あんたは、不細工と言われ続けた日々

私には、同い年の従姉妹がいます。私は、彼女とずっと比べられる人生を生きてきました。


叔母の家に行く度に、「◯◯◯は、可愛い」と自分の娘をそう言いました。

私は、母に可愛いと褒めてもらいたくて、尋ねます。母は、いつもこう言いました。


「◯◯◯は、可愛いけど。あんたは、不細工」


そう言われる度に、心は少しずつ傷ついていきました。


叔母は、「◯◯◯は、頭がいいけど。◯◯◯は、頭がよくない」と私によく言ってきました。


見た目も頭のよさも比べられて、否定される。

従姉妹は、好きだけど嫌いな存在でもありました。


叔母も母も、従姉妹ばかりを褒める。頭の中にこびりついたそれを消す事は、出来ないまま成長していく。

胸がギュッと押し潰されそうになる感覚を感じながらも、気づかないフリをして生きていく事にしました。


気づけば先生や、母から、「やれば、出来る子だよ」と言われ続けるようになっていきました。


やれば、出来る子。じゃあ、私はやらなければ何も出来る人間ではないんだと思いました。


普通は、そこで頑張る!じゃあやろうってなるのかもしれません。でも、私はそうなりませんでした。


だったら、やらなくていいや!そう思いました。


やれば比べられて、どうせ否定される。100点を取ったって当たり前のように扱われ、頑張ったね何て言われたりもしない。

だったら、しなくていいや。

そんな風に、自分の人生を投げやりに生きていました。


私は、従姉妹みたいな人間が現れたら逃げて逃げて逃げ続けました。

向き合いたくなかったからです。


そして、大人になった頃。その逃げを回収しなければいけないように、従姉妹によく似た女の子と働かなくちゃいけなくなりました。

もう、顔を合わせる度に吐きそうでした。その人は、何も悪くないのはわかっているけど…。


小さな頃から、植え付けられた記憶のせいで…。その人とうまく話せなかった。

それでも、これを最後に頑張って向き合ってみようと決めました。そして、いつの間にか私は彼女と普通に話せるようになっていました。


今は、従姉妹に対しての卑屈な感情も不思議となくなりました。


多分、あの時、従姉妹に似た彼女と向き合えたお陰かもしれません。


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