ドラゴンフォース ー真紅の運命ー

唐揚げ

第一章 覚醒する真紅

第0話 決意

「ミレア、俺はもう自分を見失わない。自分が犯してしまった過去の過ち、これから起こるであろう未来の不安を受け入れる。過去にこの手で殺めてしまった数多の死者たちも、未来で出会うであろう数多の生者たちも受け入れる。受け入れて……俺は前へ進む。俺は……そう決めた!」


 その瞳には力強い意思が宿っていた。その言葉には嘘偽りのない希望が含まれていた。


「黒の魔法使い……」


「だから見ててくれ。俺の闘いを」


 少し悩んだ末、小さく頷いたミレアは、最後にこう言ったのだ。


「黒の魔法使い……生きて」


「ああ」


 そして、その言葉に短く頷き返した黒の魔法使いは、叫ぶ。


竜装着りゅうそうちゃくッ!」


 その言葉と同時に、完全に紅の粒子に分解された竜の札だったものが黒の魔法使いを覆う。


 彼の身体に密着して何かを形作っている。頭、胴体、手、脚。彼の全身で同じ現象が発生した時、彼は紅の閃光に包まれた。思わず目を背けてしまったミレアが、次に黒の魔法使いの姿を見た時、彼は……、


「紅の……竜騎士……」


 生物的というよりは、無生物的。

 有機物というよりは、無機物的。

 竜を模した鎧の騎士。


 明らかに異なる黒の魔法使いの姿に、ミレアの口から言葉が漏れる。


「……かっこいい」

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