ちっちゃな、恋のあやめちゃん
ヤッキムン
第1話
大学の文学部に合格して、門を入ったところで、
「マンドリンのサークルですけど、今から、ちょうど新入生のための演奏会やるので、聴きにきませんか?」って言われて、その先輩について行った。
音楽系サークルの部室、ずらーっと並んでいる音楽長屋と呼ばれている建物で、いろんなサークルの人たち、みな、それぞれの楽器を練習していた。
そこの間の長い廊下をどんどん歩いて行って、いちばん奥の突き当たりの部室に、マンドリンのサークル、入ってた。
到着するやいなや、マンドリン部の演奏、始まった。
演奏が、めっちゃきれいな音色だったから、
「マンドリンの音色って、独特で、めっちゃ可愛くて、形も可愛くて、良いですね~」
って言って、ボクは、その場で、入部した。
ボクの他にも何人かの新入生も聴きに来てたみたいで、ボクといっしょに、入部してた人もいたようだ。
ボクは、その場で、マンドリンの1つをもらえて、先輩に、
「これ、あなた用として、今日から自由に使ってええから、持って帰って、いっぱい練習してや~っ!」
って言ってもらえた。
その日から、先輩に、マンドリンの弾き方など教えてもらって、授業の合間などに、校内で、マンドリンの練習をし始めた。
「最初、門のところで勧誘した時も、演奏を聴きに来てくれた時も、ずっと女の子なんやとばっかり思ってたわっ」
って先輩に言われた。
「よく、女の子に思われます」
「そうやろーっ。入部してくれて、ちょっと話をしてた時も、ずっと女の子なんやろなあ~って思ってたもんっ」
「でもボク、女の子みたいなので良いんですっ」
「服装も、女の子みたいやしね~っ」
校内でマンドリンの練習をしていると、交響楽団に入った新入生たちも、ボクの近くで、それぞれの楽器を練習していたけど、交響楽団には、マンドリンっていう楽器はないので、みな珍しそうに、ボクの練習を見てくれていた。
同じ音楽好き、楽器好きどうしだったから、お互い、練習してて、なんとなく、気持ちの通じるところもあった。
交響楽団も、マンドリン部も、大学の中でも、たぶん、どちらも歴史ある部なんだと思う。
でも、珍しそうに、ボクのことを見てたのは、マンドリンでなくて、女の子なのかなあ~って思って、みんなボクを見てたのかもしれないなあ~って思った。
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