第十七話 戦闘力5、よく思い出す
圭太は、自身が新島の教室へ入った時のことを思い出す。
ーーあの時、教室内には疎らに生徒がおり、各々の席で会話を楽しんでいた。
蓮は居ない。彼は登校が凄まじく遅いのだ。
担任教師は既に職員室に引き上げた後だった為、彼等が気兼ねなく大音量で話していた事は覚えている。
そして、その隅で新島が友達ーー
……今の所、「新島と詩の会話」を除けば、怪しい面はない。
(もう少し、先だ)
圭太は思惟を深める。
ーー詩が静香の肩を掴んだ後まで。
そうだ、その時に椅子が倒れ、生徒たちは彼女らの方向を見た。
一方の圭太は、真っ直ぐに新島の元に向かいーー。
「あっ」
……閃光の様に、脳裏に何かが写る。
瞬間、圭太の脳内に現れたのは、一つの図。
教室の、間取り。
そして、見つけたそれは、迚も簡単なものだった。
ーー何故、教室の対角線にいた自分のほうが、彼女等の近くにいた生徒よりも早くたどり着き、新島を助けられたのか。
いや、この表現は遠回しが過ぎる。
もう、はっきりと言おう。
何故、付近の生徒達は彼女を助けなかったのか?
勿論、「関わりたくない」だとか「誰か助けるだろう」とか思う人も多くいるだろう。
ーー圭太自身もそう考えるように、【面倒事は、首を突っ込まないほうが良い】からだ。
然し、1Aクラス50人全員がそう考える訳は到底ない。
一人でも、行動を起こす者が存在するはずだ。
真っ先に走り出した、少年のように。
(何故、あの人たちは動かなかったんだ?)
彼は、確かに自身の事なかれ的な考え方を持つ者が多いことを知っている。
そして、その考えと真逆のーー蓮や新島のようなーー者が、自分達と同程度存在することも知っている。
だからこそ、はっきりと言えるのだ。
奇妙だ、と。
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祝!700PV突破!
お読みくださり、ありがとうございます。
ストーリーも、説明や蛇足の多い前編から、「転落と修業」が中心の中編へと向かっています。
これからもよろしくお願いします。
@bsjr888さん、☆と♡をありがとうございました!
とても励みになります!
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