人類滅亡党

ウゾガムゾル

ある日の番組

えー。国際人類滅亡連合により制定された、「人類最後の日」が、とうとうやってきました。これからアナウンスとともに、滅亡連合の総長の言葉を読み上げたいと思います。


「……思えばいろいろなことがありました。いろいろありすぎたかもしれません。何千何万年と人類の歴史は続いてきたのですから。その中で、技術の進歩、繁栄、文明・文化の発展。そして戦争、対立、環境破壊。」


皆さんは、日本の人類滅亡党により一人一錠配布された薬を持ってください。


「きっとうまくいくと思っていたでしょう。皆がそう思っていました。私も、そう思っていました。でも、ダメでした。人類は、どうしても間違ってしまう。それはもう、防ぐことができないものだったのです。だから、あきらめるしかありません。」


その薬を飲むと、速やかに命を落とします。水は用意しましたか? 効くまでの時間には、個人差があります。ですが、苦しくないことは入念な臨床試験によって示されています。


「……それで。何度もやめるチャンスはあったのに。人類は争いをやめられませんでした。何度も止めるチャンスはあったのに。人類は環境破壊をやめられませんでした。ある時は誰もが争い、また自然を傷つけていました。しかし。気の遠くなるほどのそのような愚かなことを繰り返した末、ようやく我々は気付くことができたのです。


我々は存在すべきではなかったと。


遠い昔にも、そのようなことを言った人たちがいたらしい。でもその意見が広く受け入れられることはなかった。まだ人類に希望を持つ人が大多数だったからです。当時彼らは多くの非難を受けたそうです。ですが今は、彼らこそが正しく、真に『優しい』心の持ち主であったと信じています。」


連合が示した時間まで、残り1分となりました。みなさん、心の準備はできていますか。


「正直、私にも心残りはあります。でも、人類は遅かれ早かれ滅びるのです。であれば、地球のため、そして我々自身の『幸福』のために、人類が一斉に死ぬのが最も良いと、私は信じています。」


「最後に、二度と我々のような愚かな生物が、地球にも宇宙にも誕生しないことを願って。」


薬を飲んでください。

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人類滅亡党 ウゾガムゾル @icchy1128Novelman

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