄するか貴様ァ!」
「ひーっ、地雷を踏みに行かせんの勘弁してぇな!」
パンドレネクには抗議してみせたジャモラクでさえもおっかないと認識する彼女は《メタルヴァルキリー》にしてレヴァーテという名を持つ。
見た目こそ華奢な人間の少女に見えるが、実態はジェネレイザの誇る歴戦の猛者であり、この集団における最強格の存在だ。
そして、ジャモラクとのやり取りからわかる通り、彼女の妹達を軽んじる事は、彼女にとっての地雷であった。
「お喋りをして、大丈夫なのか?」
最早、蚊帳の外にされた者達が止めなければ収拾のつかない事態に、マディスが真っ先に割って入る。
それを聞いて冷静になったのか、レヴァーテは槍を構えた体勢のまま数秒沈黙すると、構えを解き槍を元の空間に戻した。
一先ず処罰を免れた事にジャモラクは安堵する。ガスマスクを被ってはいるが、身振り手振りからその表情は読み取れた。
「…せやせや、これ以上はお叱り食らっても文句言えへんで」
「誰のせいだと思っている。妹達に謝れ」
「後でたっぷり謝るから、それでええやろ!」
「私にでは無い妹達にだ!さっさと行って来い!数分で戻って来なければ解体する!」
「えええ無茶苦茶言いますやんこの人!マディスはん止めたって!」
「いや、オレじゃ勝てんよレヴァーテには」
「ちょっとおおっ!?」
彼らの集まるメインタワー周辺。
そこから更に北には一つの巨大な城が聳え立っている。
彼らの向かおうとしているその城はわちゃわちゃとする小さなメカ達を微笑ましく思うように佇んでいた。
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