ただの 勇者

DIO

第1話 戦場


 人生、生きていれば何か良いことはある。生きていて良かったと思う日が来る……それを何回聞いたことだろうか。少なくとも、生きていて良かったと思った事がない。本当にそう思える日が来るのだろうか?


 そう思いながら、アサルトライフルを構えて敵に撃ち込む。


 ここはある紛争地帯。過激派テロリストとアメリカの米軍との戦い。

 俺は米軍の雇われた傭兵だ。俺の他にも雇われた傭兵達がいる。俺たち傭兵は前衛に立って戦う。米軍は出来るだけ、被害は傭兵達に向けたいようだ。


 


「前方RPG‼︎」


 同じ傭兵の奴が叫ぶ。俺はすぐにボロボロの壁の後ろに逃げ込むと、すぐにロケット弾が着弾して爆発した。


 大きな音と叫び声が響き、上から土と血と肉片と半端に千切れた腕が飛んできた。

 着弾した場所を見ると、ほぼ全身火傷の奴や左腕と左脚を欠損した奴らがいた。同じ傭兵の奴らだ。


 俺はいつも着けている白くて丸い石の首飾りを握りしめて目を瞑り額につける。


「落ち着け……落ち着け……生き残って金を貰う……それが今の俺の目標」


 深呼吸して壁から飛び出す。

 RPGを放ってきた敵の所に手榴弾を投げ、すぐにアサルトライフルを構えて投げた手榴弾に撃ち込む。

 アサルトライフルの弾丸は、手榴弾に当たり、敵の空中で爆発した。

 

 叫び声が聞こえたのを確認して、アサルトライフルを撃ち込みながら前に進む。他の傭兵達も前に進む。

 

「止まれ‼︎」


 突然、ニット帽を被った黒人が叫ぶ。

 すると敵が隠れている建物や敵がいる場所に、ミサイルが着弾して爆発した。すぐに建物の壁側に身を隠した。


 上空を見ると、そこそこ遠くから戦闘機が飛んでいた事がわかった。


「あのクソ戦闘機が。俺達を巻き込むつもりか」


 先程の黒人がを睨みながら愚痴る。

 ミサイルが着弾した場所は、建物が崩れて爆風で全身火傷した敵やバラバラになった敵があった。


「ありがとう。感謝する」


「ほぉ? アジア人のくせして、英語しゃべれんだな」


「多少は」


「てゆーかお前らアジア人は、何度見てもチャイニーズなのかコリアンなのか分かんねーな」


 俺はため息を吐く。またこの黒人のお喋りが始まった。この傭兵に配属してから、うるさい奴だ。というかコイツの名前はたしか……ヤフェスだったか?


「あ、お前、もしかしてジャパニーズか? イエローか?」


「チッ……うるせぇな大便野郎が」


「ん? 何て言った今の? 英語じゃあねぇーよな?」


「静かにしてくれって、その日本人はいってるんだよ」


 左側後ろから金髪の男がスッと現れて、アサルトライフルを構えて敵が居ないか確認する。

 コイツは俺とヤフェスに比べると、比較的歳が若い。20代前後って所か。名前はライだったな。覚えやすい名前だ。


「お前、日本語わかんのか?」


 ヤフェスはアサルトライフルのリロードをしながら、ライに聞く。


「まぁ少しなら。日本のコミック好きですし」


 俺は壁側からソッと顔を出して辺りを確認する。壁の向こう側には目標の建物がある。


 俺たちの傭兵の目標は、テロリストがアジトにしてる建物を確保。できればリーダーの殺害。テロリストのリーダーを殺害した者には、ボーナスが付くらしい。


 早く目標の建物に行きたいが、その建物の入り口には敵が何十人いて近寄れない。米軍共の援護もあってもテロリストの数が減らない。どれだけ数がいるんだテロリスト共は。


 さっさと済ませて寝たい。まだ昼だがな。

 

「おいお前達!」


 後ろから呼ばれて振り返ると、傭兵部隊のリーダーのガーディー隊長がやってきた。

 

「よぉガーディー隊長」


 ヤフェスとライは軽い敬礼をした。


「お前達、てっきり米軍の空襲で死んだかと思ったぞ」


「あの空襲って僕達ごと殺すつもりですかね?」


 ライは、周りを警戒しながら隊長に質問する。


「巻き込む前提だろうな。巻き込んだら適当に言い訳するんだろ。所詮俺たち傭兵は米軍の使い捨てだ。傭兵の数が減りゃあ報酬も少なくて済む」


「なら俺たち傭兵を雇うなよって話だよ。アホ共め」


 ヤフェスは悪態を言いながら、タバコに火をつける。

 

「お前達三人ついて来い。裏から回ってあの建物に侵入するぞ。正面は他の傭兵達に任せよう。先にテロリストのリーダーを捕獲して、米軍共に俺たちが有能差を見せつけるぞ!」


 俺と他の二人は隊長の言う事に賛成して、目標の建物に向かった。



*****



 俺たちは過激派テロリストのアジトの建物について裏口から入り、地下駐車場から侵入した。地下駐車場にはバイクにトレーラーや装甲車や戦車までありやがる。テロリスト共はどうやってこんなの集めたんだ?


 俺たちはテロリストの戦闘員を一人捕まえて、テロリストのリーダーが何処にいるか尋問……いや多少の拷問をして聞いた。一応、もう一人捕まえて再度リーダーの場所を再確認した。


 そこから奴らに見つからないよう動き、奴らのリーダーの部屋へ難なく行けた。リーダーがいる部屋は地上……ではなく一階の中央だった。



 そしてテロリストのリーダーは……



『ま、待ってくれ! と、取引をしよう! 金をやる! なんなら麻薬もやる!』


 こんな感じだ。小太りでハゲかけのおっさんだ。リーダーのプライドもねぇなコイツ。ちなみにリーダーの護衛も無事静かに排除できた。

 


「おい見ろよこの部屋」


「どうしたヤフェス?」


 隣の部屋へ行くと、非常に銃の数がある武器庫があった。


「武器商人もやってるとは聞いていたが……夥しい銃だなこりゃあ」


 ガーディ隊長は、飾ってある銃に触り、本物か確かめる。


 どうやら本物らしく、弾丸も大量に保管されていた。RPGもありやがる。

 後ろでテロリストのリーダーは武器もやるから見逃してくれ……と言ってる。うるせぇ奴だ。


 ガーディ隊長はテロリストのリーダーの顔に銃のストックを当てて黙らせた。



「うるせぇぞブタ野郎。とりあえず米軍より先に確保できたな。それじゃあブタ野郎を持ち帰って米軍と値段交渉でもするか」


 その時突然、扉がバキャア‼︎ と音を立てて破壊されて特殊部隊な奴が五人入ってきた。


 俺たちは敵部隊かと思いすぐに銃を構えたが英語を喋っていて、Freeze‼︎ と言っていた。米軍共の部隊か?



「何だお前ら!」


「お前達……銃を下ろせ。アイツらはデルタフォースだ。味方だ。多分」


 ガーディ隊長の指示で俺たちは一応銃を下ろしたが、すぐに撃てるよう引き金には指を入れておく。


 それにしてもデルタフォースか。特殊中の特殊部隊。対テロリスト特殊部隊。コイツらも参戦していたのか。



「貴様ら……傭兵部隊だな? 協力ご苦労。ソイツは私達が貰っていく」


「はぁ? アンタら楽してここに来たくせに手柄横取りかよ! ふざけてんスか⁉︎ 」


 ライは強い口調で発言して前にでる。するとすぐにデルタフォース部隊は、銃を構える。


「ライ落ち着け。俺達はアンタらと争うつもりはない。ただ、俺達が先に捕まえたんだ。ボーナスはつくよな?」


「戦場の臭いを吸いすぎて脳みそが焦げたのか? 報酬は、契約通りだ」


「ふざけんな○○○野郎共! テメーらふざけた事を言ってると、頭カチ割って挿入するぞこの野郎‼︎」


「ヤフェス! 大きな声だすな! まだ上の階に敵がいるんだぞ。落ち着け」



 言い争ってる場合かよ……と、俺はため息を吐いて引き金から指を離す。

 

 その時、ドンと音が聞こえて俺はすぐにその方向に銃を構える。他の仲間もデルタフォースも構える。


 額縁からドンドンと叩くような音が聞こえる。止まったかと思いきや、またドンドンと音が聞こえた。声と別に何か聞こえるような気がする。


 俺は警戒しながら近づくと、声が聞こえた。額縁から……いや額縁の向こうから聞こえる。


「おいブタ。あの額縁に、何か仕掛けてあるのか?」


 ライがテロリストのリーダーに問い出す。リーダーは動揺しながら、知らないと言って爆撃のせいだと言った。


 俺は額縁に触り、取ろうとしたが取れない。もしかしてと思い回してみると、ガコンと音を立てて壁が扉のように開いた。




 壁の向こうには牢獄……男子女子の子供達が裸の状態でいた。


 一人は壁を叩いていた子供なのか、開いた壁近くで倒れていた。無理矢理脱出したのか鼻が折れていて鼻から血を流している。それに体がやせ細っていた。

 俺はその子の脈を測ったが、脈は無かった。きっと最後の力を振り絞って脱出して助けを呼んでいたのだろう。

 

 牢獄の中にいる子供達は衰弱していて、糞尿塗れで虚な表情だった。何人かは倒れて死んでいる。



「こりゃあ……酷いな」


 ヤフェスは、中を見てそう言って、壁近くに倒れていた子供の瞼を閉じてあげた。


「うわーお。こりゃあいい趣味してますネ〜」


 ライはブラックジョークのつもりなのか笑いながら言ったが、ヤフェスに睨まれてすいませんと言って黙った。


「児童売買までやってるとは聞いてない……ぞっ‼︎ 」


 ガーディ隊長はそう言いながらブタ野郎をストックで殴った。


「とりあえずこのブタ野郎と子供達を連れて行くぞ。デルタフォース部隊も手伝ってくれ」


「断る」


 ガーディ隊長は、睨みながらもう一度聞き返す。


「何? 何ていった?」


「断ると言ったんだ。悲惨だが、目的はテロリストのリーダーの捕獲だ。子供達は対象外だ」


「お前ら……正気かよ。まだ助けられる子供がいるんだぞ! 」


 ガーディ隊長とデルタフォース部隊が、争っているがそんな事はどうでもいい。

 テロリストのリーダーは子供を、食いものにしていた。子供の中にはヤク漬けにされて死んでる子もいる。


 俺は銃……USPタクティカルを取り出して、スライドを引き、セーフティを外す。


「ん? おいイエロー?」


 ヤフェスの静止を退けて、テロリストのリーダーの頭に弾丸をぶち込んだ。


 他のみんなは、突然の事に驚き、動きが止まっていた。


 そんなのお構いなしに、テロリストのリーダーの腹に弾丸を全弾ぶち込んで、最後は頭に、俺の背中に装備していた二連上下散弾銃の弾を放って、頭と脳みそを粉々に破壊してやった。


「……お、お前」


 ガーディ隊長は驚いた表情していて、ライはドン引きして、俺との距離をとって銃に手をかけていた。


「貴様!! 何のつもりだ!?」



 デルタフォース部隊の隊長?が、H&K HK416を俺に構えた。


 俺はそんなのお構いなしに、二連上下散弾銃の弾を込める。

 二連上下散弾銃のリロードする時、中折れした際に薬莢が排出されるのだが、その時の音と排出されて地面に当たった時の音が堪らない。


 そして弾を装填するのも堪らない。装填した後は、銃を元に戻す時の音も堪らない。


 俺がセミオートショットガンを、使わない理由だ。セミオートは便利だが、二連上下散弾銃にしかない魅力がある。

 


「聞いてるのかコリアンが!!」


 あぁ……忘れてた。


「일본인이다(日本人だ)」


「何? 何て言った? このクソが!」


 俺はため息を吐いて、質問の答えに答える。


「コイツは子供を食いものにしていた。死ぬ理由はそれだけだ」


「そんな事でか? くだらん感情で任務をパァにしやがって!」


 デルタフォースの隊長は、俺にアサルトライフル(HK416)を構え続けていたが、突然、テロリストの戦闘員が二人入ってきた。

 俺の銃声に気づいて、上の階から降りて調べに来たのだろう。まぁ当たり前だが。


『ボス!! 誰だきさ……』


 デルタフォースの隊長は、すぐに戦闘員に銃を向けて頭を撃ち抜いた。

 もう一人は、無線機で仲間を呼ぼうとしたが、すぐにデルタフォースの隊員に撃たれた。


 その瞬間に俺も、銃(USP タクティカル)を取り出してデルタフォースの隊長の首に銃を当てる。

 他のデルタフォース隊員も、銃を俺に向ける。



「おい……今この状況わかってるのか?」


「お前の首から弾が貫通して、出血多量で死ぬ」


 俺は淡々と答えた。

 

「おいイエロー!テロリスト共がコッチに来るんだぞ。今、仲間割れしてる場合じゃないだろ!」


 ヤフェスは、さっきの武器庫で弾の補充をしていた。


「ヤフェスの言う通りだ。早くしないと、テロリストの増援がくる。まだ息のある子供達と一緒に脱出しないと」


 ガーディ隊長が、俺の銃を掴んで下す。


「……分かった。だが、今度俺に銃を向けたら、目と目の間に穴が開くと思え」


「噂通りだな、イエロークレイジーめ。オレは本部に連絡する。そこのガキ共の事も聞いてみる」



 デルタフォース部隊の隊長は、無線で本部に連絡する。


 俺はさっきの武器庫で、弾を補充する。ここの武器庫は本当に何でもある。古い銃もあるし、何故か火縄銃もある。テロリストのリーダーの趣味だろうか?


 そう思っていた所、ヤフェスが話しかけてきた。


「イエロークレイジーて呼ばれていたな? それって何だよ?」



 俺は無視して弾の補充をして、監禁されていた子供達の所に行き、鍵をキーピックで開ける。

 ヤフェスは舌打ちして無視かよ……と、愚痴った。


 すると突然、上の階から爆発音がする。


「何だ!?」


「爆撃だ! もう始めやがった!」


  デルタフォースの隊長は、舌打ちをしながら無線機をしまう。


「爆撃って……どういう事っすか!?」


 先程まで黙ってたライが口を開いた。


「今、本部に連絡した。ターゲットが死亡。子供達が監禁されていた事を伝えた。そしたら、テロリストのアジトはミサイルで破壊する。子供達は放置し、即刻脱出せよ、だとよ!」


「……マジッスか!」


「まさかすぐに撃ち込むとは。俺達を巻き込むつもり……いや、アメリカが絡んでる証拠を消すつもりか?」



 するとまた扉が突然開いて、テロリストの戦闘員が入ってきた。


『ボス! ミサイルが……って誰だ貴様ら!』


 デルタフォースの隊長は、戦闘員を撃とうすぐに銃を構えた瞬間、突然その隊長側の壁が爆発した。

 

 俺達は、爆風で吹き飛んで壁に叩きつけられた。


 俺は、意識が朦朧としてる中、ヤフェスが横で倒れていた。一応、脈を確認したが、大丈夫だった。


 瓦礫が邪魔だ。早く脱出しないと……子供達を早く助けないと。


 子供達が監禁されていた場所を見た。天井が崩れていて子供達は、潰れていた。崩れたガレキの間から血が出ていた。


「……ちくしょう」


 言い争ってないで、さっさと外に出してあげるべきだった。いや、外に出しても撃たれて……いやそれでも助けてあげたかった。



 ポワァ……


「ん?」


 突然、俺の首飾りが白く光り出す。しかもバチバチッと音も鳴っている。


『動くな!』


 そう思ってると、テロリストの戦闘員がいつの間にかいてAK47を俺に向けた。他の仲間たちにも向けられている。


『貴様達の仕業かこれは!?』


 何か言ってるが、それより気になるのが俺の首飾りだ。


『何だそれは? 何をするつもりだ!』


 何か相手は言ってるが、首飾りから発せられる白い光はどんどん強くなる。




『勇者様……いつか助けに来て下さいね』



 その言葉が頭によぎる。何だ今のは?


 そう思っていると、ミサイルがもう一発来て……



 瞬間、全てが白く光った。





『状況を報告せよ』


「は、はい。アルファ部隊の戦闘機がミサイルを撃ち込みました……が……えっと、その……』


『何だ?目標の建物は破壊できたか? デルタフォース部隊はどうなったか分かるか?』


「た、建物が……消えました』


『……何? ちゃんと報告しろ』


「突然、大きな白い光に包まれて建物が消えたんです! アルファ部隊の戦闘機も巻き込まれて消えました! 近くに飛んでいた敵の戦闘ヘリも消えました!」


『何ィ!?』


「本当です!今から画像を送ります!」



 そこには、まるで丸い隕石が落ちたような底知れぬ穴がガッポリ開いていた。


 そして傭兵団の四名とデルタフォース部隊五名は、死体も見つからずに行方不明となった。




******



 夢を見ていた。小さい頃の記憶。


 そこには小さい俺と小さい女の子。でも背は俺より大きい。


 その女の子は、あの白い丸い石の首飾り渡してこう言った。


『いつか強くなって……助けに来てね……約束だよ!』


 その女の子はその後、消えていなくなった。本当だ。突然、空間に吸い込まれるように消えた。

 でもその時は色々あったから幻覚かもしれない。でも首飾りはある。


 その女の子は耳がとんがっていたような気が……っいて!

  



 突然、頭に痛みがきたので目を覚ますと、テロリストの戦闘員がAK47の銃口を俺に向けていた。


 俺は周りを見渡した。

 どこだココは? 周りは木が沢山……というか森の中かココは!? 他の奴らは?


 向こうにある大きめの木の所で、俺の仲間達がテロリスト達に降伏していて、手をあげていた。デルタフォース部隊はいなかった。


 

 テロリスト達の方が数が多いから降伏は止む無しか。テロリスト達は八人はいるみたいだ。武器は……取り上げられていて、無造作に置かれていた。俺の銃もない。


 俺は大きい木の所に連れて行かれて、他の仲間と一緒に降伏ポーズをとった。


「イエローテメェ絶対許せねぇ。テメェのせいで無茶苦茶だ」


「全くスよ。何スかこの状況。てか、ココどこっスか?」


 ヤフェスとライは、小さい声で喋る。


「落ち着けお前ら。まずこの状況をどうにかしないと」


 ガーディ隊長はそう言う。こんな時でも助かる方法考えるとは、さすが傭兵の隊長だけあるな。



『お前! アジア人!』


 テロリストの戦闘員が、俺に銃口を向ける。


『お前の首飾りが白く光ったら、こんな所に来ていた。お前の仕業か?』


 だいだい言葉はわかった。俺の首飾りが原因らしい。

 確かに、俺の白くて丸い石の首飾りが光っていたのは、俺も目撃している。


 首飾りを確認すると、白くて丸い石が粉々になって砕けていた。


『ココは何処だ! 何か知ってるんだろう!?』


『知るかボケ。ファックされな』


 相手の国の言葉で煽る。ヤフェス達は余計な事を……と、言わんばかりの表情をしていた……が、ヤフェスが珍しいモノを見つけたのか何かを見つめていた。


 俺もその方向を見る。その方向は、俺達の武器が置かれていてそれを、警備しているテロリスト達の方向だ。その木の後ろに何かいる。


 何だ? 動物じゃない。子供並みの背の高さで二足で立っている。手には、古い斧みたいな物を持っている。


 ……怪物……か? そう言うしかない。しかも複数いる。そのうち二体が、テロリスト二人の後ろから、襲いかかろうとしている。



『おい! 貴様!』


 銃口を向けているヤツが、俺の額に銃口をつける。

 俺は、怪物の事を伝えおうと上を向いた時、銃口を向けている奴の上には太い木の枝があるが、そこに先程と別の全身緑色の怪物がいた。


『おい聞いて……』


 その緑色の怪物は、上から降りてきて銃口を向けていたテロリストを棍棒で、頭を叩き潰した。


 俺の顔に脳漿と血がついた。


 俺も他の仲間も、驚愕して固まっていた。


 向こういたテロリスト達もいつのまにか斧を持った怪物に、首を切られていた。

 一気にテロリスト三人は、事態に気づきAK47の弾丸を発射する。


 俺も固まっていたが、降伏のポーズを解いてすぐに俺の銃を取りに動いた。他の仲間達も動いた。


 テロリストの頭を潰した緑色の怪物は、潰したテロリストの肉に夢中らしく、お食事中だった。



『おい貴様! 誰が動いて良いって……うあっ!』


 テロリストの戦闘員が、怪物に襲われているのにも関わらずに俺に銃を向けていたが、その最中に子供みたいな小さい怪物に、後ろを取られて首を切られそうになる。



 俺は、俺の銃……じゃない他の奴のだが、デザートイーグルを手に取り、.50弾(.50アクション・エクスプレス弾)を小さい怪物の顔に撃つ。


『うあっ!』


 小さい怪物の顔は吹き飛び、肉片と血がテロリストの戦闘員に飛び散る。


 俺はソイツに、おい!と、肩をドンと叩いてこう言った。


「今、この状況を切り抜ける為に一時休戦だ! 協力しろ!」


『え、な、なに?』


『今、仲間! 敵、怪物!』


 一応、相手の国の言葉は簡単な言葉なら喋れるので、何とか相手に伝えた。

 相手のテロリストも分かってくれたらしく、コクコクと頷いてくれた。


 AKを怪物に乱射しているテロリストの仲間にも、伝えてくれてコッチに集まってくれた。


「イカレ集団と手を組んで大丈夫かよ!? あと、俺のオカズ(デザートイーグル)返せよ!」


 ヤフェスは俺の後ろに来たので、俺は奴のオカズを返して、俺のUSPタクティカルをヤフェスから貰う。


「お前の恋人は、一番下に埋もれていたぞ」


「背中は任せた」


 ヤフェスは、やなこったと言いながら銃を構える。


「コイツらゴブリンってヤツっスよね!? あとあの緑の怪物は、オークってヤツっスよね!?」


「知らん! 冷静になれ!」


 ライは、アサルトライフルを構えているが軽いパニックになっていた。

 

 ガーディ隊長は、汗を垂らしているが冷静に怪物達に銃を向けていた。


『怪物がそこらじゅうにいるぞ!!』


『逃げよう!!』


『うるせぇ! お前達傭兵! この状況切り抜けられるよう期待してるぞ!』


 うるさい、という部分はわかったがあとは何を言ってるか聞き取れなかったが、期待されているようだ。



 

 俺は何も分からずに死ぬのはゴメンだ。


 どうせ死ぬのなら、ココが何処なのか? 

 怪物どもは何のか? 

 それを知って満足したら死んでやる。



 俺は銃を握りしめて、引き金を弾いた。

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