第22話 税金 × 新たなるメッセージ
eightersポテチ×コーラ事件より過ぎること2ヶ月。
今日も英人は、あくせくと働いている。
しがないサラリーマンだから仕方がない。
今日は、販売予定のマンションのモデルルームの完成日でその検査だ。
マンションの場合は、建築するのに時間がかかる。だから、実際完成する予定の間取りをプレハブ(簡易的な建物)の中に造って、それを見て契約してもらう。
『お金の無駄だよなあ。広い場所だけ借りてバーチャルホログラムで体験とかできる世の中に早くならないかなあ』英人は思考を加速させる。
『どうせ壊すものは、最初から造らない方が地球環境にも寄与するでしょ。そう考えたら、構造模型とか完成模型もいらなくなる。
あ、あのアニメはバーチャルホログラムとかで見れたら絶対面白いっ!
何気に一番発展してほしいかも。
バーチャルホログラムがあれば、活躍の場は多い気がする。学校の授業で動物の名前を教えるのに、特にリアリティが出たり。
料理とか一流シェフが調理する過程を、隣で映像投影してくれれば、再現もできそうだし、手術の練習とかにも使えそうだ。
もう少しシステムとか組み込めば、会社の受付とか、案内系はホログラムで対応できるだろう。
プレゼンテーションや講演とかの情報の一方通行系は全部使える。わざわざそこに行く必要もないし、移動コストも削減できる。
まあ、できたとしても当分はバーチャルホログラムの導入コストのほうが高いだろうから難しそうだな。
早くそういうのが当たり前の世界にならないかな。地球規模で援助したら、わりと早く低コスト化も実現したりしそうだ。
でもこれを言っても誰も同意はしてくれないだろうな。』
妄想を進めて歩いていたら現地に到着した。
『さあ、働くか』
……
無事1日が終わって帰路につく。
いつもどおり、真っ先にパソコンを起動してチャット画面を2つ開く。
今日の日本の議題は『煙草やお酒、いわゆる嗜好品の必要性の有無について』だった。
『煙草は身体に悪いから最も値上げするべきだ。お酒は税金なしでも良くない?』
『煙草もお酒も世の中から失くせば?』
『どっちも身体には良くないから増税しよう!』
当然好き勝手な意見が並ぶ。
『e-to』は考える。
煙草もお酒もそもそも人間が生み出したものじゃないか。それを悪いとか良いとか。
そもそも税金を商品別に比率を変えるのはどうなのか。消費税なら全部平等だし。
悪いというなら、適正な利益率を企業に還元して、今悪い部分を少しでも良いものに変える商品開発にコストを回してもらえば良い。
確かスペインでは、お店で飲むお酒の税率は他のものと同じだったような記憶もある。
よしっ!
答えは決まった。
『人間が生み出したものは、全て平等な権利が存在するべきだから、余計な税金は必要ない。他と同じ比率にして、企業に適正な利益を還元する。企業側は、一般的に悪いと噂されている部分の改善を図りつつ、新しい商品開発に力を入れる』
『e-to』は高揚感と充足感に満たされる。
一度、ログアウトした。
着替えて冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一口飲んで席に戻る。
今日は、あと何回議論を進めようかと考えながら、再度ログインしたときにパソコンが鳴る。
『ピロンッ』
メッセージだ。
『親愛なる久里 英人様へ eightersワンより 』
ガンっ!
椅子ごと後ろに倒れた。
英人は天国から地獄に落ちた気分だった……
……
ぼくたちは7ヶ月後、バイオマス会社を買収する。
自然エネルギーがたくさん生まれる。
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