世界の十字路11~翼の民と月光の花~

時雨青葉

プロローグ

神の導き

 うたが、響いている。

 透き通った心地よい詩が、巨大な力をまとって天へと広がっていく。



 たくさんの声が一つの旋律をつむぎ、紡がれた想いの糸は、夜空のあるじを引き寄せた。



 ああ、なんと美しいのだろう。

 深い藍色の空に君臨した光は、この上なく美しく清らかな力を彼らへ差し伸べる。



 偶然とはいえ、こんな光景に出合うことができるとは。

 いや、これは偶然ではないのかもしれない。



 この詩と光の力に、自分は無意識に引き寄せられたのだろう。

 きっと、これは神の導きだ。



 今までに見たこともないほどに美しい景色の中には、探し続けていた姿があるのだから。





「月に祝福されし者、その神のごとき力をもって、村を救う―――」




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