第41話 飲食店 R  ③【オーダーミス】

 スーツを着た、長身の男性が休憩室に入ってきた。


「お疲れさま」


「お疲れさまです」

 みんな声を揃えた。


「梶原さん、だれ?」


「副店長」


 悟空と雉神は顔を見合わせた。なぜなら妖気がぷんぷんしていたからだ。


「格好いいから好きな人多いみたい。私は大嫌い」


「なんで?」


「なんとなく……大嫌い」


 休憩が終わり仕事に戻る。


 この店は現在では当たり前になっているツールがなかった。


1.ドリンクバー

2.スープバー

3.各テーブルのブザー

4.クレジット会計

etc


 それで接客係はすべてのドリンクの作り方を覚え、提供するタイミングをお伺いしなければならなかった。


 土曜、日曜は来客数が増え、戦争さながらであった。悟空と雉神は飲食後のテーブルを片付ける係をした。しかしお客様からしたら悟空と雉神が入社したばかりなど関係なかった。


「すいません。注文お願いします」


「!!!」


 テーブルを片付けていた悟空と雉神は固まった。


「少々お待ちください。係の者が参ります」


が正解だったが、雉神はハンディを出した。


「はい、お伺いいたします。チーズインハンバーグがお一つ。ライス大がお一つ。ホットコーヒーが食後にお一つ。…………」 


 雉神、デビューの日となった。


 悟空は何かわからない気持ちに襲われていた。


「雉神、大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


 後のテーブルのお世話は引き継ぎ、元の片付けの仕事に戻った。


すると

「私、手ごねハンバーグなんか注文してない。チーズインハンバーグをたのんだわよ」


 ヤバイヤバイヤバイ


「雉神!オーダーミスしてる」


「はい……謝罪してきます」


「いや、やめて。店長に任せた方がいいよ」


「はい」


 悟空はなにかわからない気持ちに襲われていた。


 あとは副店長が対応してくれた。そのことで副店長から何か言われることもなかった。


「雉神、本来の任務に集中しましょう」


「はい、わかりました」


(あの副店長が関係している可能性は大だ)


(であれば店長とグルでは?)


(うん、いづれにしても証拠がほしい)


(そうですね)


「いらしゃいませ」


「ありがとうございます」


(河上恭子の本当の死因はなんだろう)


(本当ですね。首吊り、リストカットなどであれば自殺の可能性は高いと思うのだか何か信憑性がない)


(もう勤務開始して2週間経っている。何かほしい)


(悟空さん、思いきってぶつかりますか?)


(ダメだ。ダメだった場合もうここにはいれない)


(やはり金庫内に何かしらのヒントがある)


(そうですね。雉神、金庫のダイヤル開けれる?)


(開けれると思います)


(そうか。やはり加速装置を使ってスペアキーを作ろう)


(そうしましょう)


「いらしゃいませ~」









 


 



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