【完結】異世界転移、その意味とは
三ツ三
プロローグ
私達の住む世界とは異なる世界、異世界。
そこには魔法があり、モンスターが居て、人間以外の人が存在する。
そんな異世界では今、一つの終焉を迎えていた。
世界を脅かす元凶。
数人の勇敢な者達がその元凶となる存在をまさに今討ち取ろうとしていた。
「これで・・・終われる!!」
人工的に作られた岩で周囲を覆う古代遺跡の中、一人の男が漆黒に身を包む球体へ向けて両手で強くに剣を握りしめ駆け抜けた。
禍々しく視認できる程の黒いオーラを放つ球体へ向けて飛び出す。握らてた剣は魔法で光輝かせ、最後の一撃を叩きこんだ。
ガキンッと男の剣が球体を貫いた。
その瞬間球体は徐々に力尽きるように黒いオーラは霧が晴れていく。
男の言葉通り、本当にこれで終われる。長い戦いにようやく終止符を討つことができる。男の仲間達もみなが安堵の気持ちに胸を撫で下ろそうとしたその瞬間。
「ぐっ・・・ぐはぁっ!!!」
言葉を発することの無いその球体は、お前も道連れだと言わんばかりに自らを貫いた男を球体の一部を変化させた大きな針で腹部を貫き返した。
男は口から大量の血を吐き血飛沫を出しながらも手に握る剣を離さずいた。それどころか、負けじと剣に魔力を込め出す。
ここで終わらせる。ここで目の前の化け物、人類の敵を倒すんだ。
今まで多くの犠牲で亡くなった者達の為に。勝利という朗報を今も待ち続ける者達の為に。今も一緒に肩を並べ、共に戦ってきた仲間の為に。
そして何よりも、最愛の者"メリス"の為に。
「嫌ぁー!! 待って!!」
「駄目ですメリス!! そんな傷で動いたら!」
「嫌だ・・・一人にしない・・って、約束・・・したじゃん!」
顔は淡い青色の瞳にから出る涙でぐちゃぐちゃになり、誰もが羨むほどの純白は肌を自らの血で汚し、透き通る程に綺麗な銀髪は泥や土で滅茶苦茶になっている。
それでもメリスは一人男に呼び掛ける。自らの痛みなど省みず何度も何度も。
そして、獣のような雄叫びと共に球体は爆発した。
爆発の余波でとてつもない強風がその場にいる者達全員を襲う。
たった一瞬の余波が長い時間に感じられるほどの風圧にみな目を開けることも出来ず立っている事もままならない者達はその場で膝を付き耐え忍ぶ。
だが、そんな中一人、メリスは両腕を使って這いつくばりながら進んでいた。
名前を呼びながら愛しの男をそれでも呼び続けた。
助けなきゃいけない、いつも自分に手を差し伸べ救ってくれた人を。
醜いと蔑まされ続けた自分を唯一愛してくれた人を。
瞳の色も、白い肌も、銀色の髪も、全てが嫌いだった自分を好きだと言い続けてくれた人を。
こんな自分を恋人にしてくれた人を。
「――――――ッッッ!!!」
メリスの慟哭が響いた。
最愛の自分の名前を叫ぶ事しか、彼女には出来なかったのだった・・・。
― レジヲ Level Up ! ―
「おーーしっ! やっと上がった」
広い草原の上、俺はゲーム機を片手に背伸びしていた。
美味しい空気を味わいながらやるゲームって最高だよなー。
外でやるインドア、外に居るなら外で出来ることをするのが普通だと思うけどあえてそこで敢えてゲームをやるという贅沢。
古来より贅沢とは理に敵っていない事をすること言われている。
知らないけど。
「あーっ、ここに居たんですねもう!! 集合写真"藍"君待ちですよ!!」
「え、マジか! ごめんごめん、すぐに行きます行きます委員長」
高校最後の修学旅行。
俺、"刻越 藍(コクゴエアイ)"は修学旅行を満喫していた。
今から起きる、"当時の俺"には想像出来ない事が起こるまで・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます