私の初恋
林花
家出
出てきてしまった。最悪だ。少し肌寒い。上着も着ないで出てきてしまった。もうすぐ冬になる風が私を撫でる。
「寒っ、どこに行こ」
よくテレビでは、家出した人は友達の家に泊まるというのだがあれは稀だと思う。私も休み時間で芸能人の誰々がかっこいいなどという話をする友達はいる、と思う。いやそう思いたい。だけど友達のことを考えたり友達の親がどんな顔をするんだろうって思ったら私の中で選択肢の中から消えていってしまう。
辺りが急にスイッチが入ったように暗くなってきた。近くのコンビニ行こうかなと思ったけど、お金がないという理由でこれも却下。
そんなことを考えながら歩いていると、
「わあーなつかし」
昔、よく遊んだ公園だった。男の子と混じって、鬼ごっことかブランコで誰が一番高くなれるか競争したっけ。6時になるまでに帰らなきゃ行けなくて、あの時の時間はすごく濃密で輝いていた。あー楽しかったな。私の小学生の思い出はほとんどここに詰まっていた。6つの街灯が公園にグラデショーンを作っている。あの時見る公園とは、全く違う顔を見せていた。好きな人と休みの日にあった時のような感じがした。
時計を見ると7時を回っていた。もうこんな時間か。大切な時間を失ってしまっている罪悪感が自分の胸に釘を刺した。
気分転換にブランコでもしようか。昔より少し錆が入ってるが今でもしっかり現役だ。
1漕ぎ、2漕ぎすると地面が足に当たりそうになってこぎづらい。昔はこんなんじゃなかったのに。
どれくらい漕いだだろうか。私の腰ぐらいの高さに到達した。
「わぁ」
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