第1回放送(後半)

「あらためましてこんばんは。限界地下アイドル天使サフィエルのオールナイト天国。毎週水曜日のこの時間はわたくしサフィにゃんことサフィエルがこの番組をお届けしま~す」


「はい、え~、ではですね、次は当ラジオ番組一の大大大人気企画となっております『サフィにゃんになら何を言っても大丈夫!』です。

 これはですね、わたくしサフィにゃんことサフィエルにですね、日頃の不満やストレスをぶつけてもらってリスナーの皆さんにすっきりしてもらおうという、とてもハートフルな企画となっておりま~す。パチパチパチ~」


「初回なのに大大大人気もあるもんかなんてね、フッ、あっ、ごめんなさい。ちょっと自分で言って自分で笑っちゃいました。いっちばんやっちゃいけないやつですよね、ホントにね。ふざけてるわけじゃないんですよ。ただちょっと出ちゃっただけなんで」


「はい、ではね、早速、メールを読ませていただきま~す。

ラジオネーム、買ってきた豆苗とうみょうがすぐ枯れちゃうさんからです。

 サフィエルさんってあからさまに猫かぶってるけど、あなた全然おばさんじゃん。

しかもファンがいるかいないかわからないのに媚び売って回る人生って楽しいですか?」


「えぇ~ わたしって猫かぶってるかなぁ? にゃんにゃん。なんちゃってぇ~。

 確かにファンがいるのかいないのかって言われると辛いところなんですけども、う~ん、でも、どうなんだろう? 一応ね、一応、別に反論しようとかそういう意味じゃないですね、だけどぉ、少ないですけど毎回ライブ会場に足を運んできてくださるファンの方とか、こんなわたしでもいたりするんですよぉ。

 すごくないですか? 見つけてくれてありがとうってホントに思います。媚びなんかじゃありませ~ん。残念でしたぁ~。プンプンのプン。怒っちゃうぞぉ~。フフッ。フフフッ」


「はいでは次のメールです。ラジオネーム、味噌カツオレンジャーさんから頂きました。ありがとうございま~す。

 お前、加工厨で俺達のことだまくらかしてるくせに偉そうにしてんじゃねぇよ。実物見たことあるけどマジヤバかったwww。自分のポテンシャル化粧で必死にごまかしてて草www。まあそれでも全然売れてねぇけどなwww」


「はっ? 何これ? ウザッ。私は加工なんかしたことないし、してもホクロとかアザができた部分だけだから。しかも何? 化粧でごまかしてるって。

 あんた達みたいにね、寝起きなのに顔も洗わない口もゆすがないで平気でご飯食べてそのまま着替えてうちの外に出られるご身分の人とは違うのよ!

 何なの? こいつマジで何? これホントにムカつくんだけど!」


「………」


「な~んちゃって。テヘヘッ。フフッ。フフフッ。

 そうですねぇ~、この方にはちょっと… そうですね… 加工してるように見えたのかもしれないですね。

 でもそんなことないんですよ。私、そんなに加工はしてませんよ~だ。なんちゃって。フフッ。

 するとしても必要最低限の、少しでもみんなに素敵に見てもらえるようにって見映えをね、ちょっとね、お直しするくらいなんですけどもね、そういう風に見えちゃってるんだとしたら今後は気を付けようかなぁ~なんて思いますけども。

 いや~、でも、ホントに、貴重なご意見ありがとうございました~。フフッ。フフフッ」


「………」


「ハァ…」


「………」


「あらヤダ、ため息なんてついちゃった。あれですよね、よく言いますよね、ため息をつくと幸せが逃げるなんて。ホントなんですかね、あれ? ホントだとしたらサフィにゃん悲しい。え~んえ~ん。ちょっとぉ~ 逃げないで~ 私の幸せさ~ん」


「………」


「………」


「………」


「フフッ… 何でだろ? 何でだか涙腺が… おかしいですよね…。フフッ。フフフッ。あれですかね、あれですよあれ。何だっけかなぁ… あ~ 忘れちゃったぁ。さっきまで覚えてたのになぁ。

 わたし今、何て言おうとしてたんだっけかなぁ。もうわたしったらヤバいですよね、もう老化が… あっ そうだ、年を取ると涙もろくなるだ。そうそう、よかったぁ~ 思い出せた。

 みんなね、よく言いますよね。それかななんて思ったりもしたりしなかったり…」


[SE]ガンッ!(何かを蹴っ飛ばす音)


「………」


「………」


「………」


「………」


[SE]エンディングテーマ曲


「えっと… そ、れ、で、わ、そろそろお時間の方がね、来ちゃったみたいなので、今週はここまでとさせていただきます。

 リスナーの皆さん、どうでしたか? 楽しんでいただけたでしょうか? 楽しんでいただけたならサフィエルもとってもうれしいです。

 また来週も来てくださいね。それでは、限界地下アイドル天使サフィエルのオールナイト天国でした。バイバーイ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る