義妹が毎日素敵なプレゼントを贈ってくる件
桜井正宗
第1話 義理の妹
家が全焼した。
タコ足配線による火災だったらしいが、俺は不審火を疑っていた。
住む家を失った俺の両親は、せめて俺にだけはアパート暮らしをして高校生活を続けて欲しいということで、かなり無理をしてアパートの部屋を借りてくれた。
その時、延焼してしまった隣の家の女の子……一応、幼馴染だった『
彼女は、気づけば俺の『義理の妹』になっていたんだ。
残念なことに綾は、家族を失った。
だから俺の元へ来たんだ。
「……よろしくお願いします、櫻井さん」
「あ、ああ」
なんて悲し気な表情なんだ、と俺は胸が痛くなった。
家族を失ったのだから当然か。
頼れるのは俺だけらしい。
多分、一番辛いのは綾だ。
「あの……わたし、櫻井さんご両親によくしてもらって、養子にしてもらえることになりました。だから、あの……」
「親から聞いた。綾だったよな。昔少しだけ遊んだよな」
「はい……だから、そのご好意に甘えたといいますか、御迷惑でしたら出て行きます」
「いや、そんな事はない。一緒に住もう」
「……いいんですか?」
「うん。俺も家を失って辛い。でも、もっと辛いのは綾だろ。部屋においで」
「う……うぅ、ありがとうございます」
綾は、涙目で何度も頭を下げた。
そんなお礼を言われるほどではない。
そもそも、アパートは俺の両親が借りてくれたものだ。俺の力ではない。でも、部屋を借りれた以上、俺は真面目に生きていこうと強く思っていた。
あの火事が俺を変えたんだ。
だから――。
「敬語じゃなくていいさ。今日から俺の
「わたし、えっと……その、お兄ちゃんって呼んでもいい?」
「うん。俺も綾って呼ぶからさ。俺のことも名前でもお兄ちゃんでもいいから気兼ねなく呼んでくれ。頼ってくれ。二人で支え合っていこう」
「良かった、優しい人で」
この日から、俺と綾のアパート暮らしは始まったんだ。
* * *
あの火事から一週間後。
アパート暮らしもすっかり慣れてきた。綾は、家事洗濯や料理も完璧だった。昔はもっと運動神経もよくなくてポンコツだった気がするけど、ここまで変わっていたとは。
キッチンの前に立つ綾。
甘そうなクリーム色の髪を腰まで伸ばし、キラキラと輝かせていた。
見惚れていると、綾はこちらへ振り向く。
一週間前と比べると笑顔も増え、今ではすっかり立ち直っていた。
ニコッと微笑む綾の顔は可愛かった。
アイドル並の容姿を持ち、胸も平均よりは大きいだろう。スタイル抜群。腕も足も細くて折れちゃいそうだ。
でも、ふわふわでもちもちしていた。
こんな可愛い妹が出来て俺は嬉しかった。人生が変わったようだった。
今まで普通の実家暮らしだったけど、今はアパートで二人暮らし。というか、同棲に近かった。言ってしまえば、綾は義理の妹。本当の妹ではない。
だけど、たった一週間経過しただけなのに本当の兄妹のように接していた。
「お兄ちゃん、妹の料理する姿に見惚れちゃった?」
「うん、ずっと見ていても飽きないし、可愛いからな」
「も、もう、お兄ちゃんってば……えへへ」
綾は頬を深紅させて照れていた。
これまた可愛い。
美味しすぎる朝食を頂き、いよいよ久しぶりに登校だ。
「綾、新しい制服、似合ってるぞ」
「デザインは変わってないけどね」
松本高等学校の
「いや、その校則違反ギリギリのミニスカートはたまらないな。ニーハイとセットとは……お兄ちゃん心配だよ」
「お兄ちゃんってば、どこ見てるの~。まあそっちはまだいいけどね。わたしって胸の方がよく見られるし」
そりゃ、その反則的なサイズだからな。
同じクラスの男子も大注目らしいし、大変だな。
「やっぱりそうなんだ」
「そういうお兄ちゃんも、わたしの胸ばかり見てない?」
「俺は、綾の全部を見てる」
「それなら許してあげる」
なんて話していると、もう時間が迫っていた。
そろそろアパートを出よう。
俺はトラウマである電気系統のチェックを欠かさなかった。綾も同様で電源を切っているか入念にチェック。
もう家は失いたくないからな。
「行こう、綾」
「うん、お兄ちゃん」
俺たちは一緒に歩きはじめる――。
***おねがい***
続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます