第36話 タイムカプセル

 あと3日しかない。まずはロナウドに話さなくては……


「ロナウド」


「なんだい、アリア」


「話しがあるの」


「いいけど、疲れてやしないかい?」


「大丈夫。時間がないの!」


「わかった」


「普通に話しても理解できないと思うから……簡単に話す」


「うん」


「私、旅に出ます。期限はわかりません。ただ帰ってこれたら幸せになれる。赤ちゃんも産めると思う……待っててくれないかな?」



「う~む、期限しだいかな?だっていつ戻るかわからない人を待ち続けられないよ。職務もあるんだ。国民は子供の誕生を待ち望んでいる」


「そうだよね。その通りだよ。私の幸せがロナウドの幸せと重なるとは限らないもねのね……別れましょう」


「───────────────」


「うん?別れましょう」


「待つよ」


「え?!」


「だって旅って誰か待っていてくれるもんだろ。僕が待ってるよ」


「ロナウド……」


「輪廻するんだろ?何になるんだよ?」


「孫悟空………」


「え?!本当にいるの??歴史的有名人じゃないか?テレビで見てたよ。全く君は何者なんだい?」


「血と輪廻と因果に振り回されてるだけよ」


「また、更に有名人になりそうなの?」


「それはないと思う、ないと願ってる。西遊記の内容が少し変わるくらいだと思う」


「かわいそうなことするな、誰だかしらないけど……」


「お釈迦様……」


「お釈迦様……本当にいるの???」


「いるよ」


「じゃあ、この旅でお釈迦様がこれまでの因果を断ち切ってくれるんだね?」


「うん。それで赤ちゃんを産むの!」


「僕もそれを望んでいる。ふたりの夢は重なっているよ!」


「本当ね」


「僕と結婚した理由は知ってる」


「え?!」


「有事の際に、軍事力が必要になるからだろ?」


「え~そんな昔の話し……そう」


「今回みたいな場合はどうしたものかな?」


「そうね。6世紀の時代に現代兵器は持ち込めないでしょ?」


「うん、どうしたものかな?」


「武器は如意棒にょいぼうがあるからいいわ」


「こうしよう。6世紀の武具が遺跡から出土したんだ。その中に日本刀の短剣がある。なぜ、日本製が含まれていたのかは不明だが。これを埋め直すから6世紀に受け取ってくれ」


「日本刀?日本って今の奴国でしょ?不思議な繋がりを感じる……ありがとう」


「いや、こんなことしかできないよ」


「充分よ鉛筆も削れるし!」


「鉛筆ないし、武器なんだけどな……」


「あと、遠い空国にいって両親に話してきます。そしてそのまま卑弥呼様の御言葉を待ちます。だから、これでロナウドとはこれで最後です。行ってきます~」


「あ~あ、行っちゃった。男心がわかるにはまだ若いか?おい石版を持て、次のように刻んでくれ……」




「ただいま。あ?! モグ忘れた!」





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