『お嬢ちゃん、困惑しているみたいだな……あ、俺の言葉には応えなくていいからな？』

　私が色々と考えていると、ラフードがそのようなことを言っていた。

　彼の言う通り、私はその言葉に応えない。ここで応えてしまったら、変に思われるだけだからだ。

『この二人はな……フレイグにとっては、色々と複雑な存在なんだ。まあ、友達という感じではないが、仲間というか、同胞というか、そういう感じの奴らなんだよ』

　ラフードは、ミラーナさんとジルースさんのことをそう説明してくれた。

　仲間や同胞といった言葉からは、ともに戦った仲間であるかのような印象を受ける。つまり、二人はフレイグ様の戦友ということだろうか。

　見た目からはそうは思えないが、二人もとても強いのかもしれない。いや、人を見た目で判断してはいけない。フレイグ様だって、見た目だけで強い戦士とわかる訳ではないし、そういうことなのだろう。

『おっと、言っておくが、二人は別に戦士とか、そういう訳ではないぞ？　なんていうんだろうな……まあ、事情を詳しく話さないとなると、そんなことしかいえそうにないな』

　しかし、私の推測は直後にラフードに否定されてしまった。

　どうやら、二人とフレイグ様の関係は、思っていた以上に複雑であるらしい。これは、事情を深く聞かないとわからないだろう。

　恐らく、それをラフードは話してくれないはずだ。というか、私もラフードから聞こうとは思わない。それは、フレイグ様辺りから私が聞きだすべきことだ。

「ジルースは、そういう所、本当に固いよね……」

「いや、ミラーナが軽すぎるというか……」

　私がラフ―ドの言葉を聞いている間、二人はずっとそんなことを言い合っていた。

　二人も、大概仲が良いような気がする。フレイグ様のことを色々と言っていたが、二人の関係に関しても、気になる所だ。

「……えっと、アーティア様の方は、どうなんですか？」

「え？」

「その……フレイグ様とどうなんですか？」

「え、えっと……」

　そんなことを考えていると、ミラーナさんからそんな質問をされてしまった。

　それは要するに、私がフレイグ様のことをどう思っているか聞きたいということだろう。

　その質問に対して、私は答えに詰まってしまう。それは、私自身も色々と考えていることだからだ。

「おっと、これはもしかして……」

「やめなよ、ミラーナ……」

「でも、この反応は悪くないと思わない？」

「いや、例えそうだとしてもさぁ……」

　そんな私の反応は、ミラーナさんにとって楽しいものだったようである。

　それに、私は覚えがあった。ラフードにも、同じようなことをされたような気がするのだ。

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