第50話 ガス × 空気から水
「みんな、流石だねっ!」
英人は『e-to』の議論チャットをみんなが本当によく見てくれてたんだ。と再認識する。
そう、地底国家を造る。
有名なものはカッパドキアだが、オーストラリアでは、クーバーペディっていう街もある。中国にも地下都市は存在するらしい。
日本では、春日部の防災地下神殿が有名だ。今回は、それよりも最先端で広い空間を造りたい。
「悩んでいることがあるから、みんなで決めていきたいんだ」
「どんなこと?」
サンクが脚を組みながら俺に任せなよ。とポーズを決め込む。
「大空間を何個か同じ深さに造って、横にも移動できるようにして、それを階層にしたいんだけど。避暑地とか観光目的、後は働く人みたいに大空間毎にある程度まとめたいんだ。どんな用途があるかな?」
「まずは僕たちで一つは使いたいね。法律を作ったり、色々必要だろうし。まあ、アントニオの会社を一つ置いて、勝手にさせるのもありだしね」
リンが笑いながら想像する。
「収入のことを考えたらカジノとか、遊園地的なので一つ使えばいいかも」
セイスが前屈みに金になりそうな妄想をする。
「後はホテルと、避暑地だからゆっくりできる空間かなあ。プールとかジム、カラオケボックスとかまとめたらいいかも」
チルが楽しそうなのを考えてニヤニヤしている。
「最低いるのは居住区だよね。スーパーとか買い物区みたいなところをつくってもいいかも」
オイトはピンチョスをまだ食べている。
「だいたい地下一層目は決まりそうだね」
エミリオがまとめにかかる。
「地下に入る入り口から、まず、カジノ区で、ホテル区、買い物区、居住区、creator区。」
「良さげだね。居住区とcreator区は専用の地上に上がれるエレベーターとか設置したらより便利かも」
「じゃあ、それで地下一層目は決まりだね」
エートがこれで決定と言わんばかりに終止符をうつ。
ちょうど、一層目が決まったときにクリスティーヌとアンナが到着した。
エートが、今までの経緯を説明し『cr』『a』として、参加するように二人に言った。
二人とも「わかったわ」とコルクを取って椅子に座る。
いつもなら、地底国家で避暑地ね!ぐらいのテンションでクリスティーヌもアンナも食いつくはずなのに。なんとなくエートの方が上位者になった気がしてリンが訪ねる。
「あれ、なんかあった?」
「……お、怒られたのよ」
クリスティーヌが小さい声でそう言った。
アンナが怒られた経緯を説明した。
「まあ、エートが言うこともわかるよ。サラとセレナの役割は決まってるし、たまに提案することはあるぐらいだからね。君たち二人は『cr』『a』でもあり、エートは君たちの意見も必要だと思っているから怒ってくれたんだよ」
とエミリオが優しく説明した。
「「そうなの?」」
クリスティーヌとアンナがエートの方を見る。
『最初が肝心! 的な思いの方が強かったからで、そういうわけじゃないんだけど。でも『cr』『a』の意見は必要だとは思っているし』
「もちろん、そうだよ」
英人は照れ笑いを浮かべる。
二人は嬉しかったようで、一気に元気になった。
「じゃあ、二層目はどうする?」
エートは恥ずかしかったようで話を戻す。
「研究区とかどうかしら? 最先端の研究を自由にさせるの! 成果には報酬を与えて、成果物は国に移譲させる。他の国が成果物を使用したい場合は、国がお金をとるとか?」
クリスティーヌが得意分野だとはりきっている。
「なら、いっそのこと二層目は全部研究区にしたら? 食物区、医療区、デジタル区みたいに、分野をわけるとかどう?」
アンナも同じテンションで目をキラキラさせている。
「食物区をもう少し分類しても面白いかもね。例えば、植物食物区、動物食物区、その他食物区みたいに」
セイスが食べることなら負けないぜってな顔をする。
「動植物食物区とその他食物区にして、あと一つを【地球】区にして、国の吸収方法とかを研究させても面白いかも」
スーはもう少し先の未来を視ている。
「それいいね。そうしよう。みんないい?」
みんなが頷いたので二層目も決まった。
二層目は、全部研究区で、動植物食物区、その他食物区、医療区、デジタル区、【地球】区だ。
「普通の疑問なんだけど、水、電気、ガスはどうするの?」
セレナが、ピンチョスを追加しながらみんなに聞いた。
「電気は、ソーラー発電と蓄電でなんとかなると思う。水もハイドロパネルっていう発電と水を同時に生み出すのもあるし。あとは、井戸を掘って出てこなかったら、ナセル湖から水を引けるかをエジプトと交渉だね。水の落下を利用したら、水力発電にも使えそう。それも無理なら、空気から水を生み出したらいいよ。今は空気から水を作るウォーターサーバーだって販売されてるからね」
エートが最先端を説明する。
「え、空気から水を作るの?」
セイスが驚く。
「うん、最近、日本でもそういう商品も出てきてるし。原理的には簡単なはずだよ」
エートはそういう最先端的なのが大好きだ。
「てことは、ガスはなくても電気さえあれば、なんとかなりそうってことだね」
リンが解決できたと満足げな表情だ。
「あ、ちなみにだけどアントニオには、メガソーラー会社は一番最初に頼んでるよ」
用意周到すぎる。
「そろそろ一旦休憩して、ディナーにしましょ。肉と魚も準備できたわ」
サラがキッチンから声をかけた。
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