ロンドン橋落ちた

ロンドン橋落ちた

※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

※この作品では人が死にます。苦手な方はご注意ください。

「主文、被告人川野光（こう）を罰金100万円に処する。被告人川野光においてその罰金を完納することができないときは，金５０００円を１日に換算した期間，同被告人を労役場に留置する。」

裁判官に罪を宣告されるために川野は法廷にいた。業務上過失致死で起訴されていたのである。

（どうしてこうなってしまったのだろう）

数カ月前、橋が崩落し女性一人が亡くなった。

この橋は論呑（ロンドン）橋という７尺程度の橋だ。設計者が酔っ払ったように口論を仕掛けたことから、こんな奇妙な名前になったそうだ。

その後の警察の調べで設計が杜撰（ずさん）であったことがわかり、川野は御用となったのだ。

川野は当時のことを回顧した。

当時、川野は案件に追われ満足に眠れていなかった。そこで目が覚める葉っぱをパイプにいれ、たばこのように嗜んでいたのだ。

ある日の丑三つ時、明日が締め切りの設計に取り掛かっていた。起訴される原因となった橋の設計である。

橋の設計は慣れていると、川野は油断していた。材料にレンガとモルタルを選んだのである。コストの削減ばかりに目を向け、耐久性を軽視していた。また、橋を固定する重要な部品を書き損ねた。締め切りの直前に仕上げたことと睡眠不足による意欲の低下のせいで、見直しが出来なかったのである。

川野は罰金を払い終えた後、行方をくらました。それきり彼を見たものはいないそうだ。

油断と睡眠不足には、是非ともお気を付けください。

ロンドン橋落ちる　落ちる　落ちる

ロンドン橋落ちる　美しいお嬢さん

木と土で建てよう

木と土じゃ流されちゃう

レンガとモルタル（漆喰）で建てよう

レンガとモルタルじゃ耐えられない

鉄とスチールで建てよう

鉄とスチールじゃ曲がっちゃう

銀と金で建てよう

銀と金じゃ盗まれちゃう

見張りを立てよう　一晩中

見張りは寝てしまう

見張りにパイプタバコをやって

一晩中吸わせよう

ロンドン橋の歌　和訳

（引用：https://www.worldfolksong.com/kids/song/londonbridge.htm）