だけど

ほとんどの人はそうだろう。ブラック企業数とか、いじめとか過酷な環境にいて、よっぽど荒くごりごりと削られた人じゃなければ、だけど。


私は違う。ほんの、ほんの少しだけなのだ。さらっさらの抹茶みないな粉末程度にすり減る。夢でみるのだ。色まで抹茶色のさらっさらを。そのさらさらを掬い上げる。軽くて手の隙間から溢れていく。そんな時、私はいつの間にか泣いている。さらさらに涙を混ぜ込んで、練って、食んでしまう。味わってしまう。


大抵、甘い。抹茶みたいで、涙が混ざっているのに甘い。砂糖みたいな甘さじゃなくて、お団子の甘さ。


さらさらはもちもちに変わって、そのもちもちに包み込まれるような気持ちになる。


多分、すり減った心が美味しくなって元の大きさに戻っているのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る