ワンモアジャーニー!
最上仮面
0日目
床一面に散りばめられたプリントに机の上に散乱している缶のエナジードリンク。床には「伽藍堂」とこの部屋には似ても似つかないようなそんな掛け軸がでかでかと掲げられている。
掃除をするつもりは、ない。
携帯には200件ほどメールやメッセージツールの連絡が溜まっているがリプライを飛ばすのも面倒だ。
日差しが辛い。なんでこんな退廃的な生活を送るようになって仕舞ったのだろうか。外を見ると高校生達が元気に、悠々と学校へと歩を進めている。
「カーテンを開けるのは間違いだったな」
一言。僕は呟き、60日ぶりぐらいに動きを見せたカーテンの上の勢いよく動く部分を元の場所に戻した。あと3ヶ月はその場所に居座ってもらおう。
世の一般的な人間を正解とするのならこのような日の当たらない場所で怠惰な生活を送っている僕はおそらく人という種において誤りの方に分類されてしまうだろう。
イレギュラーで、社会のレールから思いっきり外れている僕はどうすればいいのだろうか。そんな取り止めのないことを適当に頭に浮かべながら惰眠を貪っていると不意に携帯の音が鳴った。
珍しい。僕に通知を飛ばすのは大体企業の公式アカウントぐらいしかないはずなのに。
顔を顰めて、携帯のスクリーンを覗く。そこには自分が名目上属している高校の電話番号が書かれていた。
碌なことじゃないだろうな。と思い嫌々電話に出ると担任の先生らしい人が少し強めの口調で電話越しに話してきた。
「鈴木くんの携帯であってるよね?君、明日学校来なかったら出席日数足りなくなるから原級措置。言うところの留年ね。ということでよろしく。」
残酷に告げられた当たり前の死刑宣告は僕の心情を若干ナーバスにするのには充分すぎるものだった。
さて。今は夏前、時間も沢山できた。いつもと変わり映えしない日々に正直辟易としていた僕はある一つの結論に辿り着いた。
「さて、どこか遠くに行くとするか」
そう一言だけ呟いて、もう一度惰眠を貪る為にこの体を仰向けに倒した。
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