あるある保険ないない
バブみ道日丿宮組
お題:彼と保険 制限時間:30分
保険金目的とバッシングを彼は受けてた。
そりゃ何億というお金が彼の懐に入ったのだから、そう言われても仕方のないことだろう。
けれど、高校生の彼にそんな特殊な力があるというのだろうか? 超能力がある、権力が有るといった話は聞いたことがない。おまけにしっぽが生えてるわけでもない。
彼は会社を継ぐわけじゃない。ただお金をもらうだけ。会社は遺書によって書かれた人物が引き継いだ。本当にお金をもらっただけなのだ。
お金をもらうにしても、彼は小さい頃からお金に困ってることはない。
好きなものを買ってもらえたし、そのぶん自分でいろいろなものに挑戦してった。成績もきちんと出してたし、得意でもないスポーツも彼なりに頑張ってた。
そんな彼が父親を罠にはめるなど、想像もつかない。
新聞の一面にはぎっしりとまるで暗躍したかのように彼のことが書いてある。TVニュースにも特集されたりもしてる。
マスコミも毎日のように彼の家にきてるとのことだ。
とはいっても、彼は逃避のために私の家で過ごしてる。
関係のある家からから、関係のない家へ。
それだけでマスコミの数は変わった。
無関係の人が住んでるマンションを包囲する力なぞ彼らにはないのだから。
お母さんは、もうこのまま結婚して一緒に住めばいいというが、私にはまだその気はない。毎日のように何度も身体を求められて応えてたとしても、私も高校生だ。彼と違って本当に何もないただの高校生。
私と一緒に眠る彼の横顔は不幸を感じさせないものだった。
いつも抱きついて眠ってくるので、股間の主張は気にしないようにしてる。朝だから仕方のないことだろう。夜ならともかく朝や昼にすることはできない。親に聞かれでもしたら、数日は引きこもってしまうだろう。
彼を起こさないように部屋を出て、洗面所に向かう。
顔はだいぶ疲れを感じる顔つきだった。
マスコミはいつまでもいなくならない。
彼を守るという役目を持ってると思うと、どうしても神経を使う。
私に守られるほど彼は弱くないのだけど、一緒にいる以上自分たちの時間を妨げることはされたくない。たった一度しかない高校生活。きちんとはしてないかもしれないけれど、学生というのは期間限定のイベント。それを大人がいいようにかき乱すのは犯罪行為に近い。
顔を洗い、台所に向かうとお母さんが朝食の準備をしてた。
リビングでテレビをつけると、やっぱり彼のことを特集してた。
もう一週間だ。
それだけの時間がかかったというのに、一人の青年の話をするメディア。他に伝えるべきニュースがあるだろうに。
ほんとう信じられない。
テレビなんて見なくていいから早く着替えてきなさいと言われ、部屋に戻る。
寝巻きを脱ぎ、ブラをつけて制服に乱れがないか姿見で確認してると、彼が起きた。
凄く眠たそうで、目をこすりながら立ち上がった。
全裸なので、制服に着替えて洗面所にいくといいと言ったのに、彼は私に抱きついてきた。朝の膨張現象は凄くアピールするように私のスカートにこすられた。
朝はダメだからと、膨張したものを強く握ると、軽い悲鳴が彼から漏れた。
そうして逃げるように部屋の隅にある制服と下着を見に付けて、部屋を出ていった。
お母さんもお母さんだよね。
別の部屋じゃなく、私の部屋で彼を生活させるなんて。もしできたらどうするのだろうか。避妊という保険はしてるが、絶対ということはない。
隅っこに転がってるゴムをゴミ箱に捨てると、部屋の窓から外を見る。
今日はまだマスコミはいないようだ。反対側にいるかもしれないけど、普段たむろしてる場所にはいなそうだった。
選挙カーと、マスコミ。
はたしてどっちがうるさいのだろうか。近所迷惑なのは両方変わらないだろうが、全員と関係者という大きな違いがある。
頭の中でいろいろと考えてると、彼の声がした。
朝食を食べようという意思表示だった。
彼のカバンと、私のカバンを手に持つと、リビングに向かった。
妨害があろうとなかろうと、私たちは高校生。学校に行く義務があるのであった。
あるある保険ないない バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます