3つの蔦~彩花とヒナの数日間~

こんぎつね

第1話 雀の子

それは5月の中旬を過ぎた頃。


「う~っ、だるい..」


華金はなきんの夜に友達の家で缶チューハイと梅酒を少々。


いや.. 『この世界の理不尽に乾杯!』ということで調子に乗って、いつもよりはちょっぴり多かったかな? 梅酒ロック..


もともとお酒を飲まない私はそれだけで命とり!

翌日の絶不調は決定事項なのです。


しかし、いつもの早起きは鉄の習慣となり、どんなに酔っぱらっても朝の5:30には必ず起きてしまう。


『おばあちゃん、『早起きは3文の徳』だよね。彩花あやかはちゃんと守ってるよ』


ついこの間まで『3文の得』と勘違いしながらも、早起きを心掛けていた。


・・・・・

・・


まずは歯を磨く、そしてトイレ掃除から始めるのが休日のルーティン。


それが終わるとシャワーで気分転換。

髪を整えて(面倒なので帽子被ること多し)、コンビニにお買い物。


バタースコッチ&牛乳という 私の朝食を買いに行くのだ。


『でも、今日は久しぶりにコーンフレーク食べようかな』


アパートを出て階段をコトコト降りる。


空は良い天気になりそうな気配。


梅の木の曲がり角に差し掛かると昨日ダウンロードした曲が流れ始める。


『やっぱりこの曲いいね.. おっ!!?』


足元に雛鳥の死骸? ..でも動いてる。


その子の周りには5匹ほど蟻が群がり始めていた。


『おいで』


私は両手でその雀の雛鳥をすくい、足早にアパートへ引き返した。


『えっと.. まずはこの子の居場所をつくらなきゃ!』


用意したもの

・キッチンボール

・キッチンペーパー

×小麦粉

×卵


『これ、下手したら調理の準備だねぇ....』


そして、使い捨てカイロ!


私は前にも落ちていた雛鳥を拾って部屋に持ち帰った事があった。

それは初めての事だった。

普通にハンドタオルの上に置いたまま目を離していたら、体が冷え切ってあっという間に死んでしまった。


だから使い捨てカイロが必要なのだ!


確か.. 冬にお出かけしたバッグの中に.. あった2枚!


カイロでホカホカになったキッチンペーパーの上、くってりしている雀の子を置く。

くちばしは小さくて、黄色いパッキンみたいなのがとても可愛い。

体毛の模様はもう雀らしくなり始めているけど、首のあたりはまだ地肌が見えている。


そして羽へとつながる肩に傷があり少し血がにじんでいた。


さて、次に私がするべきことは何なのかな?


私はPCのスイッチを入れて『雀のひな』で検索をしてみた。

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