復古!!長州藩閥
西野園綾音
序章 中国地方知事会の開催及び長州藩閥復古の兆し
第1話 中国地方知事会の開催
~1936年11月7日、岡山県井原市芳井町の芳井歴史民俗資料館にて~
井原木隆太岡山県知事「これは、皆様、遠路はるばるお集まりいただきありがとうございます」
湯崎英彦広島県知事「それで、話というのは何だね?」
井原木「四十七都道府県が独立してしまった今、中国地方で連携を強化し、自分たちの身は自分たちで守ろうと思いまして、中国地方の知事で集まって会議を開こうかと」
村岡嗣昌山口県知事「それは、いい考えだと思います
しかし、するからには実りのある会議にしたいですね」
湯崎「左様
会議だけして、何の成果もないようじゃ、無駄足どころか、貴重な時間を溝に捨てたのも同義だからな」
井原木「それに関しては、皆様の協力次第といったところではありますが、議題は、満足していただけるようなものを用意してあります」
丸山達也島根県知事「しかし、それは、中国地方の3大勢力である岡山・広島・山口の三県のみの為の会議に成り下がるのではないか?」
平井伸治鳥取県知事「そうだ
我々、島根・鳥取にはあまりメリットがないじゃないか
我々にも、しっかりと利益があるようじゃないと…」
井原木「それについては、二つの県にも配慮した議題を考えてありますよ」
湯崎「それに、中国地方で纏ろうって時にあんた方が反発するようだと、我々も制裁なり、下手すりゃ、軍事侵攻も含めて考えんといかんな」
丸山・平井「…」
村岡「沈黙は、賛同と捉えてよさそうですね
では、近いうちにまた皆様、お会いしましょう」
湯崎「あ、少し待ってくれ
井原木知事と村岡知事は、明後日、申し訳ないが、因島公園に来てくれないか?
中村時広愛媛樌知事、浜田恵造香川県知事も呼んである」
村岡「山口・広島・岡山・愛媛・香川の五県となると瀬戸内海関係で、何かするつもりですか?」
湯崎「ま、そういうところだ」
井原木「なるほど
そういうことなら、承知しました」
湯崎「では、失礼する」
村岡、井原木、湯崎の三人が出て行った後、丸山と平井は渋い顔で、
平井「あれじゃ、まるで脅迫だ
それに、我々に利益があると言いつつ、瀬戸内海で何かするようだし、どうにかしないと我々は、何もできないまま終わるぞ」
丸山「そうだな
我々も動かないといけないようだ
軍事同盟の締結も考慮しつつ、お互い助け合っていこう」
と、協力し合うことを確認し合い芳井歴史民俗資料館を後にした
~1936年11月9日、広島県尾道市因島土生町の因島公園にて~
中村「瀬戸内海に面している五県が、こうして集まったわけだが理由を聞かせてもらえるかな?」
湯崎「いや、皆様は、瀬戸内海ブランド推進連合の存在を覚えているかね?」
井原木「あぁ、確か…」
村岡「確か、瀬戸内海沿岸地域のブランド力向上及び地域活性化を目指した組織だったな」
湯崎「左様
こう日本地域がバラバラになってしまった以上、この組織というのは前以上のブランドになると思って、今回、こうして五県に集まってもらって協議しようということだ」
浜田「それは、いいな
それであれば、我々の饂飩や愛媛県の蜜柑なんかも瀬戸内海ブランドとして売り出せる」
と浜田が、同調したのを皮切りに他の三県の知事も賛成の意を表した
それを見届けると、湯崎は、満足げに頷き、
「なら、瀬戸内海ブランドをさらに推進するということで頑張っていこう」
とこの会議を占めた
この後、愛媛県産蜜柑・香川県の饂飩・岡山県の吉備団子・広島県産牡蛎・山口県産外郎を筆頭に各県の特産品が、瀬戸内海ブランドとして売り出され、県同士が、独立した関係もあり人気が出て、五県は潤うこととなった
1936年12月6日から1937年元旦まで話し合われた中国地方知事会では、五県共同で航空機飛行訓練実施・検疫強化・災害対策・地方財源改善案・社会制度充実計画・東京一極化是正宣言の6個の議題について話し合った
航空機飛行訓練実施に関しては、所謂、中国地方三大県の山口・岡山・広島のみが利のある話であったが、その分、検疫強化・災害対策は鳥取県、島根県に対して三大県が惜しみなく支援することとなった。そして、東京一極化是正宣言により東京からは非難されたが、各県民からは中国地方で団結して闘うという、ある意味では、民族主義的な考えが広まることとなった
しかし、地方財源改善案と社会制度充実計画については、各県の取り組みを共有したのみであまり前進したとは言えないものであった
とはいえ、中国地方の五県で色々な議題について話し合ったことは、四十七都道府県が独立した現在、かなりの成果があったことは内外問わず否定できないものとなった
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