告白する前に振られた恋…

17歳の頃です。年上の友人の合コンの人数合わせでついて行かされます。友人達は、20歳でした。私も、そう言ってくれと頼まれました。

そのせいで、お酒を飲まないといけなくなりました。(もちろん、未成年の飲酒は、絶対にだめです)

誘ってきた三人組は、仮にみさちゃん、あつこちゃん、まさみちゃんとしておきます。みさちゃんの彼氏が主催する合コンでした。5対5です。


ついてからの印象は、合コンって、別に楽しいわけじゃないんだなーって思いました。私と一緒に、人数合わせで連れて来られた女の子がいました。彼女の名前は、ゆいちゃんって事にします。ゆいちゃんと私は、兎に角、人見知りで誘ってくれた三人の邪魔をしないようにつとめていました。

しかし、綺麗な顔したゆいちゃんは注目を集めます。ゆいちゃんは、私とオレンジジュースを飲んでました。

そして、男の人にあっという間にゆいちゃんは囲まれて私はゆいちゃんと引き離されてしまいました。

「何、まじ!おもしろくねー」

「何、ないわー」

「まじ、むかつく!ねっ、紫月ちゃん」

そう言われて、私は苦笑いを浮かべて頷くしかありませんでした。「あっ、えっ、うん」その瞬間でした。

「紫月ちゃん、笑ったらめっちゃ可愛いじゃん。一緒に話そうよ」

「えっ?」

「えー、見たい!紫月ちゃんの笑った顔見たい!」

注目が、ゆいちゃんじゃなく私にも注がれました。どうしよう。女の子に嫌われたくない。私、どうしよう。そう思いながら、間違って飲んだビール。まずい、どうしよう。

でも、テンパった私はもうそれを飲むしかなくて…。

「紫月ちゃん、話そう」

そう言って、私に興味を持ってきたのはゆうじさんでした。

「もちろんです」

「俺ね、ぶっちゃけ人数合わせなんだよ!紫月ちゃんもでしょ?」

「はい!そうです」

「やっぱりね、だから、楽しくないんだね」

「いえ、そんな事はないですよ」

「いいよ、いいよ。俺には、嘘つかなくて」

それからは、ゆうじさんが守ってくれて何とか楽しく終わりました。

二件目に行く話にみんながなります。本当は、帰宅したかったんですが…。私は、嫌われたくないが勝ってしまって言えなくて…。


「紫月ちゃん、私帰るね!終電あるし…紫月ちゃんは?」

「ゆいちゃん、私は…」

私は、ゆいちゃんに帰ると言おうと思ってました。

「紫月ちゃん、二件目行くよー」

と無理矢理、三人組の方に…。

「ゆいは、帰りなよ!終電なくなるから」

「じゃあ、俺も!帰るわ!」

ゆいちゃんも、ゆうじさんも、帰っちゃうの?

人見知りな私。嫌われたくない私。頭が真っ白でした。

「紫月ちゃん!ゆうじさんが、番号教えて欲しいけど聞けないって!教えてあげなよ」

三人組の一人、あつこちゃんに言われました。

「はい、もちろんです」

私は、ゆうじさんと番号を交換します。

「紫月ちゃん。帰りたいなら帰りなよ!」

「あっ、うん。でも…」

「何かあったら、メールちょうだい」

「はい」

ゆうじさんは、仲のいいまさとさんに私を託してくれました。

「紫月ちゃんの事、よろしくな」

「わかったよ!任せとけ」

「あの、ゆいちゃんを宜しくお願いします」

「ハハ、任せてよ」

ゆうじさんが、ゆいちゃんを送ってくれる事になりました。

駅までは、ゆいちゃんと一緒に行きました。

「紫月ちゃん、気をつけてよ!みんな酔ってるし!紫月ちゃん、可愛いから気を付けなきゃ!本当に心配だよ」「ゆいちゃん、ありがとう。でも、多分大丈夫だから」

「ならいいんだけどね。何かあったら言いなよ」

「うん、ありがとう」

駅前で、ゆいちゃんとゆうじさんとお別れしました。

「紫月ちゃん、ゆいってむかつくよねー。可愛いからって調子のって!みんな注目させてさー」

「そうかな?それなら、私も…」

「紫月ちゃんはいいの!妹みたいで可愛いから!よしよし」

そう言って、頭を撫でられました。二件目は、まさとさんが働いているカラオケボックスに行きました。ここにやってくるとお酒を飲まないといけなくなりました。王様ゲームとか始まって、まさとくんとあつこちゃんが私を庇ってくれてました。

飲み過ぎて気持ち悪くなった私はトイレに行きます。なかなか、戻って来ない私を心配してまさとくんが来てくれました。背中を擦ってくれました。吐きたいけど吐けないしんどい中で、まさとくんは最後までいてくれました。何とか気分悪いのがおさまりました。

「紫月ちゃん、掌どうしたの?」

「えっ!あっ」見ると掌がぱっくり開いて出血してました。

「手当てしなきゃ!行こう」そう言ってまさとくんについていって!私は、彼に出会います。彼の名前は、みつきくん。

「みつき、救急箱」

「何かあった?」

「掌切っちゃったみたいで」

「そうか!後で部屋に持ってくわ」

「宜しく」

そう言って、まさとくんと部屋に戻りました。15分ぐらいした時でした。みつきくんが、救急箱をもってきました。

「えー、イケメンじゃん!一緒に飲もうよ、飲もう」

みさちゃんは、そう言いました。

「えっ!俺、まだ仕事だから」

みつきくんは、苦笑いを浮かべました。「いいじゃん、いいじゃん」

「すいたらねー」と言ってまさとくんに救急箱を渡していきました。

まさとくんは、私の左手を手当てしてくれました。

「ありがとうございます」

「ううん」

そう言って、笑ってくれました。さっきから、私はみつきくんが、気になっていました。でも、仕事中の彼はなかなか来なかったです。

そして、酔ったみさちゃんは、泣きじゃくってくだを巻いて、手に終えず。4時半頃に、お客さんが引いたからと店長さんとみつきくんがやってきます。今度は、まさみちゃんに注目が集まりました。みさちゃんは、どうやら、それが許せないようで…。朝型、5時頃、酔って寝ちゃったまさみちゃんを置いて帰ろうと言い出しました。始発が走り出したからです。

「紫月ちゃん、帰るよ」

「いいよ!私は、まさみちゃんが起きるまでいるから」

「何でよ!そんなやつほっときゃいいよ」

その言葉に素面のみつきくんが怒りました。

「友達なら、置いて帰るとかしたら駄目だろ!俺、そういうやつ一番嫌いだわ」

「別にみつきくんに嫌われようが関係ないわ!帰るよ、紫月ちゃん」

「待って、待って!私は、帰らないよ!帰れないよ」

「いいから帰るの」

「紫月ちゃんは、嫌だって言ってるだろ?」

みつきくんが、そういうとみさちゃんは「まさみは私の友達じゃないもん。あつこと紫月ちゃんだけが友達だから!帰るよ」と言い出しました。私は、正直ショックでした。友達じゃないと酔っていても言い放った彼女の言葉に…。

「ほら、紫月ちゃん行くよ」

「私は、残るよ」

「駄目!紫月ちゃんは帰るの」

ずっと同じやり取りが続き、みさちゃんの彼氏に「途中まででもいいからついてきて」と言われました。

「見とくよ!俺が…店長と」

みつきくんの言葉に私とあつこちゃんは、一旦外に出ました。タクシーが拾える場所まで歩いて、みさちゃんの彼氏がタクシーを拾ってくれました。

「あつこ、紫月ちゃん。乗るよ」

腕を掴んで引っ張られそうになるのを彼氏がうまく取ってくれました。

でも、あつこちゃんは連れて行かれました。どうしよう…。私は、カラオケに戻りました。

「まだ、寝てるよ!まさみちゃん」

「そうですか」

「あれ?あつこちゃんは?」

「連れて帰られました」

「そっか!正直戻ってこないと思ってたけど…。紫月ちゃんは、一人で戻ってきたんだね。優しいね」

「私は、まさみちゃんを友達だと思ってるから」

みつきくんは、私に凄く優しく接してくれて…。その優しさを勘違いして、お酒が入ってるからか私はみつきくんに惹かれてしまいました。

それから、いろんな話を店長さんとみつきくんとしました。二人の番号も聞けました。

店長さんが、閉店作業をしに行ってから、「怪我見せて」とみつき君に言われて手を見せました。

「痛いね!絆創膏かえてあげるね」

胸がうるさいぐらいでした。でも、ばれたくなくて「はい」と言って手当てしてもらった。キスするぐらい近くにみつきくんの顔があって、ニコって笑った顔にビックリするぐらい心臓が鳴りました。キスしてもよかったぐらいでした。

手当てしてもらって暫くしてから、「紫月ちゃんもちょっと休んでいいよ」と言われました。私は、少しだけ眠って、目覚めた時にはまさみちゃんと楽しそうに話していました。それを見て、私の能力が初めて自分に使われました。みつきくん、まさみちゃんと付き合っちゃうんだね。悲しかったです。こんな所で、自分の能力が使われると思わなかった。

「紫月ちゃん起きたんだね!ごめんね。」

「ううん」

「紫月ちゃんだけが戻って待ってくれてたんだよ!本当に大事にした方がいいよ。紫月ちゃんだけは…。そんな子いないと俺は思うよ」

みつきくんは、まさみちゃんにそう言いました。

「ありがとう、紫月ちゃん」

「ううん」

私は、ずっと悲しかったです。だって、どうやったって叶わないのをわかっちゃったから…。後にも先にも、自分に能力が使われたのは初めてでした。多分、お酒の影響だったのかも知れません。


【ただ、嫌われたくないだけだから…。だから、誰にでも優しくしちゃうんだよ!だから、優しいとかまさみちゃんを思ってるとは違うんだよ】戻ってきた時に、私はみつきくんにそう言いました。

みつきくんは、そんな私に【そうだとしても、誰にでも出来る事じゃない】と言ってくれました。二人を見ながら、その言葉だけが頭を巡っていた。暫くして、酔いが覚めた、まさみちゃんと帰宅しました。みつきくんとまさみちゃんは、私の能力が導いた通りに付き合いました。

そして、みつきくんはずっーと私を優しくて偉くてあんないい子はいないと会わなくなっても褒め続けてくれていたようでした。まさみちゃんと別れても紫月ちゃんだけは大事にしろと言ったそうです。私は、そんな言葉よりみつきくんの傍にいたかったよ!


この出来事は、私に友情とは何かを考えさせるきっかけになりました。


そして、ゆうじさんとみつきくんとの話は、また改めて別で書きたいと思います。


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