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僕/「ふーっ」


たまっていた仕事を片付けていたらこんな時間になってしまった。事務所内はもう僕だけだろう。


コーヒーでも飲もうかな。


伸びをした後立ち上がると、天井に赤い月が昇っていた。事務職の女性だろうか?遠くの女性がこちらに手を振っている。




女性?/「…………ㇱてー!」


僕/「え?」


よく聞こえない。




女性?/「……──してー!」


僕/「もういっかーいーーー!!!」


女性?/「許可してーーーー!!!!!」

太陽の向こう側。

神の偶像化を遡って破壊する。

彼が地に落ちていく。


今こそ月の変形の時だ。少女がドロドロとカタチを変えていくが、少女の概念は保っている。棚はぶるぶると震えている。男の子はぶるぶると振動している。ドアノブは一か所に落ち着かない。


「ゴム化合物共がガga…お前が寝ている間に星は回転を続けるけど大丈夫か?今日の雲はお別れも言わずにちぎれとんだ。私が見えたようにおまラにわ軽ように翻訳しておる」


僕、そして主/「やめろ……助けてくれ」


『我々の足の先に着く』『きゃははハハハハハハハハハハハハハハハ』『わああああああぁああああああああああああ!!!!』


内容が聞き取れない子供のささやき声が聞こえる。女の高笑いが聞こえる。男の叫びが聞こえる。


男とも、女とも、こどもとも、老人とも判別できない、人間ではないナニカの声が聞こえる。


「幻覚と断ずるのも良いが、こちらは実在性を高めていくワケよ。痛みは思考を明晰化させるコト」


痛いっ


僕/「幻だ……幻痛だ」


「感覚を信じないのか?お前はどこに立っている?環境的識、その底には何もないってお母さんも言ってた」

『この音を文字だけに収めておくつもり?』『彼はまだ科学を信奉しているつもりなのさ』『視覚だけでは限界だよ。侵入経路が限られる』






よしだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


僕?/「あれ、俺は吉田っていうのか?」


「何言ってんだ。田中だろ」


僕だと思う/「そうかなぁ」


静かだ………星が見える。さっきまでの喧騒が嘘のようで…………嘘だといいなあ。


「星が侵入されているとしても、そんなことはお前にとってどうでもいいはずだ。名前がいちばんたいせつなんだ。お前、田中と吉田どっちなんだ」


僕かなぁ/「…………」


ぼく(だといいけれど)は…………


僕またはあなた「どれも違う」


『そうなの?』『hahahahahahahaha』『知らない方が良いよ』『蛆が腹の中を駆け回っている。彼女はこちらを見ている。ノイズはあらゆる機器を崩壊させ、神は言語でとらえられなくなった』


【あなたは、だぁれ?】




俺は…………私は……………………

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