俺達は、なんとか無事に洋館の中に入り込むことができた。それにしてもあれは何だったんだ?姿を見ることは出来なかったが何かヤバいものだということは姿を見ていなくても分かった。第一こんな山奥の人気のない洋館で暮らしている時点で人ではないものあるいは……犯罪者。

「千影、これからどうするのかな?僕としてはこの敷地内を隅々まで探索したいのだけど」

闇己はこういうときもぶれないな怖いものがとことん好きなのか。

「お…俺は!嫌だぜ?下手に探索してさっきの奴がまた出たらどうするんだよ!」

確かにそうだな…。だが、このままだと帰れないぞ。

「ねぇ?皆…さっきここに入るときに使った扉の鍵がかかってる」

え……。じゃあ…ここには人が住んでいるのか?

キィィィ……キィィィ……キィィィ……キィィィ……

金属製のナニかを引こずるような音がする。これ……斧を引こずる音じゃないか?

「隠れろ!何処でも良いとにかく身を隠せ」

俺達は、急いで隠れられそうな家具の影に隠れた。

だんだん音が俺達に近づいてくるのが分かる。足音もする。でもこれ…足を引こずって歩いてる?俺は、家具の物陰から少し顔を出してナニかの姿を見ようとした…が、ガタンッと物音がした音の方を見ると秀が懐中電灯を床に落とした音だった。

「ダァレダァ…ツカマエテ…コロシテシマオウカァ?」

クソッ!ヤバい奴だ。ここは一先ず散り散りになっても良いから逃げないと。

「皆走れ!散り散りになってもいい!とにかく逃げろ!」

皆がどの方向に逃げたかが分かればいつかは合流できる筈だ…ただしあのヤバい奴に捕まえられたら殺されるのは確実だ。それに皮膚がただれたような醜い姿をしたあれは人なのか?俺は色々と考えながら数ある小部屋の中に入り内側から鍵を掛けて隠れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る