第24話 得られる全てを手中へ納め
「ああいうのがあるとは知ってたけど、まさかこんなに近くにあるなんて。」
「お前もこれからは時々あそこまでお遣いを頼む事があるやもしれん。ちゃんと覚えて置け。」
「はい、ご主人様。」
私達が住む森から最も近い場所にある人間の街、シールクアーテ。
最後に見た半世紀前と比べてみた所、予想していた通りこの街の発展具合はかなりの物。以前は石畳だったり、石がそれっぽく並べられていただけであるはずの街はレンガやコンクリートでしっかりと塗装され。家と言っても1階建てぐらいだった建物達は基本的には2階、多くとも4階程度にまで高く出来るだけの建築技術を取得したらしい。
その他にもこの街では人間しか見なかったのに対し、今ではかなりの種類の非人間族も確認出来る。さぞ、これもあって栄えた事だろう。
ここも何とかして配下に納め、餌場にする事が出来れば……。もう少し面白いかもしれんな。
私が半世紀も眠っている間にダンジョンなる物まで発見されたらしく、今では色んな街や土地からその攻略を目指してここへ来る事もよくあるらしい。なら、そこで行方不明になったやら魔物に喰われたやらにしてしまえばそれはもう効率良く餌を得られる事だろう。
ダンジョンと言うのは敵が定期的に無限リポップを繰り返し、そこで死ねば死体すらもダンジョンという生き物に消化される、言わば建造物の形をした生き物。大小様々で、大きければ大きい程に攻略が難しくなるが、それに相応するだけの宝がある。
その他にも勿論、各階層ごとのボスというのも存在しており、それらも階層が深くなればなる程にどんどん強くなる。
「ご主人様、ご主人様。」
「何だ、いきなり。何か面白い物でも見つけたか。」
「さっきそこのパン屋で聞いたんだけど、ここにあるダンジョンに人間の国の第3王女様を筆頭にする冒険者グループが入っていったんだって。」
「……第3王女。」
「うん。今は38層っていう、現状は最前線って言われる所に入り込んでるって。次のパーティは20層までにしか到達出来てないって。」
ほーう……。
「……ルーザ。」
「なぁに、ご主人様。」
「次の目的地だ。ダンジョンへ向かう。」
「ふふ……ご主人様ならそう言うって思ってた。何せ、俺のご主人様なんだから。」
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