第45話 貴方は俺にとって光だった―――アルジュレッド・ゲイラ
俺は、酷い死にたがりで酷い他人恐怖症だった。
俺はカルストゥーラ様と同じく竜人国、ギルジェディーラの出身だ。……でも、アンディールドラゴンと言う、竜種でもありアンデッドでもある俺は一度も死んだ事がないのにアンデッドとして迫害を受けていた。差別を受けていた。
食事を貰えない日も何度もあった。
暴行をされた日も何度もあった。
物を壊された事も何度もあった。
物を奪われた事も何度もあった。
純潔な竜人である両親からも迫害され、虐待され、毎日毎日勢い余って殺してくれないだろうかと日々懇願していた。
……そんなある日、“王家にも異業種が生まれた” と噂が国中を駆け巡った。
それが、今俺がお仕えしているカルストゥーラ様。
カルストゥーラ様は本当に凄かった。憧れだった。
両陛下にまだカルストゥーラ様が12歳の時に純血種を殺戮した事で国外に追放され、俺も同時期に追放された。でも俺はもう20歳。竜人なら子供と大人の中間くらいの歳だったがカルストゥーラ様はまだまだ子供。あのお歳で生きていけるのか酷く心配だった。
あの方を話してみたい。
あの方と語らってみたい。
その願いは叶う事無く俺は元王都に流れ着き、街に入る為の門で当時の魔導士ギルドのマスターに拾われて、そのまま実力を認められてこの魔導士のマスターになった。
カルストゥーラ様がギルドに来て、ルイスと言う悪魔とシルアと言う白蛇と話しているのを見て “羨ましい”、と思った。
俺もカルストゥーラ様とあんな風にお話をしたい。
でも、カルストゥーラ様に隷属してからと言う物、独りになった時のカルストゥーラ様が酷く寂し気で、眠っている時に時々悪夢にうなされているのを見て “やっぱり、貴方も辛かったんだね” と思った。
死にたがりだったのにギルドマスターを引き受けてしまって、どうすれば良いと迷っていた俺を貴方は救ってくれた。
死にたがりの俺に、生きる理由を教えてくれた。
俺はこの命を賭して、死後も必ず貴方を守り切る。俺の全ては貴方の物です、カルストゥーラ様。
それでも俺が不要になったその時は、どうか貴方の手で殺して下さい。
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