パラレルサウンド~パラレルワールドの君と奏でる未来への詩

羽羽 ジョージ

1章 悪魔と天使

1話 急襲する悲劇

(あいつ仕事押し付けやがって……絶対泣かす)


午後8時過ぎ、この時間でもまだまだ暑さの残る季節。

予定外の残業を終えて蒸し暑さに襲われながら心の中で上司の悪口を言い、現実では何も言うことが出来ない自分を少し恨みながら電車に乗りこむ。


こんな時は音楽を聴かなければやってられん。

カバンからワイヤレスイヤホンを取り出しスマホと接続する。

音楽を聴きながら帰路につくのが毎日の日課であり、1日で一番至福の時だ。


俺は昔から物事への興味関心が薄い、そして物持ちがいい。財布なんかは10年くらい使っている。この話をすると軽く引かれ、欲がないとよく言われる。

……オヤジギャグ見たいになったが年齢はまだ26だ。


そんなどこにでもいる若者の唯一と言ってもいい趣味が音楽を聴くこと。

特に好きなのはSAKURARAID(サクラレイド)というバンド。略してサクレイ。

今年でデビュー20周年、長い間音楽界のトップを走り続けるモンスターバンドと言ってもいい。

サクレイから始まり色々なアーティストの音楽に触れ、感情を動かしてきた。でも最後はサクレイに戻ってくる。その繰り返しで時間を進めて来た。

つまり俺の人生の始まりでその全て、そう人生の全てだ。大切だから2回言った。

今日もサクレイを聴きながら電車に揺られる。



下車駅に到着し電車を降りいつもの帰り道へと歩き出す。


(違うアルバム聴くかな)


聴くアルバムを帰るためスマホを取り出し画面ロックを解除しようとすると

ニュースの通知が来ていた。


(お、ニュース通知だ、ついに20周年ライブ開催か!)


サクレイ関連のニュースしか通知されない設定なので少し心が踊り、まだ発表されていないライブ情報を期待しそのサイトを開く。


「う、嘘だろ……」


いつも通り退屈な仕事を終えて、その帰り道何となくスマホを眺めていた、

ただそれだけだったのに俺は人生で一番の衝撃に襲われた。


まだまだ仕事終わりのサラリーマンで賑わう街の雑踏、喧騒全てが聞こえない。

ただ自分の壊れそうな心臓の音だけが世界を支配した。



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衝撃ニュース‼

デビュー20周年

SAKURARAID

電撃解散へ!!


今年でデビュー20周年を迎えるロックバンドSAKURARAIDが今月末限りで

解散をすると発表された。


昨年からボーカル朝羽の体調不良が続いておりバンド活動が困難な状況であり

解散するという選択になったようだ。

今回の解散についてや活動休止ではなく解散という形になる経緯について、リーダーであるドラム真島からコメントが発表されている。


今年でデビュー20周年。記念ライブなどを楽しみにしていたファンにとっては非常に残念な解散となってしまった。



なお、解散ライブなどは行われない予定。



SAKURARAID(サクラレイド)は

ボーカル 朝羽あさば ゆう(47)

ギター  佐藤さとう 浩二こうじ(47)

ベース  鈴木すずき 博文ひろふみ(47)

ドラム  真島まじま じゅん(47)

の4人組からなるロックバンド

2010年4月シングル「僕が君だったら/桜ノート」でメジャーデビュー。

「夢の端」、「友と花」など数々のヒット曲を生み出し、音楽シーンのトップを走り続けてきた。




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SAKURARAID 真島 淳 コメント全文


今回は急な発表になってしまい本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

デビュー20周年という節目の年。新曲やライブツアーなど楽しみに待っていてくれたファンの方々を裏切ってしまう最悪の結果になってしまいました。

このような形となった経緯と致しましては、昨年始め頃からボーカルである朝羽が体調不良となってしまい、ライブやレコーディングなどバンド活動が出来ない状況で事実上の活動休止状態となっていました。

それでもなんとかデビュー20周年に向け活動の再開を目指して来ましたが、朝羽の体調は回復の兆しを見せず、本人とバンドメンバーで話し合い、現時点で今後回復の見通しも立たず、今回解散という選択をすることになりました。

SAKURARAIDは4人で一つのバンドです。一人でも欠けたらSAKURARAIDではありません。活動休止という選択肢もありましたが、活動再開の見通しなく何年、もしかしたら何十年もファンの方々を待たせてしまう訳にはいかないし、

中途半端なことはしたくないと結論に至りました。


本当にごめんなさい。

そして今まで本当にありがとうございました。

いつまでも僕達の音楽がたくさんの人の中で生き続けてくれることを願います。



                       SAKURARAID 真島 淳 

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