【弐】葵譚ノ内国 ヤマの監察ノ任

閑話(閉)勘解由小路ハナ

 勘解由小路かでのこうじハナでございます。


 かつて、昭和の大天災において天に召されました。

 以来、わたくしは時なき地アトラの神殿に棲んでおります。

 

 明治の文豪、森鴎外が諦念レジグナチオンと呼んだ、諦めきった思い。

 身が焼け焦がれるきわに、そんな思いに囚われた魂は、天に飛ばされ果てはアトラの地へと至るようなのです。

 

 魂の諦念レジグナチオンは、その地で裏返ります。

 眼前に、人の世の未練が全てが張り付いが如き光景がひろがります。

 時無きが故に世の可能性の全てが在る世界、アトラ。

 アトラの神殿に治まった塊は、その漠たる可能世界と共に在ります。

 

 漠たる世界であっても、目にはっきり映るほどの存在はございます。


 月紬つむぎさんの話す所の、勘解由小路家にて隠し姫。大和の大天災が迫る地の年若き由貴さん。

 所渡ところわたりの異能持ちの由貴さんの可能世界をまたがった活躍は、大和の大天災から、やがてこの地を救うはずです。


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※本作の関連作をカクヨムコンに出します関係で、次回の更新は12月半ばとなります。ご容赦くださいませ。

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