vsマクワ Turn‐4


『モルフォールシュート!!』



 二人の《ねもね》は盾を作り出し、《シルクロード》の攻撃を受け止める。だが、力を使いすぎた《虎刈とらがぎつね》は元の姿に戻って力尽きてしまう。


「相手アバターを破壊したことで《メガモルフォーゼ・シルクロード》の効果を発動。カーネル以外のベースカードの数だけアオバのカーネルを破壊する」



(×××★)アオバ VS マクワ(★)



「ガァッ」


「我とバトルする相手アバターは、バトル中に効果を発動できない! つまり、目障りな【核醒】効果も使えまい! これで我の勝ちだ!」


 回復できない体は悲鳴を上げて徐々に押され始める。


「それはどうかな?」


「何!?」


「発動できないのはバトルするアバターの効果のみ。! 2コスト、《サンゴジュナスの花言葉はなことば》!」


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……

《サンゴジュナスの花言葉はなことば

┣━━━━━━━━━━{コマンドタイプ魔法タグアーツタグ2コスト

●アバターがバトルする時にプレイしてもよい。

■自分{《魔法少女まほうしょうじょ》}アバター1体を対象に発動できる:お互い山札の上から1枚を公開する。そのタイプによって以下の効果を適用する。その後、公開したカードは山札の下に置く。

アバタータイプ:ターン終了時まで、対象の{パワー}は3000アップする。

コマンドタイプ:ターン終了時まで、対象の{ガード}は3000アップする。

アバタータイプコマンドタイプ以外:このカードをキャッシュゾーンに置く。

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……


「お互い山札の一番上を公開し、そのタイプによって効果を適用する。オレが引いたのは《ファイヤーレッドスピア》――」


「僕が引いたのは《ベースアップ》――」


「公開したカードがコマンドの場合、ターン終了時まで、対象のガードを3000アップする」


「オイオイオイ、それだと8000ガード止まりじゃねえのか、アオバ!?」


「いいや、! よって、ガードは6000アップ!」


11000ガード!?」


 《ねもね》の体に毛細血管のような刺青が走る。罅が入っていた盾はより強固に持ち直す。


「ハァァァァァァァァ!!」


 嵐が止み、盾が瓦解する。緊張が解けてゆるゆるとその場にへたり込む。


「やりましたよ……マスター……」


「ああ、よくやった。悪いがあと一撃頼めるか?」


「喜んで!」


「馬鹿な。我の攻撃を受け止めただと……! ならぬ……。そんなこと何かの間違いだ!」


「ターンエンド」


五月蠅うるさい。黙れッ! この役立たずが」


 《シルクロード》はマクワの髪の毛を引っ張る。


「おいっ! それ以上マクワに手は出させないからな」


「うぅ……」


「ターン終了時、《サンゴジュナスの花言葉はなことば》の効果は消える。オレアオバのターン、ドロー。2コスト、《満月まんげつ》を発動!」


┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……

満月まんげつ

┣━━━━━━━━━━{コマンドタイプタグ2コスト

●アバターがバトルする時にプレイしてもよい。

■:ターン終了時、自分{タグ}アバター全ての{パワー}は3000アップする。

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━……


 木々の隙間から月光が差し込む。少しばかり《ねもね》の傷も癒える。


タグ扱いの《ねもね》のパワーを3000アップ! バトル、《魔法少女まほうしょうじょ ねもね》で《メガモルフォーゼ・シルクロード》を攻撃!」


 痛みを押し殺し、《ねもね》は一歩一歩と《シルクロード》に迫っていく。


「待て、待て! お主の望みはなんだ? 我と手を組め。さすれば――」


 それ以上何も話すなとナイフを喉元に突きつけるようにステッキを向ける。


「その態度を悔い改めて下さい!」



『バニームーンインパクト!!』



「我が――敗北するなど――あり――え――」



(WINNER)アオバ VS マクワ(LOSE)



 糸が切れたようにマクワはその場に崩れる。脇に落ちたカードから瘴気は消え去った。


「大丈夫か! マクワ」


「………………アオバ、やったんだね」


「当たり前だ。オレが負けるかよ」


 アオバは手を貸す。しかし、マクワは腰が抜けてよろめてしまう。


「ったく。しょうがないな」


 今度は肩を貸してしっかりと支える。


「誰かを頼るって、こんなにも楽なんだね。ありがとう」


「バカ野郎。こちらこそ、いつも……ありがとう……だろ」


 柄にもなくアオバが感謝を述べた。マクワは笑いがこみあげて来る。


「何が可笑しいんだよ」


「よかったです。今度からはちゃんと話合いましょうね」


「うん、分かった。あとサバサキさん。コレお返しします」


 マクワはBCDを返す。


「あと一歩で取り返しのつかないことになってました。ごめんなさい」


「無事に戻ってきたなら、まあ良いってことよ。それとコイツはどうする?」


 サバサキは地面に落ちたままの《シルクロード》のカードを指さす。口達者であってもカード化された状態では何もできない。


「アオバが持ってて。僕がコイツに負けないくらい強くなったと思ったら返してくれる?」


「分かった」


 大事は収束し、アオホシ園へと歩みを進める。だが、マイナスから0に戻ったに過ぎない。現状維持――――。《シルクロード》の言ったことは一理ある。アオホシ園を維持するための打開策を講じなければならない。


「そういえば、街に行くの?」


「ああ、マクワには伝えておく」


 わざとらしく咳払いしてからアオバは宣誓する。


「オレはカードショップに行く!」

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