第11話 別の町に行こうと思いました

 初めてのクエスト失敗……。

 かなりの量の魔石とドロップアイテムによるお金を手に入れたとはいえ、失敗は失敗だ。

 キラー・ドッグは属性狼シリーズと同じところに生息している……これは本にも書いてあったし間違いではないのだろう。だとすると他に理由があるのか……。

考えられるのは他の冒険者が討伐してしまって奥の方に隠れてしまったパターン。こっちの可能性は低いだろう。

 もう1つはキラー・ドッグの天敵の様なモンスターが現れたパターンだが……。


「キラー・ドッグの天敵なんて知らないしなぁ……」


 前者の方なら時間を置いてもう一度受ければいいとしても後者ならあの森ではしばらくそのクエは受けられなくなってしまう。それはごめんだ。

 何にしても情報が少なすぎる、今日はクエストを受けずに図書館にでも行って情報収集をするとしよう。


◆◇◆◇◆◇◆


「図書館がない!?」

「えぇ紙はとても貴重で値が張る上に冒険者の方は本を読みませんので、冒険者の街と呼ばれるほど冒険者の多いこの街には図書館を作る人も居ないんです」

「そう……ですか」


 住民のほとんどが冒険者のこの町じゃ本の需要が無いってことか。


「あぁでも、ここから北に3キロ程進んだところに作家の街フィークがあります」

「作家の街フィーク……?」


 フィークって絶対フィクションから考えられただろ!!


「はい。そこなら本が沢山ありますよ」


 本が……沢山!!


「分かりましたその街に行ってみます。北に3キロでしたよね?」

「えぇ……って今からですか!?」

「はい?3キロくらいなら直ぐに着きますよね?」

「いえいえ!!街と街の間には魔獣が多数出現する森や湿地があります……たかが3キロと甘く見てると大怪我しますよ?」

「分かりました……では出るのは明日の朝1番にするので……今から準備しますね」


 そう言って僕はギルドを出る。その後この街に来てから愛用している(まだそんなに経ってないが)宿の一室にあるベッドにダイブした。


「やっぱり疲れ溜まってるな……疲労回復系のスキルとかガチャで手に入らないかな?」


 そんなことを考えながら、僕は意識を手放した。

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