(三)-9
再び間合いを取ると、谷川左内は息がほとんど上がってしまっており、まともに立ってもいられず、片膝を地面に落とした。
元剣術師範の野盗の頭領はそれを見逃さなかった。素早い動きで間合いを詰めると、慌てて刀を構えようとした左内の目の前に立ち、上から刀を振り下ろした。
左内は自らの刀でその剣撃を防ぐ事はできず、左肩から右の腹に掛けて切られた。そしてうめき声を上げて後ろに倒れた。
「谷川殿!」
数馬は声を上げたが、左内に近づくことはできなかった。すでに黒井の目は横目で数馬をにらみつけていた。
「まだやるか」
そう言いながら右内は立ち上がり、刀を再び数馬に向けた。
(続く)
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