世界最強チーム！

第1話 最強のモーニングコール！

遠くからウーウーと大きな音が頭の中に響いた

---これ、何の音だっけ。

規則的に繰り返す心がざわっとするサイレン 救急車じゃなくて消防車じゃなくて---。

パトカーだ！

雨宮裕也(あまみや ゆうや)は、布団の上でパッと目を開けた。

その時だった。

ドンドンドン！

部屋の外から、階段を駆け上がるけたたましい音が鳴り響く。

裕也が驚いて飛び降りた次の瞬間、弾け飛びそうなほど勢いよく、バーンとドアが開いた。

「おはよう！ 裕也」

小柄なスラリとしたシルエット。

部屋の入口でショートカットの少女が勇ましい仁王立ちを決めていた。

「なんだ、起きてるじゃん！早く学校行こうよ！もう7時だよ？」

「はぁ！？ ま・だ・朝の7時だ！っていうか、なずな。勝手に人の部屋に入るなよ」

もう高二だぞ？

こういう、デリカシーがないところはどうにかして欲しい。

けれど、言っても効果はないんだ。これが

「別にいいじゃん。幼なじみなんだし」

裕也の苦情にも、なずなは涼しい顔だ。

花芽なずなは家が隣同士、幼稚園に入る前からの古い幼なじみだ。

読書が好きな裕也とは正反対で、グラウンドをいつも元気に走り回っているタイプ。とにかく運動神経がバツグンで、色んな部活から引っぱりだこだ。

サッカー、野球、バスケなんかのチームでやる競技はもちろん、陸上、水泳みたいな個人競技でも、めちゃくちゃ強い。

しかも、けた外れに。

体育では、一人勝ちしてしまうので、先生がチームわけに頭を悩ませている---

なずなの家のリビングには、地区、東京都、全国、果ては世界大会でもらったトロフィーやら賞状やらが所狭しと並んで、今にもはみ出しそうになっている。

名実ともに、世界レベルの運動神経を誇るスポーツ少女というわけだ。

でもいちばん得意なのは----。