第50話 出でよ如意……

 アリアは保健室で部活の時間まで寝ていた。


「アリア王女様、お花、はい、あげる」 


「ありがとう」 


「アリア王女、もっと笑顔で接しなさい」


「もう無理。おうちに帰りたい」


「いらっしゃいませ。鬼畜消滅だ」


「美味しい牛乳はいりませんか?」


「あ?!階段踏み外した、落・ち・る……」


 どば……


「夢か……あ、部活の時間だ。行こう」


 アリアは卑弥呼か三蔵法師か釈迦の助けが入ると踏んだ。事は地球規模だ。ほっておけるわけがない。


 アリアは部活に集中した。


 それで練習試合をすることがゆるされた。


 アリアのガンバリはみんなが認めることであった。


 相手はレギュラーの先鋒の東さん。


「はじめ」 


「やぁ───」


「やぁ───」


 東さんは片手でヨコメンを打ち込んだ。


 「1本」

 (瞬殺)アリアはその場に倒れこんだ。

 そしてまたすぐに保健室に担ぎ込まれた。


 保健室の古賀先生が呆れていた。

「まったく……」


 アリアは横になって力の差を思い知り、くやしくて少しだけ泣いた。


 先程のヨコメンの衝撃だろうか耳の中に異物を感じる。


「先生、耳のなかになにかある!」


「え?!どれ、診てみようか?」


「これはえ?!耳カスの王様?」


「王様?」


「いや、人工的なものだわ」


「え?!見たい……これは?!……そうか……やっぱり……夢ではなかった……如意棒!」


「如意棒、大きくなれ」


 如意棒は2㍍になった。


「あれま~」


 先生はびっくりした。


「いでよ、筋斗雲」


「ぶ~ん」足下まで飛んで来てじゃれついてきた。


最終兵器の確認。 グラスを落とした。


「加速装置」


剣道道場まで行って保健室に戻りグラスを捕まえた。


「3大武器は私が覚醒するのを待っていたのか?確かに天界にお返ししていない」


「孫悟空の格好じゃ高校には来れなかった。そういう点に何かしらの配慮を感じる」


「この時代にも力になってくれる者がいるだろう。仲間を集めないと原爆2つは止められない。止めるつもり……」


「そうだ88号御神木に助けを求めよう…」



「アリア、また倒れたって?さっきからそうだ、そうしようとか独り言ってたわよ。あんた大丈夫??」


「エヘヘヘ」


「エヘヘヘじゃなくて?」


「桃子は私の仲間よね?」


「友達だけど仲間ではない」


「どこがどう違うのよ?」

 

「仲間って重い」


「重い?」


「そう」


「でも雉と犬とは仲間でしょ?」


「だから私は鬼ヶ島に行っていない」


「桃子、じゃ私の仲間になって!」


「え?!なにするつもり……」


「70億人を守るの」


「70億人?!あんた一人も倒せずに瞬殺されたのに何言ってるよ!何をするつもりなの?」


「それを今から考えるのだ!」


「あんたね、遠足の準備をするのとは訳が違うのよ!」


「わかってる。1回地球守ってるから!」


「え?!」





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