僕は、恋がわからない
鷺島 馨
第1話:僕(坂槙 遥希)を取巻く環境
最初に断っておくと僕、
特に顔がいい訳でもなく、家がお金持ちでもない。成績は中の上。
学校では目立たないように過ごしている。何処にでもいる高校二年生。
変わったところが有るとすれば、クラスメートが女子にうつつを抜かしているのを冷めた目で見ているくらい。
友達は普通にいると思う。男女ともに仲良くはしている。つもり。
そんな僕だから特に変わった事なく学生生活を送っていた。
僕は、恋がわからない。
そんな僕が告白を受けることはない。
学校の外ではそこそこ愛想良くしている。
閉じた環境で目立つのは良くないが、大人には色々と助けてもらっているので愛想良くしていた方が過ごしやすい。
地域活動にも無理のない範囲で参加している。
その甲斐もあって近所付き合いは良好だと思う。
今日も帰りに『取れ過ぎたから』と袋いっぱいの野菜を頂いた。
玄関を開け、習慣となっている『ただいま』と声を発する。
返事は無い。
高校一年の秋に父の赴任に母がついて行ったので、僕は一人でこの家に暮らしている。
不便は沢山ある。
炊事、洗濯、掃除、etc.etc…
それでももう直ぐ一年にもなれば習慣化してくる。
もらった野菜をしまい、夕飯の肉を流しに出して常温に戻す。その後、自室へ着替えに行く。
特に変わった物の無い部屋。
ベット、机、椅子、本棚、ワードローブ、タブレット。
本棚の中も小さい頃に買ってもらった図鑑などと教科書、アルバムだけ。
本は電子書籍で読んでいるので本棚の中身は増えない。
無造作に鞄を置き、着替えをすますとタブレットとスマホを片手にリビングに降りる。
まだ肉が常温に戻っていない。その間にタブレットでネット小説を読む。
ジャンルは関係無く、興味が引かれたら読んでいる。
18:00を過ぎた頃、インターホンが呼び出し音を鳴らす。
面倒だなと思いつつ応答をするといつもの彼女達が『来たよ〜』と言ってくる。
渋々、玄関の鍵を開けて彼女達を招き入れる。
以前、鍵を開けずにいて玄関の前で彼女達が騒いで収拾に苦労した為、今では諦めている。
「「「ただいま〜」」おかえり〜」
僕が何か言う前に、自己完結。これもいつもの事。
「ハル君、これ。ハイっ」
エコバックを渡される。
多分、夕飯の材料。
彼女は
僕の学校では有名人、整った顔立ちに少しキツめの眼、いつも琥珀色のカラコンをしている。校則違反のホワイトピンクのストレートロング、スレンダーな体型で脚が長い。身長は女子にしては高く172cm。客観的に見てスタイルは良い。クラスの男子は胸が小さい事を嘆いていた。
学校での彼女は美人で知れ渡っているが、人付き合いが苦手で近寄りがたい雰囲気の為に孤立している。
見慣れた僕の学校の制服、青みを帯びた白いワイシャツ、襟元のボタンは外され、リボンタイも無いけど。スカートは膝上10cmくらいのチャコールのチェック柄。黒ストッキングにローファー。
「アタシからはコレ!」
こちらもエコバックを渡される。
重さからしてペット飲料を何種類か買ってきたのだろう。
彼女は
近隣の女子校に通っている。
小顔で日に焼けた肌が健康的、タレ目気味の可愛らしい顔。ショートボブは少しだけ明るく染められている。外見を裏切らず活発、少し痩せ気味のリトルグラマー。彼女の悩みは胸が大きくなっている事。三人の中で一番大きい。以前、彼女が言っていたブラのサイズはI。それを僕に言ってどうしろと言うのか。身長は148cmと莉里華と並ぶと年の離れた姉妹に見える。
制服は白いブラウスを中に着た、濃紺のゴシック風のワンピース。襟元はスクエアに開いたもの。お腹の辺りを締め込むようにダブルボタンが配された膝下ぐらいまでの丈。ウエストには同色の5穴ベルト。
白のクルーソックスにローファー。
「私からはコレね」
洋菓子店の箱、食後のデザートを買って来たようだ。
彼女は
近くの大学に通うお姉さん。
彼女もまた整った顔をしている。目元は優しげで人付きの良い顔をしている。彼女の瞳は碧で髪の毛は白く、肌は不自然と言える程に白い。グラマラスな体型というのが当てはまる包容力のある女性。身長は170cm。
彼女は眼皮膚白皮症(所謂、アルビノ)のため、露出は控えた白い長袖のブラウスに黒に近い濃紫のハイウエスト三つボタン、両サイドを紐で絞り込みくびれを強調した足首までのロングスカート。足元は黒のトレッキングシューズ。手には白い日傘。
一人暮らしのはずがこの三人が入り浸るお陰で賑やかなのが僕の日常。
増えた人数分の材料は莉里華が買って来ているのでそれを調理する。と言っても今日は塩タンと野菜を焼くだけのつもりだったのでホットプレートを出して焼き肉の準備をする。
彼女達は僕の部屋へ上がって行く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます